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導入事例

大阪大学核物理研究センター

世界有数の核物理研究を支える LenovoのHPC基盤

導入について

国際共同利用・共同研究拠点として確固たる地位を築く、大阪大学核物理研究センター

1971年に発足した大阪大学核物理研究センター(Research Center for Nuclear Physics:以下、RCNP)は、大学の中にある大型施設という特性を活かしつつ、原子核物理学と、その応用分野の最先端の研究を推進する研究施設です。また、大学附置の加速器としては国内最大のサイクロトロン加速器施設を保有する全国共同利用研究施設であり、2018年には国際共同利用・共同研究拠点(国際サブアトミック科学研究拠点)に認定されています。

大阪大学核物理研究センター長の中野 貴志氏は「私たち核物理研究センターの特徴の1つが、精密核物理学の研究です。サイクロトロン施設やレーザー電子光ビーム施設の大型実験施設を活用した実験によって、原子核に色々な粒子をぶつけて振動やエネルギーの変化を精密に測ることが可能です。また、これらの実験データを基に理論研究も進めています」と語ります。

さらにRCNPは、他機関や他拠点と連携してミューオンを用いた物質科学や加速器の医療分野への応用など、日々の生活に密着した人の役に立つ研究も本格的に進めています。

中野氏は「例えば、医療分野ではアルファ線核医学治療にも取り組んでいます。これは、体中にがん細胞がある難治性の患者の治療に役立てる研究です」と説明してくれました。

また、大学という教育機関の観点では、RCNPは、生命医科学の社会実装を推進する卓越人材の涵養を目指す「卓越大学院プログラム」の中心施設となっています。

「国際共同利用・共同研究拠点として、世界各国の研究者との交流拠点にもなっています。私たちの研究センターで学んだ研究者が、全世界の研究所や大学に派遣されて研究に従事することにも貢献しています」(中野氏)

研究施設の中核を担う原子核物理学計算機システムのリプレースに着手

RCNPは2019年、原子核物理学計算機システムのリプレースを検討開始します。同システムは様々な実験研究で得られたデータを蓄積し、そのデータ解析や理論計算を処理する役割を担っています。また、研究センター内のみならず、国内外の原子核物理学の研究者がリモートアクセスすることが可能です。現在、外国の研究者を含めた600人のユーザーが同システムを利用しています。その多くが遠隔からアクセスし、センターが保有するデータを活用して多機関が連携する共同研究に用いています。

また、中野氏は「ICTは、レーザー電子光施設や加速器施設などとともに研究センターの重要な要素であると捉えています。ICTがそろって初めて、万全な研究環境が整うと考えています」と、その重要性を説明します。

さらに原子核物理学計算機システムについては「研究施設の中核を担うと位置づけています。実験自体は数週間で終わることが多いですが、その実験データを世界中の研究者が長期間にわたり繰り返して解析することで新たな知見を得ることができるのです」と語ります。

その上で、同システムには「世界中からアクセスしやすい」「世界共通言語で解析できる」などの要件が求められるとし、特に「データ解析処理が速い」ことを満たす必要があると説明します。

システム更新で重視したポイントとは?

RCNPでは、原子核物理学計算機システムの要となるサーバーとして、Lenovoの「Lenovo ThinkSystem」が採用されました。

システム刷新プロジェクトを推進した大阪大学核物理研究センターの堀田 智明氏は、システム更新で重視したポイントについて、以下のように語ります。

「まず、高い処理能力を重視しました。原子核物理の膨大な実験データを処理したり、大規模な原子核理論の研究には必要不可欠だからです。また、安定的にシステムを運用したり、限られた人員でも問題なく運用が容易に可能である点も求めていました。さらに、実験データは機密性が高く、二度と取り直すことができません。そのため、セキュリティ面にも配慮する必要がありました」(堀田氏)

中野氏は「計算能力の高さ、大容量のデータを保存できるという性能面をまず重視しました。加えて、限られた予算の中でどれくらいサポート体制を充実させてもらえるかも重要でした」と振り返ります。

例えば、何か問題が発生した場合でも、システム運用を担当する現場の計算機室メンバーと一緒に力を合わせて、それを解決できるかという点も考慮したとのことです。中野氏は「長年蓄積してきたデータを解析できる環境を途切れなく整えつつ、さらに発展させる必要がありました」と明かしてくれました。

また、「継続性ももちろん大事ですが、データ量の増加への対応や解析処理の高速化が求められている中、将来的な発展を実現できるポテンシャルの高さも重視しました」(中野氏)。

コロナ禍でもシステム刷新プロジェクトを遂行できた理由

新システムに導入される製品が決定されたのは2020年3月頃。そこから約5カ月間の刷新プロジェクトを経て、ThinkSystemを軸とする新しい原子核物理学計算機システムが稼働開始しています。同システムの計算処理を担うバッチサーバーとして、Intel Xeonスケーラブルプロセッサ搭載の「Lenovo ThinkSystem SD530」が24台導入され、約800コアのCPUがデータ解析処理などに活用されています。また、データ送受信やジョブ制御などを担う管理サーバーとして「Lenovo ThinkSystem SR630」8台が稼働しています。

ThinkSystem SD530は、2Uラック型のモジュールタイプで最大4ノードを搭載可能な高密度なシステムです。特に、データセンターのワークロード向けに設計されており、ハードウェアに高いセキュリティ機能を備えている点などが特徴です。また、ThinkSystem SR630は、1Uのラック型サーバーでビジネスクリティカルな汎用性と、高い信頼性を備えています。

システム刷新プロジェクトで印象的なエピソードとして、堀田氏は「コロナ禍に重なってしまったこと」を挙げます。通常のシステム刷新では、ハードウェアの設置やOS、ソフトウェアのインストール、設定・立ち上げなど、多くの人員による現場での作業が伴います。

ただ、プロジェクト実施時には人の移動が制限されている状況下にあったとのことです。そのため、短期間、かつ少人数でプロジェクトを実施する必要がありました。堀田氏は「幸い、遠隔での管理機能を活用したり、Lenovoの効率的な運用体制による支援もあり、無事に立ち上げることができました」と振り返ります。

総合的な価値が高く、先進性のあるシステムを提案してもらいたい

RCNPでは現在、世界最高性能の加速器に関わる加速器・ビーム物理の研究を実施しています。また、医理連携による革新的がん治療・診断を目指した次世代加速器・照射システムの開発研究などにも挑戦しているとのことです。

中野氏は「こうした加速器研究では、さらに膨大なデータを蓄積する必要があります。今回刷新したシステムには、そうしたデータを保存するとともに、世界中からアクセスしてくるユーザーに対して『データ処理時間を待たない』『安定的に稼働する』『アクセスしやすい』環境を継続的に提供してほしいと考えています」と語ります。

また、「システム導入時は主にLenovoのハードウェアの性能面に魅力を感じていました。今後は、戦略的なパートナーとして問題解決やシステム改善などをソリューションとして支援してもらうことで、ソフト面でも連携を深めていければと考えています」と期待を寄せていることを示してくれました。

さらに中野氏は「実験・理論研究とともに人材育成も研究センターの重要な使命だと捉えています。世界的に大きなシェアを占めているレノボのシステム環境を研究や教育に活用することで、国際的に活躍できる人材育成支援にも貢献できることを望んでいます」と語ります。

堀田氏は「RCNPでは、研究の内容や手法によって、コンピュータの利用形態は様々です。そのため、計算機システムには特定の用途に特化したHPC基盤というだけではなく、多様な要望に柔軟に対応することが求められます。日々、新しい研究が生まれる中、システムに対しても様々な要望が寄せられています。たとえば、機械学習を研究に取り入れたい、大規模な並列計算をしたいという声もあります。そうしたニーズに柔軟に対応できる最適なシステムを整備していきたいと考えています」との見解を明らかにしてくれました。

さらに堀田氏によると、将来的にはオンプレミス環境の計算サーバー、ストレージだけではなく、クラウドの活用も検討していきたいとのことです。たとえば、研究の多様化にも応えられるような利用者のデマンドに応じた計算機リソースを提供する形態も考えられると言います。

「ITベンダーには、安価で高性能なハードウェアの提供は言うまでもありませんが、システムの安定性や運用のしやすさ、サポート体制を含め、システムを運用する立場の人員の負担が軽減されるような仕組みやテクノロジー、ノウハウを供給してくれることを望みます。Lenovoにはハードウェアや運用サポートなどを含め、総合的な価値が高く、さらに先進性のあるシステムを提案してもらいたいですね」(同氏)

ICTの有効活用で人類の課題解決に貢献したい、中野センター長が見据える未来社会

中野氏は「複雑性を増す社会の中、より良い未来社会をはっきりと描いていくためには、『実現したい未来から逆算して、今、何が必要なのか』を考えられるバックキャスティングができる研究者、人材を育てる必要があります。その取り組みを支援していきたいです」と同センターの今後の方向性を語ってくれました。

また、「その実現にはICTの役割がますます大きくなると考えられます」との見解を示します。一方で「このペースでシステムを使い続けていくと、そこにかかる電気代が多くかさみ、さらにデータを格納するスペースにも限りが出てきます」との懸念を口にします。

堀田氏もまた、「計算機システムを設置・運用する上では、消費電力や環境に配慮するのは世の中の流れとして当然だと捉えています。こうした観点は、直接研究費の有効利用にも関わってくる重要なことだと考えています」と認識しているとのことです。

Lenovoでは2019年から包括的な従量課金制インフラサービス「Lenovo TruScale Infrastructure Services」を提供しています。このサービスでは、同社のデータセンター用ハードウェアやサービスに対して、消費電力に基づくサブスクリプションベースの販売形態を取っています。また、LenovoがIBMのメインフレームから継承した液体冷却技術「Neptuneテクノロジー」を活用した電力消費の効率化やコスト削減にも取り組んでいます。

同社はこうした施策を展開することで、2030年までの世界の「あるべき姿」を示すSDGsへの取り組みを推進しています。その実現には中野氏と同様、バックキャスティング思考への転換が必要だと考えています。SDGs対応に最適なシステム環境の整備を着実に進めているのです。

最後に中野氏は「今後はよりコンパクトで、消費電力が少なく、今まで以上の高い計算能力を持つシステム環境が必要になってきます。こうしたシステムをしっかりと整備することで、核物理の分野の研究を超えた人類の課題解決にも役立つ成果を生み出していきたいです」と、さらなるICTの有効活用によって同センターの将来的な発展を目指すと力強く語ってくれました。

「計算能力の高さ、大容量のデータを保存できるという性能面をまず重視しました。加えて、限られた予算の中でどれくらいサポート体制を充実させてもらえるかも重要でした。データ量の増加への対応や解析処理の高速化が求められている中、将来的な発展を実現できるポテンシャルの高さなどの要件が求められていました」

大阪大学核物理研究センター
センター長 中野 貴志氏

「私たちが求める計算機システムは『高い処理性能を持ち、ユーザーにとって利便性が高い』こと、同時に『システム運用側にとって使い勝手の良いシステムである』ことなどたくさんあります。研究の多様化にも応えるためにも、Lenovoにはハードウェアや運用サポートなどを含め、総合的な価値が高く、さらに先進性のあるシステムを提案してもらいたいです」

大阪大学核物理研究センター
准教授 堀田 智明氏

この課題を解決した製品・ソリューション

  • Lenovo ThinkSystemとは

    高い信頼性・性能の代名詞であるIBM DNAをそのままに、サーバー製品、ストレージ製品、ネットワーク製品をラインアップしています。実績がある高信頼性、高性能に加えて、洗練された管理性を提供しています。さらに業界標準のAPIをサポートし、次世代型インフラとして多くのお客様の要求に応えられるソリューションがLenovo ThinkSystemです。

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