ThinkStation完全検証LABO ~3次元モデラーRhinocerosを使いこなす。ThinkStation + Quadro K2000はベストな選択か?

3次元モデラーのソフトウェアとして、その世界では知らない人がいないくらい有名で、多くの人に使われているRhinoceros(ライノセラス、通称:ライノ)。他の3Dソフトウェアと比較して低価格であるだけでなく、求められるハードウェアの敷居が低いのもRhinocerosの特徴だ。

しかし、本格的に活用するとなれば話は別。設計するものによってはハイスペックなハードウェアを用意しなければできない作業もあり、実用に耐える動作のスムースさを求めるためにもそれなりのスペックが必要になる。

そこで、Rhinocerosの国内代理店である株式会社アプリクラフトの女井氏と斎藤氏に、最新バージョンRhinoceros 5に最適なハードウェアは何か、最新Kepler世代Quadroグラフィックスを搭載したThinkStationでのベンチマークを実施していただき、おすすめのスペックを探っていただいた。

株式会社アプリクラフト 代表取締役 女井誠司氏(右)とテクニカルサポート部 部長 Rhinocerosトレーニングディレクター 斉藤兼彦氏(左)
株式会社アプリクラフト 代表取締役 女井誠司氏(右)と
テクニカルサポート部 部長 Rhinocerosトレーニングディレクター
斉藤兼彦氏(左)
Rhinoceros(ライノセラス)
Rhinoceros(ライノセラス)

ジュエリーデザインから自動車、船舶まで ライノセラスで3次元モデリング

最初に、Rhinocerosの紹介をしておこう。自動車などの外板に美しい曲線を手軽に生成するソフトウェアとしては唯一の存在のソフトウェア。NURBS曲線にも対応する。そのため、デザイン業界では広く使われている。

Rhinocerosで扱うベジエ曲線が自動車業界が発祥の理論だけに自動車のボディ外板のデザイン設計として利用はもちろんのこと、船舶、航空機、さらには複雑な曲面を繰り返し多用した意匠設計が求められる建築分野での利用も進んでいる。

従来、この分野の設計では特殊なソフトエンジニアが高度な計算を行うプログラムを組んで実現していたが、RhinocerosではGrasshopperというグラフィカル・アルゴリズム・エディターを使えばGUIでフレンドリーに操作できることによって、ブロック図を組み上げていくように、アルゴリズミックなデザインを誰もができるようになった。

自動車のエクステリアデザインでも使われるRhinoceros
自動車のエクステリアデザインでも使われるRhinoceros
(データ提供:Jorge Biosca氏 http://www.jorgebiosca.com/

ユーザーも大企業のデザイナーだけでなく、小規模の設計事務所やフリーランスのデザイナー、学生までと幅広い。比較的安価なソフトウェアと安価なハードウェアで動作することから、大企業でもすべてのデザイナーに行き渡らせることも容易。今までは絵コンテでデザインをしていたデザイナーがRhinocerosに乗り換えるということもある。

その結果、Rhinocerosを使って設計された物のジャンルは幅広くなり、例にあげた乗り物や建築だけでなく、家電製品をはじめ生活用品や食品の容器、さらにジュエリーデザインといった分野まで広がっている。メーカーや大手デザイン事務所は使っているデザインソフトを公にすることはないが、最近決まった建築物のスタイルを見ても、デザイナーの成り立ちも含めRhinocerosの活用が想像される物件が多いそうだ。

最新バージョン5では64ビット対応、さらに複雑な設計に対応

最新バージョンである2012年秋に登場したバージョン5ではネイティブで64ビットOSに対応しているため、ソフトウェアから大容量のメモリーを扱うことができ、メモリーが多ければ多いほど複雑なデータの読み込みが可能になった。現在は8GB以上を推奨にしているのもそのためだ。

もともとハードウェアを選ばないと言われたRhinocerosだが、それは作業内容に応じて柔軟に対応できるということ。現在、3Dプリンターの普及という大きな流れがあり、それに応じて3Dスキャンなど一気に複雑な処理が要求されるようになった。そのため高性能なハードウェアを用いれば、それに見合ったメリット出てくるという。

最新バージョンではGPUの処理性能を使い、GPUパイプの反射を見ても、GPU処理をオンした右側がより形状に正確に描画している様子がわかる。
最新バージョンではGPUの処理性能を使い、
GPUパイプの反射を見ても、GPU処理をオンした
右側がより形状に正確に描画している様子がわかる。

例えば、3Dスキャンで点群計測をすれば1つのデータ容量が一気に拡大する。これはメモリー容量がなければ扱うことすらできないため、必然的に大容量メモリーが必要になる。

また、建築設計の分野では、大規模案件が増えるともに、マテリアルを貼り付けることやリアルタイムにレンダリング処理をしリアルタイムに動かして形を作っていく方法に変わってきた。そのため、ストレスなく複雑な3Dをリアル表示できる高性能グラフィックボードが必要となってくる。

新バージョンではグラフィックの処理が変わったこともあり、最新・高性能グラフィックボードであれば、その性能が活かされ、より高速で描画できるようになっている。

一方、現在のCPUの処理能力はかなり高く、いずれのCPUを選んでも一概に快適に動作する。しかし、見合った性能のCPUを用意しておけば作業が複雑になった場合でも快適さを維持して作業が進められる。CPUの差は同時に比較しなければあまり気にならないかもしれないが、一度速いもので作業に慣れると、元の状態の作業効率の悪さが目についてくるという。

最新Keplerグラフィックス搭載ThinkStationで ベンチマークを実施

さて、実際のベンチマークをみてみよう。RhinocerosのベンチマークソフトであるHolomark 1.23を使って計測したもので、スコア数値は高いほど、秒数は短いほど高性能となる。

ThinkStation E31と各グラフィックスカードのベンチマーク

動作テストしたマシンのスペック

  ThinkStaton C30 ThinkStaton E31 ThinkStaton E31
CPU インテル® Xeon® プロセッサー E5-2690×2基
2.90GHz/8コア/16スレッド ×2基
インテル® Xeon® プロセッサー E3-1240v2
3.40GHz/4コア 8スレッド
インテル® Xeon® プロセッサー E3-1240v2
3.40GHz/4コア 8スレッド
グラフィックス NVIDIA Quadro K4000 NVIDIA Quadro K2000 NVIDIA Quadro K600
グラフィックメモリー 3GB 2GB 1GB
メモリー 64GB 8GB 8GB

以下共通環境
Microsoft Windows 7 Professional (64) SP1
Rhinoceros 64-bit版 バージョン5 SR4(5.4.30524.11065,2013/05/24)
グラフィックドライバー 9.18.13.2000

テスト項目
GPU1: ワイヤーフレーム描画(80,000本の線を100回描画)
GPU2: ポリゴンメッシュ再描画(大容量のメッシュを100回描画)
CPU1: モデル生成(複数のブール演算を実行)
CPU2: メッシュ生成(1000個のNURBS球を変換)

ThinkStation E31でRhinocerosを動作させる
ThinkStation E31でRhinocerosを動作させる

それぞれの組み合わせに若干の得手不得手はあるものの、高性能グラフィックと高い動作クロックのCPUを搭載するThinkStation E31 + NVIDIA Quadro K2000の結果が優秀ということになった。

Thinkstation E31同士ではグラフィックボードの差で性能が開いているが、CPUコア数では多いもののそれぞれの動作クロックが高くないThinkStation C30では、CPUパワーを使う場面では性能が伸び悩んでいる。

これはあくまでベンチマークの結果だが、Rhinocerosの最新バージョンでは高いCPU動作クロックと最新・高性能グラフィックボードを搭載すれば、快適に作業が進められることがわかった。

ライノセラスにベストな構成はどれか?

NVIDIA QuadroリアルタイムレンダリングをするならNVIDIA Quadro K2000装着がおすすめ
リアルタイムレンダリングをするなら
NVIDIA Quadro K2000装着がおすすめ

以上のベンチマークなどを踏まえ、アプリクラフトからのRhinoceros利用時のスペック選択についてアドバイスをいただたい。

前述のとおり64ビットOSを動作させるため、メモリー基本で8GB。3Dスキャンを行うなど扱うデータによってはさらに大容量のメモリーを検討してほしいとのこと。

また、グラフィックボードはリアルタイムレンダリングをするならNVIDIA Quadro K2000の搭載がおすすめとのこと。最新バージョンでは最新・高性能グラフィックボードの性能を活かしきる設計のためNVIDIA Quadro K600でも満足いく結果は得られるが、特にリアルタイムレンダリングにおいてはグラフィックボードを高性能にするほど描画速度の差が顕著に出てくるとのことだ。

アルゴリズミックなデザインもRhinocerosなら簡単にできる
アルゴリズミックなデザインもRhinocerosなら簡単にできる

CPUについてはCPUレンダリングをするなら性能も高いほうが良いが、通常、動作クロックが3GHzを超えた最新CPUであればほぼ満足いくものとなる。

ただし、ここまではRhinocerosだけを考えた場合だ。RevitやArchiCADといった建築設計BIMアプリケーションとの共用を考えた場合、CPUのコア数やCPU数を増やしたり、メモリーを16GB、場合によってはさらに増やすなどのスペックアップも必要となる。

実際の購入の際は、Rhinocerosだけを考慮するのではなく、他に併用するソフトウェアも含めて快適に動作するスペックを選んでほしい。

ThinkStation E31
ライノセラスに最適な構成はコレだ! 【ThinkStation E31】
OS Microsoft Windows 7 Professional(64bit)正規版
CPU インテル Xeon E3-1240V2(3.40GHz/4コア)
メモリー 8GB~16GB
ディスク 500GB HDD または SSD
グラフィックス NVIDIA Quadro K2000

株式会社アプリクラフト
2D/3DのDTP、CAD、CG等、ベクトルグラフィックス技術とその視覚化技術を主とした、アプリケーションソフトウエアの販売・サポート・コンサルティングを行っている会社です。

〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-6-9 A-1ビル2F
URL: http://www.applicraft.com/

ThinkStation E31

ThinkStation E31

E31は最新のインテル® Xeon® プロセッサーE3-1200v2番台を搭載したエントリーレベルのワークステーションです。充実のパフォーマンスと優れた信頼性をリーズナブルな価格で導入いただけます。

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