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爆発的に増え続けるデータに対応するSDS─その最適解とは?

ニーズに適したSDSを急いで導入したい──製品選定と導入検証の課題、解決策は

ビッグデータ時代のストレージとして注目を集めるSDSですが、搭載するソフトウェアによって特長が異なり、自社に最適な製品選びが難しいのが現状です。
また、導入時の動作確認に手間と時間がかかる点も、情報システム部門泣かせといえます。こうした課題を解決するためにレノボが提供を開始するStorSelectプログラムは、企業にどんなメリットをもたらすのでしょうか。

高まるSDSのニーズ

レノボ・ジャパン株式会社 データセンター・グループ事業本部 企画本部 本部長 星 雅貴 氏

レノボ・ジャパン株式会社
データセンター・グループ事業本部 企画本部 本部長
星 雅貴 氏

ストレージといえば、これまではベンダーが提供するいわゆる“ストレージ専用製品”を企業が購入し、導入するのが一般的でした。しかし、ビッグデータの時代を迎えた今、IoTのセンサーデータやログデータ、ドキュメントアーカイブなど企業が分析のために保存し続けるデータが爆発的に増え、従来型のストレージ専用製品では運用面やコスト面で対応しきれないという課題が浮上しています。

そうした課題の解決策として注目を集めているのが、汎用のx86サーバーにストレージソフトウェアを導入してストレージを構築する「SDS(Software Defined Storage)」です。SDSはもともと大容量データを扱うクラウドサービス事業者を中心に利用されていた技術ですが、それを一般の企業が追随する形で急速に広まりつつあります。

このようなSDSに対するニーズの高まりを受け、SDSビジネスに注力しているのがレノボです。その取り組みについて、レノボ・ジャパン データセンター・グループ事業本部 企画本部 本部長である星雅貴氏は次のように話します。

「レノボは従来型ストレージ専用製品も提供していますが、ビジネスの中心はサーバーです。そのサーバーを使ってストレージを実現するSDSアプライアンス、あるいはハイパーコンバージドシステムを用意し、従来型のストレージ専用製品も含めて適材適所に提供することがレノボの使命だと考えています」(星雅貴氏)

StorSelectプログラムでSDSアプライアンスを製品化

レノボは既にVMwareやレッドハットとの協業を通じてSDSビジネスを展開している。そのさらなる拡充策として2016年6月、x86サーバーの System x にストレージソフトウェアをプリロードしたSDSアプライアンス「Lenovo Storage DXシリーズ」を発表しました。

DXシリーズを開発するにあたり、レノボは「StorSelectプログラム」を開始。このプログラムはISVとの提携により、System x とSDSソフトウェアを統合したSDSアプライアンスを提供するためのエコシステムです。

「レノボはハードウェア専業ベンダーです。これはさまざまなソフトウェアパートナーと組んでお客さまにベストなソリューションを提供できる立場にあるという強みになります。これが他のサーバーベンダーと大きく異なるところです。今回のStorSelectは、SDSの最適な用途・適用エリアを提案するためのパートナープログラムです」(星氏)

レノボはStorSelectプログラムの第1弾として、クラウディアンとネクセンタ・システムズを選定。クラウディアンの「CLOUDIAN HyperStore」をプリロードしたインテル® Xeon® プロセッサー E5-2630 v4搭載の「Lenovo Storage DX8200C」と、ネクセンタの「NexentaStor」をプリロードしたインテル® Xeon® プロセッサー E5-2643 v4搭載の「Lenovo Storage DX8200N」を製品化しました。

Amazon S3に準拠したクラウディアン製品

クラウディアン株式会社 取締役 COO 本橋 信也 氏

クラウディアン株式会社
取締役 COO
本橋 信也 氏

クラウディアンは日本で創業し、現在は米国シリコンバレーに本社を置いてグローバルにビジネスを展開するSDSソフトウェアベンダーです。2001年に創業した前身企業は、通信事業者向けに大規模携帯メールシステム製品を提供するソフトウェアベンダーでした。

「クラウディアンは数千万人が利用する大規模携帯メールシステムを提供する中で、汎用サーバーを使ってソフトウェアでストレージを構築し、経済的に大量のデータを扱うという技術を培ってきました。その技術を応用して2010年にCLOUDIAN HyperStoreを開発し、2011年から商用製品として提供しています。製品は複数の国内大手クラウドサービス事業者の採用例が広く知られていますが、いまでは世界中のクラウドサービス事業者と企業に導入されています」(クラウディアン 取締役 COO 本橋信也氏)

CLOUDIAN HyperStoreは、“Amazon S3に100%準拠したオブジェクトストレージ”というのが特長です。これにより、パブリッククラウドサービスと連携したハイブリッドな分散ストレージ環境を容易に構築できます。数ペタバイト超級のスケールアウトが可能であり、複数拠点に大容量データを分散配置できる可用性を備えています。

今回のレノボとの協業は「世界同時多発的」に始まったと本橋氏は振り返ります。 「2015年5~6月にかけて、イタリアの企業から System x でHyperStoreを動かしたいという要望があって検証を始めました。それとは別に、日本でもちょうど同じ頃にレノボ・ジャパンのラボでHyperStoreの動作検証を行っていました。さらにその頃、米国ではレノボ本社と当社の間で現在のStorSelectにつながる話が持ち上がっていたのです」(本橋氏)

ユニファイドストレージを実現するネクセンタ製品

ネクセンタ・システムズ・ジャパン株式会社 日本法人代表 松浦 淳 氏

ネクセンタ・システムズ・ジャパン株式会社
日本法人代表
松浦 淳 氏

ネクセンタは、旧サン・マイクロシステムズのファイルシステム「Solaris ZFS」に携わってきたメンバーが集結し、2008年に創業した企業。「OpenSolaris」や、その後継の「Illumos」などのオープンソース技術を応用して開発したSDSソフトウェアがNexentaStorです。

「NexentaStorは、Solaris ZFSで確立されている技術を使って開発したスケールアップ型のストレージ専用オペレーティングシステムです。従来型のストレージ専用製品では、個別に運用管理しなければならない多種多様なストレージを一元管理するものとして、クラウドサービス事業者や大学などで広く利用されています」(ネクセンタ・システムズ・ジャパン 日本法人代表 松浦淳氏)

NexentaStorは、ブロックストレージ(SAN)とファイルストレージ(NAS)を統合したユニファイドストレージを汎用サーバー上に構築できるのが大きな特徴。高速なオールフラッシュストレージから大容量のアーカイブ/バックアップストレージまで、あらゆるニーズのストレージを一元的に管理できます。同社では「オープンソースイノベーション」を標榜し、オープンソースコミュニティーの開発スピードや次々と創出される新機能を製品に生かしているといいます。

「レノボのサーバーでNexentaStorを動かしたいという要望が日本のお客さまからも上がっていたところに、ちょうどStorSelectの話があり、本格的な協業に至りました」(松浦氏)

事前検証済みのアプライアンスを選ぶだけ

CLOUDIAN HyperStoreおよびNexentaStorをプリロードしたDXシリーズの最大の特徴は、「既に動作検証が済んだリファレンスアーキテクチャ」である点です。

「対応ソフトウェアとその構成を認定するサーティファイドは、どのサーバーベンダーでも行っています。しかし、事前検証済みのSDSソフトウェアをプリロードしたアプライアンスとして提供できることが、レノボのDXシリーズの大きな特徴です。レノボでは、クラウディアンのDX8200Cをオブジェクトストレージのベストソリューション、ネクセンタのDX8200Nをユニファイドストレージ、特にNASの代替に最適なソリューションとして位置付けています。お客さまは、ストレージの用途と必要な容量をもとに、動作確認済みの構成の中からシンプルに選択するだけでご利用いただけます」(星氏)

つまり、DXシリーズを選べば、SDSを導入するまでにかかる工数を大幅に削減できることになります。さらに、レノボの運用管理ツール「XClarity」を利用した統合管理ができることや、保守サポート窓口をレノボに一本化できることも導入メリットといえるでしょう。

強力なサポート力と販売チャネルに期待

一方、クラウディアンとネクセンタの両社は、レノボをどのように評価しているのでしょうか。クラウディアンの本橋氏は、ハードウェアの信頼性の高さや充実した販売チャネルを挙げます。

System x は、旧IBM時代から信頼性の高さに定評があります。ストレージを構成した際の性能も申し分ありません。またグローバルに広がるレノボの巨大な販売チャネルは、SDSの認知度を高めてソフトウェア製品の拡販につながると考えています」(本橋氏)

ネクセンタの松浦氏は、レノボとの協業によって同社の課題を解決できると期待します。
「これまでネクセンタ製品を利用するお客さまは、クラウドサービス事業者や大学などが中心であり、自分たちで導入からサポートまで行えます。しかしエンタープライズのお客さまには手厚い支援が必要であり、サポート体制を整備することが急務でした。それがレノボのサポート体制のもとに製品を提供できるようになることは、当社の課題を解決する非常に大きなメリットだと感じています」(松浦氏)

DXシリーズの出荷は間もなく始まりますが、既に国内からも引き合いが多いといいます。
「StorSelectプログラム自体は、クラウディアンとネクセンタにとどまらず、時期を見てラインアップを追加していく予定です。クラウディアンはオブジェクトストレージ、ネクセンタはユニファイドストレージとして提供していくので、今後はまた別の用途に最適なベンダーと組んでいくことになるでしょう」(星氏)
StorSelectプログラム、そしてDXシリーズが、企業のSDS導入を身近なものにしていくことは間違いないでしょう。

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