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産業向け AR/VR の過去と未来 ~広がる活用の幅とレノボ製品の紹介~

2016年のVR元年以降、急速にAR/VRの技術は発展してきました。ゲームや映像などの消費者向けのサービスやエンターテインメント業界だけでなく、産業分野での活用も広がりを見せつつあります。人材不足、生産性の向上、働き方改革が叫ばれる昨今、産業界ではどのようにAR/VR技術が活用できるのかをご紹介します。


01 AR/VR の歴史

  • 1930s Stanley G. Weinbaum が著書「Pygmalionʼ s Spectacles」でゴーグル型仮想現実システムを示唆、映像だけでなく匂いや触覚も

  • 1960s Ivan Sutherland が世界初のポジショントラッキングVR ヘッドセット(ダモクレスの剣)を開発

  • 1990s Nintendo がVirtual Boy をリリース、家庭用ゲーム機としてのVR 装置

  • 2015 Microsoft がHololens をリリース、透過グラス型のAR ヘッドセット

  • 2016 VR 元年、Oculus Rift、HTC Vive、Playstation VR などが相次いで発売

  • 2017 Microsoft がWindows Mixed Reality プラットフォームを発表、 Lenovo Explorer

  • 2018 スタンドアロンVR の台頭 Oculus GO、Lenovo Mirage Solo、Oculus Quest 等

  • 2019 ハイエンドMR デバイスの誕生 Varjo XR-1 高解像度、広視野角、ハンドトラッキング、アイトラッキング等

02 産業分野の活用範囲

AR/VR の産業分野への活用は広がりを見せています。主なものは下記のような活用法がありますが、ここでは産業別に様々な例をご紹介します。

AR/VR の活用範囲

トレーニング

軍訓練、解剖学、宇宙開発

設計・デザイン

製品設計、デザインレビュー、バーチャルモックアップ

シミュレーション

フライトシミュレーター、ドライブシミュレーター

コミュニケーション

双方向コミュニケーション、テレプレゼンス

セールス・プロモーション

VR カタログ、観光・施設紹介、マーケティング

配信

360度コンサート、番組、アミューズメント、VTube

自動車・製造業での活用

トレーニングへの活用

技術伝承や安全教育
熟練者の動きをトレースしたりモーションキャプチャで取り込んだり、視線の動きや360 度カメラで撮影した作業の様子、3D CG 化したものを教育コンテンツとして活用可能です。危険な作業に潜むリスクをバーチャルで再現してトレーニングしたり、火災消火活動や避難シミュレーションなど、現実には再現が難しい状況もVR やAR ならより安全にリアルに体験することが可能になります。

AR 技術を活用した3D マニュアルや空間へのドキュメント表示により、実機にかざして作業手順や内部構造の表示、リモートからの作業指示なども可能になります。

設計・デザインへの活用

デザインレビューやモックアップ作成
3D の設計データをVR を使ってレビューしたり、バーチャルで実物大でモデル検討を行うことが可能になります。開発の初期段階でも実物大で確認、検討することが可能になり、設計作業の手戻りの削減などが期待できます。

また、バーチャルモックアップでは試作製作コストの削減や大きなもののレビューにおいても場所の制約がなくなります。 また、これらのデータは購入前のお客様へのプレゼンやオプション品を導入した際のイメージなどを確認できるバーチャルショールームなどセールス活動にも活用可能です。

シミュレーションへの活用

製造工程、組立や工場ラインのシミュレーション
バーチャル空間でパーツの組み立て順序の確認や干渉チェックを行うことができ、実製作での手戻りやミスを削減します。
工場ラインのシミュレーションではその場にいるかのような環境下で、安全性、作業効率や作業姿勢の確認、人の動き、メンテナンス性などを確認することが可能です。

建築業での活用

コミュニケーションを円滑に

設計・デザイン
設計データをVR に変換することで、図面やパースよりも格段に実際の完成イメージを想像することが可能になります。施主や顧客とのデザインや作業手順の合意形成を図ったり、レイアウトの変更や壁紙、床材などの変更を反映して図面を使用せずにコミュニケーションが可能となる他、高さ変更や天井や壁内部の配管の確認など、現場でトラブルになりやすい細かな確認もバーチャルで事前に確認することができます。

VR 内覧会やリフォームなど営業活動での活用
不動産や結婚式場など、完成や当日まで実際の現場を確認しにくいセールス活動においても、VR を活用することでリアルに事前に確認することが可能になります。購入者の不安を取り除き、より納得して購入につなげることが可能です。

リフォームや改修工事においては、既存の空間にAR を活用してリフォーム後のイメージを重ねることで、Before/After を確認できたり、既存の空間を3D スキャンして取り込み、CAD データにすることでVRの作成や図面のない現場の改修も効率化されます。

作業員のトレーニングやシミュレーションへの活用
外国人労働者も増えている昨今、作業者との合意形成やコミュニケーションも重要です。AR/VR を活用したマニュアルや手順書があれば、視覚的に内容を確認でき、齟齬のないコミュニケーションが可能になります。

また、気流解析で熱や空気の流れを可視化することで、より最適な設計も可能になります。

医療業界での活用

トレーニングとシミュレーションへの活用

施術のトレーニングやシミュレーションに
研修時にリアルな環境で施術のトレーニングが可能になります。検体などを使わずに、いつでも何度でも再現可能なため、トレーニング効果を高めることができます。

また、3 次元の解剖モデル内で空間的な位置把握ができたり、DICOM(CT・MRI)データのポリゴン化、施術の手順の表示など、施術のシミュレーションにも活用でき、医療行為の質向上にも貢献します。

介護VR への活用
介護従事者向けに要介護者の状況を疑似的に体験することも可能です。認知症や幻視をVR を活用して体験したり、患者の目線を体験することで、よりよいケアにつなげるなどの活用ができます。

コミュニケーションの円滑化

医師同士や患者とのコミュニケーションへの活用
術前のカンファレンスにおいて、事前にVR 上で共有したシミュレーションや解剖モデルを確認しながらコミュニケーションが図れます。

医師間での認識の齟齬をなくし、コミュニケーションを強化できます。海外では診断結果の患者への説明時にAR/VR を使用する事例も出てきています。3Dコンテンツを活用することで、専門知識のない患者との合意形成もより図りやすくなります。

新薬開発現場での活用

複雑な分子構造モデルを3D で表示し、化学反応のシミュレーションも3D 空間上で行うことで科学者同士の情報共有やコミュニケーションを促進できます。バーチャルで様々な検証とコミュニケーションを行うことで開発スピードを加速し、新薬の市場投入を活発化させることに期待が集まっています。

医療行為への導入

一部の医療行為やリハビリテーションへの活用
幻肢痛の緩和やPTSD・うつ病などメンタルヘルスなどの治療のためにAR/VR を活用している事例もあります。また、歯科などで治療中の痛みの緩和のために活用されたり、リハビリテーションへの活用、外出や移動が困難な患者へ仮想旅行などの体験を提供したりなど、治療や患者のケアのため様々な活用の幅が広がっています。

03 AR/VR のこれから

コミュニケーションツールとしての活用

5Gなど大容量通信で広がるVR コミュニケーション

5G の実用化など、より大容量のデータをリアルタイムに通信できるようになることで、VR を活用したリアルタイムコミュニケーションの可能性はますます広がると予想されています。

VR コラボレーションツールを活用し、複数のユーザーが遠隔地からネットワークを介して同じバーチャル空間内に集まり、その空間内でCAD やBIM のデータを確認してディスカッションしたり、そのままバーチャル空間内で設計業務やデータの修正変更なども可能になっていくと予想されます。

開発や設計、医療などの専門領域だけでなく、一般的なオフィスワーカーでも活用できるようになり、一般的なオンライン会議とVR 空間で行う会議の統合など、ますます物理的な空間の制約は解消され、出張の削減やコミュニケーションが強化され、さらなる生産効率の向上が見込まれます。

人手不足の解消や作業効率の最大化のための活用促進

XR 技術は開発や生産の現場が必要とする業務を、安全にかつ効率的に進めていくために不可欠な存在になっていく可能性があります。

活用範囲の章で紹介したように、現場のスタッフが作業する際によりリッチなコンテンツをユーザーに提供し、安全な環境下でこれまで再現が難しかった作業のシミュレーションやトレーニングが可能になることで、時間やコスト削減の効果も高く、活用が広がっていくと考えられます。

現実世界の環境をバーチャル空間内にリアルタイムに反映させられるようになれば、バーチャル空間内でできることはさらに広がり、現実の設計、製造、生産現場での無駄はさらに省かれていくでしょう。

AR/VR デバイスのこれから

単にビジュアライゼーションを行えるだけでなく、触覚や嗅覚など、五感に訴えかける再現が進んでいくと考えられています。より現実に近い体験が可能になっていくでしょう。

また、アイトラッキングはすでに多くの製品で実用化されていますが、脳波を使ったコントローラーなど、操作性の向上にも期待が高まっており、操作性の向上によりさらに活用の幅は広がっていくと考えられています。

参考:https://www.vrs.org.uk/virtual-reality/history.html
日経BPムック VR・AR・MR ビジネス最前線【ビジネス】

04 AR/VR 活用に必要なツール

AR/VR を早速活用するために必要なツールをご紹介します。
AR/VR を利用するには次の3つが必要です。

  • 3Dデータを作成できるソフトウェア

  • AR/VR コンテンツを視聴可能なデバイス

  • それらのデータを処理するワークステーション

ソフトウェア

活用範囲でご紹介したような活用を実用化するためには設計データをVR 出力可能なソフトウェアが必要です。3D CAD やBIM を使用していることはもちろんのこと、それらをVR に出力可能なソフトウェアとしては下記のようなものがあります。

  • CATIA 3D Experience

  • eDrawings VR (Solidworks)

  • Siemens NX

  • Autodesk VRED

  • Autodesk Revit LIVE (Revit)

視聴デバイス

各メーカーから様々なデバイスが発売されています。

  • Varjo XR-1

  • Varjo VR-2

  • VR-2 Pro

産業用のVR/XR ヘッドセットでトップ企業のVarjo 社はレノボと提携し、人間の目と同じ解像度を実現した世界で唯一のVR/XR 製品を、レノボの「Varjo 認定」デスクトップおよびモバイル・ワークステーションと組み合わせることにより、この新しいリアリティをさらに追求しています。極めて要件の厳しい業界で働くプロフェッショナルが、文字通り原寸大のスケールで共同作業を行い、生産性を最大限に発揮できるようになったのです。

その他の VR デバイス
  • HTC VIVE PRO EYE

  • HTC VIVE COSMOS Elite

  • Oculus Rift S

Mixed Reality
  • Microsoft Hololens 2

ワークステーション

3D コンテンツを扱うため、ワークステーションはGPU 搭載モデルを用意する必要があります。

レノボでは携帯性の高いモバイルワークステーションとデスクトップ型のワークステーションを用意しています。NVIDIA Quadro RTX3000 以上のGPU を搭載したモデルが望ましいです。

クーリング機能に優れたワークステーションを!

VR コンテンツの視聴にはGPU の性能をフルに使うほどの負荷がかかります。GPU は高負荷となるほど高い熱を放出するため、クーリング性能の高いワークステーションが求められます。

特に発熱の高いミッドレンジ以上のThinkStation P シリーズは、3 つのセパレートしたエアーの流れを作り、暖気を内部滞留なく直線的に排出するTri-Channel™ クーリングを採用し、高い冷却性能を発揮しています。

ThinkPad P シリーズもXeon® プロセッサー対応モデルにおいて革新的な独自技術「FLEX パフォーマンスクーリング」を採用。CPU とグラフィックスのそれぞれにファンを持つデュアルファン構成とし、CPU とグラフィックスをヒートパイプで連結してCPU/ グラフィックスの温度をリアルタイムにモニターしながら冷却、相互に冷却性能を補完します。負荷のかかる処理を行うとハードウェア内部に熱が停滞し、冷却ファンの音が大きくなりがちですが、レノボのワークステーションは優れた冷却性能と独自の静音設計によりとても静か。熱によるパーツの劣化を防止しながら、快適な環境でクリエイティブな作業に集中することができます。

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