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特集

専用ペン(REAL PEN)で描いた絵がリアルタイムにデジタル化されていく──。そんな「YOGA BOOK」の機能に魅了されたアニメーション制作のプロがいる。東京工芸大学芸術学部アニメーション学科助教の小栁貴衛氏がその人だ。大学教育での YOGA BOOK 活用を大きく見据える氏に、YOGA BOOK の魅力を聞く。

PROFILE

東京工芸大学 芸術学部 アニメーション学科
助教授
小栁 貴衛 氏

2003年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。大学時代にアニメーションに興味を持ち、卒業制作でアニメーションを選択。卒業後、制作会社に勤務しテレビアニメーションや映像制作に携わる。
2006年から東京工芸大学アニメーション学科で教育に携わる一方、テレビ・プロモーションビデオ・CM等のアニメーションパートや背景画を制作。アニメーションワークショップの企画・運営も行う。

いままでにない教育現場の利便性。アニメーターのデジタル移行にも最適!

アナログからデジタルに移行するアニメーション制作の現場

─ 本校アニメーション学科は日本の4年制大学ではじめて設立された学科とお聞きしました。学生はどんなことを学んでいるのですか。

小栁氏:この学科の大きな目的は、アニメーションという映像表現に関する知識・技能を身につけてもらうことです。具体的なカリキュラムは、作画、美術背景、演出、立体アニメーション、3DCG、Webデザイン、映像編集などです。
内容は、技術の習得にとどまらず、国内外のアニメーション史、アニメーションの原理原則に関する学術的アプローチ、理論など、アニメーションとその周辺領域にまで広く及んでいます。

─ 今や、アニメーションはテレビアニメだけでなく、身の回りのさまざまな分野で使われていますが、その中で小栁さんは何を教えておられるのですか。

小栁氏:美術背景が中心です。美術背景というのは、アニメーションで用いられる背景画や人物に関するデザインや作画のことです。人やモノをデッサンしたり、絵の具で絵を描いたりと「美術」的な要素が多いことが特徴です。今は、教授の渡辺由美先生と2人で、3年生のゼミを担当しています。ゼミでは、アニメーションのさまざまな美術スタイルについて、アナログとデジタルの両面からとらえて、美術背景がうまく表現された作品を制作します。その際には、作品に登場するキャラクターの設定や美術設定も行います。

─ アナログのペンや絵の具だけでなく、デジタルなツールで絵を描くことも多いのですか。

小栁氏:多いですね。アニメーションの製作現場はちょうどアナログからデジタルへの移行期にあり、手作業で紙に描かれた絵も、最終的にはデジタル処理されてアニメーション化されます。ですから、最初からタブレットを使ってデジタルな絵を描くケースが増えているわけです。

─ YOGA BOOK を使用される以前は、PCやタブレットをどのように使っていましたか。

小栁氏:私はもともとガジェット好きで、いわゆる液タブ(液晶タブレット)や板タブ(板状のペンタブレット)を日常的に使ってきました。タブレットを持ち歩いて、アイデアを思いついたときにタブレットにスケッチしたり、スケッチしたものをPCで仕上げたりしています。デジタルツールをどう映像表現に生かしていくかは学科の大きなテーマの1つですから、授業の中でもデジタルツールで何ができるかを常に試行しています。

YOGA BOOKは「イーゼル+画板」の使い心地

─ 過去もPC・タブレットを日常的に使われてきた小柳さんから見て、いままでのデバイスと比較して YOGA BOOK はいかがですか。

小栁氏:新しい発見と驚きが数多くありましたね。なかでも衝撃を受けたのは絵の描きやすさです。タブレットの液晶画面に直接ペンで描くよりも、YOGA BOOK のほうが格段にデッサンがしやすい。それには本当に驚かされました。

─ 普通に考えれば、タブレット画面に直接絵を描くほうが描きやすいように思えますが、それは間違いなのですね。

小栁氏:はい。キーボード面にスケッチし、それがリアルタイムに液晶画面に反映される、それが YOGA BOOK の利点のひとつでした。これまで使ってきたどのタブレットよりもデッサンがしやすい。理由は、YOGA BOOK を使うと対象物から線画まで視線をほぼそらさずに描くことができるからです。要するに、イーゼルに画板を置いてデッサンしたり、スケッチブックにスケッチしたりするのと同じ感覚で使えるわけです。

─ そうした YOGA BOOK の特性は、アニメーション制作のデジタル移行でも威力を発揮しそうですね。

小栁氏:おっしゃるとおりです。私のゼミの学生たちも、多くが紙を使って絵を描いていますが、彼らに YOGA BOOK を試してもらうと、一様に「描きやすい」と言い、楽しそうに YOGA BOOK を使い続けます。こうしたデジタルツールなら、紙で絵を描くことに慣れた学生やアニメーターでも抵抗感なく使い始めることができるでしょう。そして使っていくうちに、「このように線を描くと、デジタル化された場合に、こんなふうな表現になる」ということが肌感覚でつかめるようになり、デジタルツールで絵を完成させる方法も身に着けていくはずです。その意味で、YOGA BOOK は、アニメーション制作のデジタル移行を強力に後押しするデバイスとなりえるわけです。

スケッチブックのように持ち歩く

─ YOGA BOOK では主にどのようなアプリケーションをお使いですか。

小栁氏:私はAndroid版の YOGA BOOK を使っていますが、描画用に使っているアプリケーションは、いわゆるスタンダートな作画ツールや映像制作ツールです。YOGA BOOK は、そうしたグラフィックツールをストレスなく動作させるので、アプリケーションのパフォーマンス/レスポンスはすこぶる良好で、通常のPCで作業しているのと同じ感覚で作業が進められます。

─ 本体の重量やバッテリの持ち、形状などはどうですか。

小栁氏:YOGA BOOK はとにかく薄くて軽く、スケッチ用として持ち歩いていてもまったく苦になりません。また、スケッチの対象を見つけたときに、すぐに取り出して使うことができ、一日中持ち歩いていてもバッテリに余裕があります。加えて、液晶画面とフラットキーボードをつなぐ「ヒンジ」の部分も頑丈にできていて、屋外で多少雑に扱っても問題はありません。つまり、紙のスケッチブックのように扱えるわけです。
もう一つ、YOGA BOOK でスケッチを重ねる中で気づいたのは、ペンで入力する場所と入力内容を表示させる画面が分かれていることで、操作のバリエーションが増える点です。例えば、YOGA BOOK なら、右手でデッサンを行いながら、左手で画面をピンチ操作して絵を拡大させたり、回転させたりすることができます。このような操作を表示画面に直接絵を描き込むタイプのタブレットで行うと、自分の手や指が邪魔になり、デッサンのパフォーマンスが落ちてしまいます。その点も YOGA BOOK の大きなアドバンテージと言えます。

アニメーター養成の強力なデジタルツールに

─ 教材としての YOGA BOOK の可能性についてはどう見ておられますか。

小栁氏:かなり有望だと思います。例えば、学生たち一人ひとりにYOGA BOOKを持たせれば、画面上に同じ映像を流させ、それをスケッチさせるといった演習が簡単に行えます。こう言うと、プロジェクターなりを使って、一つの映像を学生たち全員に見せればいいと思われるかもしれませんが、同じ映像であっても、学生たちがスケッチするスピードや、スケッチしたいと思う場面はそれぞれ異なります。ですから、YOGA BOOK を個々に持たせ、映像の再生・停止といったコントロールを各自でできるようにするのが理想です。
また、各自がスケッチした内容はリアルタイムにデジタル化されるので、皆で即座に共有し、意見を出し合うこともできます。もちろん、インターネットでデッサンの参考になる絵や映像を探すのも簡単です。ですから、これからの時代は、YOGA BOOK のようなデバイスが教育の中心を担うようになると考えています。
いずれにせよ、アニメーション制作では、モノそのものをよく観察することが大切です。モノの構造だったり、物理法則だったりを観察で生み出していく。そうした観察力や基礎的な表現力を鍛えていくためにはスケッチが欠かせません。YOGA BOOK には、その重要な育成プロセスをデジタル化し、効率化する能力があるということです。

─ そうした教材としての活用も含めて、今後、どのように YOGA BOOK を使っていきたいですか。

小栁氏:紙のスケッチブックと同じ感覚で使えるデジタルツールは YOGA BOOK 以外には見当たらず、個人としても、ふだん持ち歩くデバイスを YOGA BOOK に絞ろうと思っています。また、YOGA BOOKがアニメーション制作教材として活用できる確信も得られました。今後も授業の中にさまざまな形で積極的に取り入れていき、デジタルの可能性を広げていきたいと考えています。

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