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導入事例

都立松沢病院

都立松沢病院が病院運営効率化の鍵として21システムが稼働していたオンプレミスサーバーをLenovoハイパーコンバージドに集約。 サーバー運用と業務システムの高速化に成功

導入について

東京都の精神科医療の中核、
そして地域の災害拠点病院としてふさわしいシステムインフラを求めて

今から140年前の1879年(明治12年)に東京・上野公園内に東京府癲狂院(てんきょういん)として開設され、現在の場所(世田谷区)に移転して100周年を迎えた東京都立松沢病院。地域の民間病院と連携を図りつつ、都内の精神科治療の拠点病院として重要な位置を占めています。また、東京都の災害拠点病院として災害発生時の地域医療の中心としての重要な役割も担う病院です。

都立松沢病院 齋藤正彦 院長

1919年に東京府立松沢病院へ改称した際の院長である呉秀三氏の精神を受け継ぎ、現院長の齋藤正彦院長は「身体拘束ゼロ」を目指し、身体拘束率を就任時の2012年度の14.7%から2018年度には3.2%までに減らすなど、日本の精神科医療をリードするべく質の高い医療提供に努めています。

齋藤院長は「非常にありがたいことに、当院は地域の民間病院から、精神科医療に欠かせない病院として評価されています。公立病院であっても放漫な経営が許されるわけではありません。必要なところにコストをかけながらも、経営・事業の効率化を追求することは重要であると考えています」と語ります。


都立松沢病院 樫山鉄矢 副院長

同院でシステムを統括する樫山鉄矢副院長は「災害拠点病院である当院にとって、災害時も安定してシステムが稼働することは必須です。現在の診療棟は免震構造であり、発電機も装備しているので、非常時にも継続稼働できるシステムがあれば、いざという時にも平常通りの病院運営が可能となります」といいます。

現在の診療棟が開設された2012年にあわせ、電子カルテシステムとともに、各診療科や各診療部門ごとに21もの部門システムが異なるベンダーから調達されました。当時、松沢病院でシステムを担当していた事務局 庶務課長代理 業務指導担当の大野健太郎氏は旧システムの日常管理についてこのように語ります。


「当院の場合はSPC(特別目的会社)がシステム運用管理を担っておりますが、その担当者が毎朝最初にやるのは、21あるシステムの稼働状況を見ることでした。1台1台確認していくため、それだけでも時間がかかります。システムも導入もまちまちで、ハードウェアも統一されていないため、管理・運用も簡単ではありませんでした」

「その後、導入から時間が経ってくるとハードウェアの問題が出てきます。経年劣化によりトラブルが頻発してハードウェアの稼働率が落ち、さらに冗長化されていないシステムやハードウェアも数多くあり、平常時の安定稼働ですら不安が出ていました」

そこで、大野氏をはじめとする事務局、そして実際にシステムの運営を担っているSPCの担当者が、次期システムにふさわしい、サーバー、システム基盤とはなんであるのかを議論し始めました。

冗長性と可用性、拡張性の面からハイパーコンバージドの導入を決定

「念頭にあったのは、サーバー仮想化によるサーバーハードウェアの集約・統合でした」と大野氏は語ります。「すでにサーバー仮想化技術は一般化しており、他の都立病院での導入実績もあったので、管理のしやすさを考えると、21システム分のハードウェアをそのままリプレースすることは全く考えていませんでした。そこで焦点となったのが、仮想化基盤にふさわしいハードウェアとはなにか、ということでした」

そこで重要視したのが、システムの冗長性と拡張性でした。
「繰り返しになりますが、災害拠点病院として発災時にも安定して稼働することが必須でした。仮想化基盤そのものを冗長化し、どのような状況でも電源が生きている限りシステムが落ちない、ということが最優先課題でした。また、バラバラだった部門システムの基盤を一元管理し、全てのシステムの可用性・冗長性を高い水準でもたせることも重視しました。

さらに、将来導入を検討しているより優れた患者情報DWHや経営支援のための各種システムのほか、今後予想される部門システムの増加にも容易に対応できる拡張性を担保できることも重要な要件でした」(大野氏)

これらの条件、そしてコスト面から検討に検討を重ね、同院にとって最適な仮想化基盤として選定メンバーが選択したのが、ハイパーコンバージドインフラストラクチャー(以下、HCI)でした。

HCIの導入に際し、大野氏は「当院は都立病院ということもあり、最終的には都が入札をし調達を行います。しかし都立病院を含めて、これまでHCIを本格的に病院で導入した事例がなかったこともあり、調達部門などの理解を得ることが難しかったのです」


その頃、兼松エレクトロニクス株式会社(以下、KEL)が、Nutanixのソフトウェアと、Intel® Xeon® プロセッサーを採用したLenovoのサーバーを融合させたHC「I Lenovo ThinkAgile HX5520」を大学病院に導入した事例を公開したことが大きな追い風となり、「調達部門の理解を得た上で、RFPにHCI採用を必須要件として盛り込んだ入札を実施、最終的にKELが導入を担当することが決まりました」(大野氏)

定評あるNutanixと信頼性のLenovoの組み合わせ
そして、大学病院での実績を評価

同院へのHCI導入にあたり、KELの滝永氏は「ThinkAgile HX5520」の選定理由を次のように語ります。

「HCIのソフトウェアとしてすぐれた技術を持つNutanixは定評がありますが、まだ日本では登場から間もないこともあって、ハードウェアは安心して使えるものを選びたいと考えています。その点でLenovoのサーバーは性能と信頼性の面で定評があり、当社でも取り扱いが多いこともあり安心してご提案できる組み合わせでした。

もちろん、実績が重視される病院や自治体、公的機関において、当社がすでに大学病院にThinkAgile HXシリーズのHCIを導入した実績があることも、大きな後押しとなったと思います」と語ります。


21システムのサーバー統合で管理者の負担を大幅に軽減
システムのパフォーマンスも向上

入札というシステムを取っている以上、松沢病院では導入から稼働まで、非常に短い期間しか取れないという事情がありましたが、「Lenovo ThinkAgile HX5520」の導入の際に、さっそくHCIならではのメリットを発揮しました。

「年度予算が決まった後に準備を経てから入札となるので、どうしても導入は年度の後半となってしまいます。常識的に考えるとこの規模のシステムは年度内の稼働が難しいのですが、「Lenovo ThinkAgile HX5520」は導入開始から2ヶ月後の2019年2月には仮想化基盤が稼働を開始、その後、約1ヶ月間で21のシステムを新仮想化基盤上に移行を終えることができ、無事年度内の稼働開始が実現できました。仮想化基盤の立ち上がりの速さ、システムの移行も従来のシステムにほぼ変更を加えることなく移行できたのもHCIならではと実感しています」(大野氏)

さらに、サーバールームの大幅なスペース削減にも寄与しています。「21のシステムのために、サーバールームにはサーバーをはじめとする多数のハードウェアでいっぱいになっていましたが、「Lenovo ThinkAgile HX5520」の導入で、バックアップシステムを含めて2ラックに集約できたので、サーバールームのスペースが大幅に空きました。これにより、将来のシステム拡張の際も物理的な心配がなくなりました」

管理、運用面においても大きな効果が出ています。「なによりもシステムの統制が取れたことにより、管理上の負担が軽減されました。日課だった21システムの稼働チェックが、Nutanix Prismのダッシュボード画面一つで確認ができるようになり、チェック時間を大幅に削減できました。また、旧システムの稼働開始時と今回の稼働開始時の1ヶ月間を比較すると、各部門からの部門システムに関する問い合わせが1/10にまで減っています。

可用性・冗長性の向上を体感し、運用管理者の負担軽減が実現できたと実感しています。
都立松沢病院 システム導入チーム

また、冗長性が大幅に向上したことによってシステムが止まらなくなったため、運用担当者が緊急対応する必要性が大幅に低くなり、担当者は『夜も安心して眠れます』と語っています。このように、可用性・冗長性の向上を体感し、運用管理者の負担軽減が実現できたと実感しています」(大野氏)

先に述べたように、各部門システムのアプリケーションは、従来から稼働していたものをそのまま移行していますが、大野氏はかなりレスポンスが良くなっているといいます。「一例として、最も負荷の大きかった検索では検索時間が1/5となっています。これは職員の生産性の向上にもつながっていると考えています」


最後に、今回のシステム入れ替えに関しての総括を大野氏に伺いました。「まず、将来のシステム拡張に対する懸念が払拭されました。しばらくの間はハードウェアの増強は必要ないと考えています。しかし、仮に現在の構成でパフォーマンスに限界がきたり、次回のハードウェアのリプレースのタイミングでも、HCIの特長であるプロビジョニングの容易さで、システムを止めることなく簡単に移行できるのではと期待しています。結果的に、今回のシステム入れ替えは正解だったと考えています」と、Lenovoのハードウェア性能と信頼性に評価を頂きました。

現在の場所に移転して100周年を迎え、東京都の中核病院として重要な役割を果たす松沢病院の医療が、次の100年に向けて飛躍していく中で、その診療に係わるシステム基盤をLenovo ThinkAgile HXが支えていくことが期待されています。

「必要なところにコストをかけながらも、経営・事業の効率化を追求することは重要であると考えています。」

都立松沢病院
齋藤正彦 院長

「診療棟は免震構造であり、発電機も装備しているので、非常時にも継続稼働できるシステムがあれば、いざという時にも平常通りの病院運営が可能となります。」

都立松沢病院
樫山鉄矢 副院長

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