ThinkStation完全検証 ~優先度ベースの接続とは?ArchiCAD 17トレーニングにThinkStation E32 SFFが活躍

進化が止まらないBIM(建築3次元モデル)の代表的ソフトウェア「ArchiCAD」。その最新バージョンとなる「ArchCAD 17」が登場した。最新バージョンでは「優先度ベースの接続」が導入され、ビルディングマテリアルから自動的に施工レベルの断面、詳細を生成することが可能になった。同時にパフォーマンスもアップし、業界初のバックグラウンド処理や、マルチコアCPUへの対応がより進むなど機能・性能の両面で刷新されている。ThinkStation E32 SFFを使ってArchiCADのトレーニングを行っているグラフィソフトジャパン株式会社様に新バージョンのArchiCADについてお話を伺った。

ビルディングマテリアルの導入

注目の機能「優先度ベースの接続」によって部材と部材の接続を自動で行える
注目の機能「優先度ベースの接続」によって
部材と部材の接続を自動で行える

新バージョンである「ArchCAD 17」の紹介画像や広告などには、建物の断面詳細の図が頻繁に登場する。それもそのはずで、ArchCAD 17の目玉機能のひとつ「優先度ベースの接続」によって部材と部材の接続を自動で設計できるようになったことが挙げられる。

自ら材料の特質を認識した部材と部材が近づいたとき、その優先度を設定できるようにしていること。それによって、従来は手作業で部材同士の優先度を決めていたものがビルディングマテリアルという新しい属性によって自動化される。部材と部材の結合は、これまで平面図の作成にはあった機能だが、今回より断面図をはじめすべてのモデルビューに反映されるようになったという。

グラフィソフトのプロダクトマーケティング担当トロム ペーテル氏によれば「ArchCAD 17のコンセプトはそのままBIMのデータを活かしてモデルベースのワークフローを広げること。新バージョンの新機能は実施設計から施工の段階までBIMのデータをそのまま活用できる」と説明している。

パフォーマンスを改善、並列処理の最適化も進む

豊富な新機能を持つ「ArchiCAD 17」だが、バックグラウンド処理のサポートをはじめ自動で処理を行うところが増えている。それらを快適に実現するためにはソフトウェア自体のパフォーマンスも上がり、マルチスレッドへの対応が進むなど、より最新のワークステーションの性能を引き出すように設計を行ったこと。

お話を伺ったグラフィソフトのプロダクトマーケティング担当トロム ペーテル氏(左)とカスタマーサービスエンジニア、高橋靖幸氏(右)
お話を伺ったグラフィソフトの
プロダクトマーケティング担当トロム ペーテル氏(左)と
カスタマーサービスエンジニア、高橋靖幸氏(右)

具体的には従来でも3Dの部分でマルチスレッド処理が活用できる設計になっていたが、今回からは2Dの処理を改善、より均等に処理を分散するようにした。それにより、CPUのマルチコアやマルチプロセッサといったハードウェアの性能をより引き出すようになっており、最新のThinkStation E32/E32 SFFでも、マルチコアのプロセッサーを活かした処理が可能になっている。

特に実感するような場面は、大規模な建築案件で外部図面を数十枚以上参照しているようなシーン。使用するコンピュータのコア数やプロセッサー数が多くてもパフォーマンスの低下が少ない。

数多くの動作検証を行ってきたグラフィソフトのカスタマーサービスエンジニア、高橋靖幸氏によれば、従来、ワークステーションのプロセッサーを決めるとき、マルチコアよりはなるべく高い動作クロックのCPUをすすめていたが、今回は様子が異なると話している。

新バージョンでも外部図面の参照が少ないような場合はプロセッサーによる差異は感じにくいものの、外部参照図面が増えたり、複雑な使い方をすればするほど、新しいPC、しかもコア数が多ければ多いほどパフォーマンスに差が出てくるとしている。

ThinkStation E32 SFFとArchCAD 17の相性は抜群

現在、グラフィソフトでは、主にThinkStation E32 SFFを使ってArchiCADトレーニングを行っている。コンパクトなThinkStation E32 SFFに搭載するCPUは4コア/8スレッドのインテル® Xeon®プロセッサー E3-1240 v3 で、グラフィックスはNVIDIA® Quadro® K600を搭載している。

トレーニングに使うワークステーションを常に見ている高橋氏によれば、4コア/8スレッドのマルチコアプロセッサーを搭載するため「ArchCAD 17」との相性は抜群。パフォーマンスの面でも確実に動作するという点でも問題は見られないという。

また、ThinkStationならではの動作中の静かさは、トレーニングを行う上でも作業に没頭する上でも十分に有効だとしている。

同時利用ソフトウェアの考慮や、将来を見越したワークステーション選びを

一方で高橋氏が心配する点もある。トレーニングを行う中でわかったことは、それは、ワークステーションのCPUの処理能力は「ArchCAD 17」のためだけに使われるのではないということ。「ArchCAD 17」の利用にThinkStation E32 SFFはたいへん相性の良い選択ではあるが、併用するソフトウェアについても考慮したスペック選びをしてほしいと語っている。

「ArchCAD 17」をBIMの中心として利用するが、実際の利用では他のソフトウェアで作成したデータを取り込むことも多い。他のソフトウェアも3D処理をはじめ複雑化しているため、複雑な処理に対応したハードウェアのスペックが必要になってくる。高橋氏によれば、「ArchCAD 17」単体での動作に問題がなくても、他ソフトの連携でパフォーマンス不足を感じてしまうこともあるのだという。

「ArchCAD 17」と組み合わせる製品としては、グラフィソフト自身でも3Dで図面の品質管理を行う「Solibri Model Checker」や、3Dで照明効果のシミュレーションを行う「Artlantis」がある。

図面をもとに3Dイメージを作成してチェックを行うこれらのソフトウェアでは、さらに上のスペックが求められることもあり、グラフィックボードの性能が重視される。これらのソフトウェアと同時に使うことで、「ArchCAD 17」単体動作では感じたことはないような表示のもたつきを感じることもあるという。

特にグラフィックに関しては複雑な形を表示しなければNVIDIA Quadro K600クラスでもストレスなく動作するが、他のソフトウェアを同時に動かし、複雑な図面を引き継いだり展開するとなると、さらに上のグラフィックボードが求められるようになる。実際に上位機種に搭載したNVIDIA Quadro K2000ともなれば、できることが大幅に広がるという。

また、ワークステーションは毎年買い替えるものでもない。今は必要がなくても、数年後まで長期にわたって快適に操作ができるものとするためには、少し上のスペックを狙うことも検討したほうがよいかもしれない。

グラフィソフトでは「ArchiCAD 17」トレーニングにThinkStation E32 SFF計6セットを利用開始、24型ワイドモニターと組み合わた最新機材でトレーニングを受講できる。Solibri Model Checker、Artlantisのトレーニングにも利用している。

グラフィソフトでは「ArchiCAD 17」トレーニングにThinkStation E32 SFF計6セットを利用開始、24型ワイドモニターと組み合わた最新機材でトレーニングを受講できる。Solibri Model Checker、Artlantisのトレーニングにも利用している。

ThinkStation E32 SFF仕様

ThinkStation E32 SFF 30A20008JP

  • インテルXeonプロセッサー E3-1240 v3(3.40GHz/4コア)
  • 8GBメモリー
  • 500GB SATA HDD
  • NVIDIA Quadro K600グラフィックス
  • Windows 7 Professional 64bit
レンダリング、解析での検証用にQuadro K4000グラフィックスとデュアルプロセッサを搭載したThinkStation C30も用意している。新たに高精彩30インチ液晶のThinkVision LT3053p Wideと接続している。

レンダリング、解析での検証用にQuadro K4000グラフィックスとデュアルプロセッサを搭載したThinkStation C30も用意している。新たに高精彩30インチ液晶のThinkVision LT3053p Wideと接続している。

ThinkStation E32/E32 SFF

ArchiCAD 17と他アプリを同時に利用する事を考えた最適構成

モデル ThinkStation E32/E32 SFF
プロセッサー インテル Xeonプロセッサー E3-1200 v3 ファミリ
*クロックは3.20GHz以上で4コア搭載が快適
メモリー 8GB~16GB
*複数アプリを同時起動する場合には16GB以上のメモリーも検討
グラフィックス NVIDIA Quadro K600 または K2000
*3D主体のアプリと共用する場合はQuadro K2000が推奨
OS Microsoft Windows 7 Professional 64bit
モニター ThinkVision LT2452p Wide 24型ワイドモニター (1920×1200)
ThinkVision LT3053p Wide 30型ワイドモニター (2560×1600)
*30型モニターはデスクに設置可能か事前に検討必要

チームワーク機能でサーバーとの連携

現在でも「ArchCAD 17」ではBIMサーバーを立て、他のメンバーと共同作業をする“チームワーク”機能を持っており、グラフィソフトのトレーニングルームではThinkServer TS130を設置してデモ環境を構築している。

トレーニングルームではBIMサーバーとしてThinkServer TS130を利用している。
トレーニングルームではBIMサーバーとして
ThinkServer TS130を利用している。

今後は登場したばかりのサーバーの新製品、ThinkStation TS140に置き換え、引き続き動作検証とデモ環境を構築していく予定だそうだ。

一方、グラフィソフトでは「ArchCAD 17」とは別に、新しいサーバー製品の登場を予告している。その特徴のひとつは、社内ネットワークからのアクセスだけでなく、外部からのアクセス機能を強化、協力会社のスタッフとネットを介して連携して設計を進めることを推進したものとなる。

また、このサーバー機能をプロバイダーに設置し、本格的なクラウドとしても利用可能にするサーバーソフトウェアとすることも検討しているという。

このサーバーソフトウェアは、近いうちにリリースを予定しているが、サーバー機には多くのアクセスが見込まれ、相応のパフォーマンスが求められる。レノボのラインアップではThinkServer TS440クラスが必要となる見込み。

ソフトウェアがリリースされた際は、ThinkServerシリーズの動作検証も行い、結果をお知らせする予定だ。

グラフィソフトジャパン株式会社
〒107-0052 東京都港区赤坂3-2-12 赤坂ノアビル4階

建築家のための業界初となるBIMソフトウェアArchiCADを提供するGRAPHISOFT SEの日本法人。過去3年間、グラフィソフトジャパンは急激な成長を遂げ、顧客には大手ゼネコン、設計事務所等を持ち、日本でも有数のBIMソリューションプロバイダと認められています。

URL: http://www.graphisoft.co.jp/