
レノボのトータルソリューションで院内システム全体を刷新したことで、業務の効率化と生産性向上につなげられています。
社会医療法人 山弘会 上山病院
医学博士 院長 関西医科大学臨床教授
山中 吉隆 氏
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導入事例
サーバー統合とクライアント環境の刷新にレノボのトータルソリューションを採用。業務の効率化と院内の高度な情報連携によって一歩先行く医療サービスにつなげる。
レノボのトータルソリューションで院内システム全体を刷新したことで、業務の効率化と生産性向上につなげられています。
社会医療法人 山弘会 上山病院
医学博士 院長 関西医科大学臨床教授
山中 吉隆 氏
社会医療法人 山弘会 上山病院(以下、上山病院)は、2007年から院内業務の情報化に着手しています。グループウェアによる事務レベルの情報共有から始め、診療予約、医療画像の参照、オーダーリング・電子カルテによるシステムの統合・連携へと、約1年の期間をかけながら利用シーンの拡大を図ってきました。電子カルテ稼働を機に、また、業務の拡大により、各システムのサーバーやクライアント数は瞬く間に増大しました。
情報システムの導入から5年ほどが経過すると、職員が利用するPCで老朽化が目立ち始めました。これにより、PC内部に蓄積したホコリの除去、ハードウェア障害による復旧作業といった運用面での工数が増加し、IT管理者に大きな負担がかかるようになりました。また、業務の拡大とともにサーバーの設置台数も増え、サーバーに対する課題も浮上していました。こうしたサーバー側の課題には、サーバー本体の設置スペースや消費電力の増大、乱立する無停電電源装置(UPS)とバッテリ交換サイクルのばらつき、複雑なLAN配線、システムごとに統一性のない保守契約などが挙げられます。
そして、業界全体で医療の情報化が進んでいく中で、サーバーやPCが取り扱うデータ量も急増し、システム側の性能不足からレスポンスの低下を招くケースが見受けられるようになりました。例えば、整形外科医をはじめ、多数の患者を診察しなければならない医師からは、表示レスポンスに関して改善の声が多く聞かれました。
同病院 情報管理室の福本憲嗣氏は、「当時は、サーバーやPCの性能不足によって医療画像の表示に1~2秒もかかっていました。医師からは、患者さんを目の前にしながら無言で1~2秒も過ごすのはとても心苦しいと言われました。何分という待ち時間なら他の作業も並行して行えますが、1~2秒という中途半端な待 ち時間が何度もやってくると、円滑な診療を大きく妨げますし、患者さんにも迷惑をかけてしまいます。このため、システムの更新時期が訪れたら、スマートデバイスのアプリを扱っているかのような小気味よい表示レスポンスをぜひとも実現したいと考えていました」と語っています。
上山病院は、サーバーやPCが抱える数々の課題を解決するため、サーバーと端末環境を中心に、院内システム全体の見直しを開始しています。ここでは、最新のハードウェアに更新するだけにとどまらず、サーバー仮想化によるサーバー統合とリソースの効率利用、さらにはデスクトップ仮想化に基づくシンクライアント環境の活用を決断しました。
同病院は、2013年12月にレノボのx86サーバー『System xシリーズ』とLenovoEMCネットワーク・ストレージを導入し、その上でMicrosoft® Windows® Sever 2012 DatacenterEditionをベースとするサーバー仮想化基盤を構築しています。2014年2月以降、グループウェア、Microsoft® Active Directory、医事システム、検査部門システム、電子カルテシステム、その他事務・管理系システムなど、これまで物理サーバーで稼働していた多数のサーバーを次々と仮想化しています。
福本氏は、サーバー仮想化のメリットを「当院は、24時間365日体制で医療サービスを提供していますので、業務を支えるITシステムはもはや止めることが許されません。今回、サーバー仮想化によって物理サーバーの台数が削減され、物理的な障害箇所を最小限に抑えられています。また、仮想サーバーのライブマイグレーションによって、物理サーバーの障害や計画的停止に対しても柔軟に立ち回れるようになりました。さらに、サーバー自体の性能が向上したことで、とりわけ大量のデータを扱う医療システムでレスポンスが大きく改善されています。仮想サーバーに対するリソース調整もオンデマンドに行えますので、常に最適な状態でシステムを運用できています」と述べています。
同病院は、仮想化への取り組みの一環として仮想デスクトップ基盤も新たに構築しています。当初は、院内のあらゆる端末環境をこのデスクトップ仮想化基盤に移行することを検討しましたが、PCoIP(クライアント配信)によるネットワークトラフィックの急増、仮想デスクトップ基盤の障害が全業務に波及するリスク、必ずしもシンクライアントに向かない業務が含まれている点などを考慮した結果、医事会計や事務系を主とする端末をシンクライアント専用機へと切り替えています。
上山病院は、診療現場の端末として、高い処理能力とコンパクトな筐体を両立したデスクトップPC『ThinkCentre M73 Tiny』を採用しています。また、電子カルテやPACSの読影で優れたレスポンスを実現するため、起動ドライブに超高速のSSDを搭載している点も大きな特徴です。さらに、端末本体には読影用の高解像度ディスプレイを接続していますが、従来のPCのようにグラフィックスボードを増設することなく、CPU(第4世代インテル® Core™ i3プロセッサー)の内蔵グラフィックスのみで対応できています。
福本氏は、「診察室などの限られたスペースをもっと有効に使いたいという理由から、2014年9月に約50台のThinkCentre M73 Tinyを導入しています。最新CPUとSSDの相乗効果によって、電子カルテやPACSなどのアプリケーションも快適に動作しています。PACSのベンダーからはグラフィックスボードの増設を推奨されましたが、当院で実機検証を行った結果、現場で働く放射線科の専門医もCPUの内蔵グラフィックスでまったく問題ないと太鼓判を押してくれました。結果的に、物理的な障害箇所を減らせたほか、PCの総所有コスト(TCO)を抑えることに成功しています」と評価しています。
上山病院は、ThinkCentre Tinyシリーズだけでなく、ThinkPadとThinkStationワークステーションも業務の内容に応じて使い分けています。ThinkPadは、端末の持ち運びが求められる用途で採用され、積極的に携帯するケースではThinkPad Tシリーズ、据え置いて使用することが多いケースではThinkPad Lシリーズを割り当てています。また、内蔵ドライブとしてSSDを搭載することで、ThinkCentre Tinyと同じく快適なレスポンスを実現しています。
また、とりわけ処理能力が求められる業務では、ThinkStation E30 ワークステーションを活用しています。同病院 院長の山中吉隆氏は、特に医事部門でデータ量が増えた理由としてDPC/PDPS(診断群分類別包括評価支払い制度)を挙げ、ThinkStationワークステーションがもたらすメリットを「当院は、DPC対象病院という立場から、診療情報データを活用して課題分析を行い、医療の品質向上に努めています。このような中で、DPC/PDPSに関連する膨大なデータ処理が大きな課題とされてきました。職員に聞いたところによれば、従来のPCでは数ヶ月のデータ抽出に1時間ほどかかっていましたが、ThinkStationワークステーションではたったの10分で処理が完了するとのことです」と述べています。
このように数多くのPCをレノボ製品に統一したことで、外付けSSDとThinkVantage Rescueand Recoveryを組み合わせたOSイメージの迅速な展開も可能になっています。
あらかじめそれぞれのPCに対するゴールデンイメージを作成しておき、これらのゴールデンイメージが保管された外付けSSDをつなぎ替えるだけで、新規PCの初期設定や既存PCの復旧作業などを大幅に効率化しています。
なお、これらのレノボ製PCからもシンクライアント環境に接続できる体制を整えています。
同病院では、セキュリティ上の観点から医事会計・電子カルテ系セグメント、PACS系セグメント、インターネット系セグメントなどにLAN環境を分離し、従来はLANセグメントごとに個別のPCを割り当てていました。これに対し、1台のPCでローカルのOS環境とシンクライアント環境の双方にアクセスできるようにすることで、従来と変わらないセキュリティレベルを担保しながら、端末数の削減にもつなげられています。
2015年3月取材
ThinkCentre Tinyは、非常にコンパクトな筐体ながら、電子カルテの利用やPACSの読影といった高度な用途にもきちんと対応できています。
社会医療法人 山弘会 上山病院
情報管理室
福本 憲嗣 氏
2015年3月現在、レノボのx86サーバーに支えられたサーバーおよびデスクトップ仮想化基盤、そして院内に配備されたレノボ製PCは順調に稼働しています。
山中氏は、新しいシステム環境がもたらすメリットのひとつとして省電力化を挙げ、「当院では、情報化とともにサーバーやPCを増設し続けた結果、院内の受電・配電設備が能力の限界に近づいていました。また、2011年3月には東日本大震災が発生し、電力不足の問題も叫ばれるようになりました。このような経緯から、当院でも節電に向けて大きく動き出し、サーバーやPCの省電力化にも取り組んできました。
今回、サーバーやPCを刷新したことで、前年と比べ、システムの消費電力は病院全体の消費電力の5%に相当する削減となりました。また、最大需要では10%以上削減されていました。
空調への負荷も軽減されていますから、院内全体で見ればもっと大きな電力削減率となるでしょう。今後、電気料金の再値上げや消費税増も想定されますので、電力使用量を早めに削減できたことはとてもよかったと感じています」と語っています。
現在、同病院は、外来部門においてフル電子カルテ化に向けた取り組みを進めています。こうしたフル電子カルテ化の実現にはきわめて高可用なITシステムが求められますが、今回導入されたシステム基盤であれば、同病院の厳しいニーズにも十分に応えられます。
そして今後は、院内の回診や在宅医療分野でITをさらに活用できるようにする目的から、薄型軽量で持ち運びも容易なタブレットなどの導入を検討しています。
福本氏は、「職員あっての病院ということで、当院では職員を守ることも基本方針のひとつとして掲げられています。情報管理室は、このような方針に従って職員が仕事しやすい環境作りに注力しています。今後は、職員と患者さんが対面でコミュニケーションをとりながら端末を操作できるように、タブレットなど様々なデバイスの導入を検討しています。院内での回診や患者さんの自宅訪問時に電子カルテを扱ったり、外来の待ち状況を職員が携帯する端末でリアルタイムに確認したりといった活用方法を想定しています」と説明します。
同病院は、ITを活用した職員間の情報連携を段階的に強化しながら、入院から退院、そして退院後の維持期などにも対応可能な医療の体制を整えてきました。将来的には、超高齢化社会に向けた地域包括ケアシステムや地域医療連携などにも対応し、さらに高品質でスピード感のある医療サービスを目指します。
山中氏は、「当院は、地域の皆さんに行きたいと思っていただけるような病院、そして開業医の皆さんが紹介したいと思っていただけるような病院を目指しています。そのような取り組みの一環として、診察後当院にいながらにして薬を受け取れる院内処方を現在も継続しているほか、24時間365日の応需体制による救急医療、回復期リハビリテーション病棟、在宅医療サービス、検診センターなど、次々と展開してきました。
こうした多様な医療サービスを提供する上で、院内のIT化はとても重要な位置付けにあります。レノボには、サーバーやPCの部分で適切なソリューションを提供してもらっていますし、私たちが実際に使っているレノボ製品からは『ものづくり』に対する真剣さがよく伝わってきます。だからこそ、当院のIT化を推進する重要なパートナーとして、これからもレノボの協力を強く希望します」と、将来への期待を述べています。
2015年3月取材
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