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導入事例

近畿大学病院

病院の部門ごとにばらばらに導入・運用してきたサーバ群をHCIで一気に集約

導入について

病院移転を前に散在するサーバ群を集約するためにHCIを導入

学校法人近畿大学 近畿大学病院(以下、近畿大学病院)は、大阪府大阪狭山市にキャンパスを構える近畿大学医学部の附属病院。病床数929床、外来患者数1日当たり約2000人の規模を誇り、大阪府南部で唯一の大学病院として地域の医療を長年に渡り支え続けている。

近畿大学医学部・病院では、合わせて約60のシステムが稼働しており、これらを医学部・病院事務局 ITグループ 情報システム課の約9名のメンバーが、外部ベンダーのサポートを得ながら企画・構築・運用している。これまで日本の医療IT業界は海外と比べて「10年遅れている」と言われてきたが、昨今ではコロナ禍の影響もあり法整備をはじめとしたIT活用の環境整備が進んできており、近畿大学病院でも現在思い切ったIT化による病院機能の効率化に取り組んでいる。

「当院では近い将来、医学部および病院の新築移転を予定しており、これを機にITの仕組みも大幅に刷新する予定です。さらに将来的には、スマートフォン等を用いた患者サービスや5Gなどを活用した遠隔診療モデル、AIを用いた臨床意思決定支援システム(CDS)、ビッグデータの教育や医療への活用など、医学生や医療従事者、患者の方々が広く恩恵を受けられる仕組みをITで実現したいと考えています」

こう語るのは、医学部・病院運営本部 ITグループ 情報システム課 布江田 隆允氏。現在同氏らは、医学部・病院システムの移転計画および移転後のシステム企画・設計に取り組んでいるが、特に病院システムにおいては「既存システム環境の整理」が大きな課題として持ち上がっているという。

「これまでは病院の各部門でシステムを個別に導入していったため、院内のさまざまな場所にサーバが散在していました。それらを整理・集約してサーバの数を減らさないと、移転のための手間やコストがかさんでしまいますし、移転後のシステム設計も煩雑になってしまいます」(布江田氏)

そこで同院が目をつけたのが、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)だった。これまでは部門システムごとに物理サーバを個別に導入していたが、移転後はこれらのサーバ環境を仮想化して、単一の仮想インフラ上に集約することにした。そのためのハードウェア・ソフトウェア基盤として、従来のようなサーバ・SAN・ストレージの三階層モデルではなく、すべての機能を同一筐体で実装したHCIを選択したのだ。

「HCIはノードを足していくだけでシステムを柔軟に拡張できますから、まず手始めに一部の部門システムを集約し、その後段階的にシステムの数を増やしていきながら規模を拡大していく『スモールスタート』に適していると考えました。またこれまで運用してきた部門システムの多くは、物理サーバのリソースを十分に使いきれずコストパフォーマンスが悪かったのですが、HCIなら仮想サーバに割り当てるリソース量を柔軟に設定できるため、サーバリソースを効率的に活用できるようになります」(布江田氏)

また移転を機に「思い切って新しいテクノロジーにチャレンジしてみたい」という布江田氏らの思いも、HCIの導入を後押しした。その結果、早々とHCIの導入方針が決まったという。

LenovoのHCI製品「ThinkAgile HX3320」でサーバ仮想化環境を構築

さまざまなHCIソリューションを比較検討した結果、同院が最終的に選んだのがLenovoのHCI製品「ThinkAgile HX3320」だった。同製品はLenovoのサーバハードウェアと、HCIのリーディングカンパニーであるNutanixのHCIプラットフォーム「Nutanix Cloud Platform」を組み合わせたもの。同院ではこれまでもLenovoのサーバ製品を数多く導入しており、その耐障害性や障害発生時の対応を高く評価していたため、HCIに関しても「Lenovo製なら安心して使えるはずだ」と判断したという。

またHCIについて情報収集を行う中で、数あるHCIベンダーの中でも「Nutanixは最も勢いを感じた」(布江田氏)ため、自ずとLenovoとNutanixの製品を組み合わせたThinkAgile HX3320へと行き着いたという。加えて、同製品の提案を行った兼松エレクトロニクス株式会社(以下、KEL)の提案内容やソリューション実績が最終的な決め手の1つになったと布江田氏は語る。

「KELさんが過去にほかの大学病院にThinkAgile HX3320を導入した事例が公開されていたのですが、当院のシステム構成とかなり共通点がありました。こうした事例を通じて培われたKELさんのHCIソリューションに関する優れた実績や知見が、最終的な決め手の1つになりました。KELさんは提案段階から親身に相談に乗ってくださり、大変魅力的な提案をいただけましたし、保守についても丁寧に対応していただいているのでとても助かっています」

こうして同院は、ThinkAgile HX3320の正式採用を決定。早速、KELの開発環境でセットアップを施した同製品をサーバ室に持ち込んで設置したが、その後わずか2週間という異例のスピードでシステムを立ち上げることができた。続いて、既存の物理サーバ環境からThinkAgile HX3320のプライベートクラウド環境へアプリケーションを移行する作業を行ったが、これも極めてスムーズに運んだという。

「一度仮想環境を構築してしまえば、後は各アプリケーションに提供する仮想サーバ環境を払い出してあげれば、すぐに移行・構築作業を始められます。以前はサーバ環境を刷新するためには、いちいち物理サーバを調達してセットアップ作業を行う必要がありましから、それと比べればはるかに短期間のうちにサーバ環境を自前で構築できるようになりました」(布江田氏)

ハードウェアのスリム化とコスト削減、運用業務の効率化を実現

ThinkAgile HX3320の導入当初は、手術部支援システムや重症部門支援システム(ICU)をはじめ、14のシステムを集約した。まだ集約の第一段階に過ぎず、全体の取り組みとしてはようやく端緒についたばかりだが、もともと2ラック分のサーバで稼働していたシステムを4ノード・半ラックの規模にまで集約できている。今後ほかのシステムも順次集約していけば、「サーバの設置スペースやランニングコストの節約効果はさらに高まっていくはずだ」と布江田氏は予想する。

「サーバ本体だけでなく、これまでサーバごとに用意していたバックアップ機器やUPSなども集約できるようになり、さらには物理サーバの設置に伴う電源工事やネットワーク工事もいらなくなるため、かなりのコスト削減効果が期待できます。特にインフラ工事にまつわるコスト削減効果は、実際にThinkAgile HX3320を導入してみて初めて気付いたメリットでした」

日頃のサーバ運用業務も、これまでは院内に散在する物理サーバの稼働状況を個別にチェックする必要があったが、ThinkAgile HX3320に集約したサーバに関してはNutanixの統合管理ツール「Prism」上ですべての仮想サーバの稼働状況を一元的に管理できるようになり、管理効率が大幅に向上した。またサーバ環境を手軽に構築でき、一度構築したサーバ環境のスペックも簡単に変更できるため、サーバスペックに関するユーザーの要望により柔軟に応えられるようになった。

このように、当初予想した以上にサーバ集約の効果が得られているため、今後はThinkAgile HX3320のノードを追加してシステムを拡張した上で、眼科部門システムや薬剤部門システムなど他の大規模システムの集約も予定している。さらには、その他の細々とした周辺システムや、大学・病院移転に伴い新たに構築するADサーバやDHCPサーバ、認証サーバなどの基盤機能についても、ThinkAgile HX3320上でまとめて構築していく予定だという。

「中長期的には病院システムのパブリッククラウド移行も視野に入れていますが、あらかじめThinkAgile HX3320上でサーバ環境を仮想化しておけば、将来のクラウド移行もスムーズに運ぶと考えています。こうした取り組みを通じて、ハードウェアのライフサイクルにとらわれることなく戦略的にシステム更新や拡張を進め、システムの調達・運用コストを削減することで、患者さんや地域の連携医療機関、医療スタッフや医学部に通う学生など、より多くの人が恩恵を受けられるサービスを提供していきたいと考えています」(布江田氏)

「HCIはノードを足していくだけでシステムを柔軟に拡張できるため、まずは「スモールスタート」に適していると考えました。」

医学部・病院運営本部
ITグループ 情報システム課
技術課長補佐
日本医療情報学会認定 医療情報技師
布江田 隆允氏



この課題を解決した製品・ソリューション

  • Lenovo ThinkAgile HX3320

    信頼性と拡張性に優れたレノボのサーバーにNutanixのソフトウェアを搭載。

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