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特集

ThinkPad P14s 検証

過酷なシーンでも快適に動作するモバイルワークステーション

製造現場では切削や研削といった加工機用のデータを扱ったり、設計データの確認や試験結果のデータ収集など、様々なシーンでモバイルワークステーションが利用されています。工場の環境によっては粉塵が舞っていたり、空調設備がなく高温になったり、PCの置き場が確保されておらず振動や落下にさらされるなど過酷な環境下で作業が必要な場合もあるでしょう。

そのため製造現場で使用されるモバイルワークステーションには、あらゆる場所でも快適に使用でき、かつ故障にも強いといった高い堅牢性・耐久性が求められます。そこで今回は、包装・梱包サービスの提供とともに梱包・包装資材の製造も行う内外産業株式会社の協力のもと、実際の製造現場に赴き、工場の過酷さやモバイルワークステーションの利用状況の調査を行いました。

調査には内外産業とパートナーシップ関係にあり、オートデスクの3D CADソフト 「Inventor」「Fusion 360」などの導入支援サービスを提供する株式会社CADistとレノボ大和研究所でPC製品の強度テストを担当する小林 康浩も参加。検証にはコストパフォーマンスに優れるエントリーモデルのモバイルワークステーション ThinkPad P14sを使用しました。


いたるところに粉塵、高温、衝撃のリスクが潜む工場現場

まず、調査に協力いただいたCADistと内外産業の詳細について説明します。

CADistは、オートデスクの3D CADソフト「Inventor」「Fusion 360」の導入支援サービスを提供する、3D CADに特化した導入コンサルティングを行う企業です。

ほかに3D CADトレーニングスクールやクラウドサービス導入支援、Excelシステム提供などの業務も行っています。実際に調査に参加したのは、同社CSOの千野 貴弘氏とCEOの矢口 宣行氏です。

内外産業は、包装・梱包サービスの提供とともに梱包・包装資材の製造も行う企業です。梱包資材に使うダンボール緩衝材の設計に3D CADを活用しています。


同社工場では、梱包資材の集積とともに強度テストが行われていますが、同時に木製パレットの製造も行っており、その現場環境はかなり過酷なものになっています。工場内のモバイルワークステーションの使い方について説明してくれたのは、同社営業部 部長の宮田 康裕氏です。

はじめに宮田氏は、内外産業の工場内でどのようにThinkPad P14sが利用されているか解説しました。

「基本的にCADで図面を作成するのは事務所内ですが、そのデータを工作機械に転送する場合や、図面を直接見ながら作業する場合には、作業場にPCを持ち込むことになります。

また、工場内で梱包材の強度試験を頻繁に行っており、そのデータ収集を行う際にもPCを持ち込みます」(宮田氏)

内外産業の工場においては、3つの過酷なポイントがあります。


(1)粉塵
工作機械近辺には木材を加工する業務用大型電動ノコギリが備え付けられており、作業中は木材粉塵が舞います。その近辺にPCを置いて作業することがあり、木材粉塵がファンを通して内部に入り込むこともあります。

(2)高温
内外産業の工場は、梱包資材の搬入出を考慮した設計になっているため、完全密閉型ではありません。そのため夏場は、中二階にある資材置き場をはじめとする一部スポットの気温が40℃を超えます。PCを資材置き場に持ち込むこともあり、高温の中での駆動が求められます。

(3)衝撃
PCを持ち運びながら作業するため、何らかの拍子で筐体を落下してしまったり、バランスを崩して壁面にぶつけたりすることもあります。また同社では、CADで設計している緩衝材の強度テストを行っており、正確な数値を得るために机上に厚さ3cmの鉄板を敷き、そこに計測機械とPCを置いています。机上はスペースも限られているため、誤って作業台から筐体を落としてしまうこともあるそうです。


このように、粉塵によって内部ファンが故障してしまったり、高温によって動作不良やバッテリー故障が生じたり、落下の衝撃でPCが破損したりと、さまざまなリスクにさらされています。

業務用大型電動ノコギリ付近でPCを操作することもある。
※通常、作業場ではヘルメットと手袋の着用が必須となっています。今回は撮影のために機会を止めたうえで特別に外していただきました。

「過酷な環境下での使用もありますが、それ以外の扱い方の部分でもPCに負荷をかけていると思います。例えば、工場内で液晶を開いたまま持ち歩くことも少なくないのですが、そのときにはパームレスト部(※タッチパッドとキーボードを除くスペース)を持って歩くことが多々あります。また、細かい部分ですが、二の腕にPCをかけて片手で操作することもあるため、ボタンのタッチ感も重要になります」(千野氏)

「普通のノートPCを持ち込めばいいのでは?」と思うかもしれませんが、製造現場ではそうともいきません。3D CADソフトを快適に稼働させるためには、やはりワークステーションレベルのスペックが必要になってきます。

例えば、製造業向け3D CADソフトウェアの「Autodesk Inventor 2021」の場合、推奨スペックとして「CPU:3.0GHz、メモリ:32G以上、グラフィックス:帯域幅 106GB/秒の 4GB GPU(DirectX 11 対応)」といった高いスペックが要求されるため、通常のノートPCではスペック不足に陥りかねません。工場内で3D CADを快適に動作させるには、モバイルワークステーション並みの性能は必須なのです。

  • 作業台の上が平らであるとは限らないため、キーボードの押しやすさもポイントになる

  • パームレスト部を片手で持って工場内で動き回るのが日常とのこと

厳しい品質テストをクリアした信頼性の高いThinkPad P14s

上述したようなシーンにおいてもThinkPad P14sは必要十分の性能を発揮するポテンシャルを有しています。

「ThinkPadは、厳しい品質基準を守ってきたことで知られるシリーズであり、過酷な環境に耐え得る高い堅牢性と信頼性を有しています。また、ハイパフォーマンスにも関わらず、ThinkPad P14sだと筐体自体の重さが1.2kgと可搬性にも優れています」(小林)

ThinkPadの厳しい品質基準テストは、別名「拷問テスト」とも呼ばれるもので、アメリカ国防総省制定のMIL規格に準拠しているのはもちろんのこと、レノボ・ジャパンにおける厳しい内規をクリアしたものしか製品化されないという徹底ぶり。設計開発段階より実際の使用環境を想定し、その想定を超えるような厳しい品質テストを繰り返しています。

「耐久テスト」では、本体の強度に関するテストが行われます。液晶画面の開閉や筐体への加圧が繰り返され、激しい圧力がかかった場合でも耐えられるかチェックします。

「環境テスト」では、温度や湿度の変化に対しての耐久度が計測されます。一般的にPC、ワークステーションの動作範囲は5~35℃といわれていますが、レノボ・ジャパンではそれを超えた範囲での動作テストを実施しています。

「振動・衝撃テスト」では、ThinkPadに振動を与えたり、高所から落下させたりといった衝撃を与え、落下テストでは、6面落下や角落下といった落とし方など、あらゆるシチュエーションでの耐久度が計測されます。ほかにも「音響テスト」「電磁波テスト」などいくつものテストを行うことで、ThinkPadの高耐久性が担保しています。

「粉塵については、冷却ファンの吸気により筐体のスリットやキーボード部分から粉塵やほこりが内部の基板に入りにくい構造になっています。もちろん、高温時の運用や落下への耐衝撃性も備わっています。」(小林)


優れた堅牢性はもちろん、作業者にストレスを与えない操作性・モバイル性も魅力

これらの特徴を持つThinkPad P14sを千野氏と宮田氏は次のように評価します。

「仕事柄、内外産業のような工場にモバイルワークステーションを持ちながら出入りするシーンが多くあります。作業スペースが限られる現場もあるため、アチコチに筐体の角をぶつけてヒヤリとすることもあります。ですが、頑丈な構造になっているThinkPad P14sなら安心して使うことができます。またその軽量感には驚かされたと同時に、並々ならぬ企業努力を感じました。今後は当社とお付き合いがあるクライアントにもThinkPad P14sをおすすめしていきたいと思います」(千野氏)

「日々工場内でPCを使用していますが、壊れにくいということは非常に重要なポイントです。また、工場内で持ち運ぶことが多いため、筐体の軽量化については大変歓迎しています。キーボードについても、どこのボタンを押してもタッチ感が変わらず、中央部分のキーを叩いたときに筐体が歪むといった些細なストレスも感じないため快適に使えます。開発者でもあるレノボ・ジャパンの小林さんにThinkPad Pシリーズが堅牢な理由を伺いましたが、常日頃の努力が実際に製品品質となって反映されていると実感できました。これからも現場に寄り添った性能と堅牢性を持つThinkPad Pシリーズを使い続けていきたいと考えています」(宮田氏)

製造業の多くの作業現場では高度なシミュレーションや解析も行われています。当然ながらノートPCではこれらの処理が難しいため、モバイルワークステーションが活用されていくことでしょう。粉塵や高温など厳しい条件にも耐えられる堅牢性・信頼性はもちろん、現場内を絶えず歩き回ることから軽量性も重要な要件になります。ThinkPad Pシリーズは、今回検証に利用したエントリー向けのThinkPad P14s以外にもより複雑な設計やシミュレーションにも対応可能なハイスペックモデルも用意しており、製造業の生産性向上の一端を担う存在になり得ることでしょう。



  • 内外産業株式会社
    営業部 部長
    宮田 康裕氏

  • 株式会社CADist
    取締役CSO(最高戦略責任者)
    千野 貴弘氏

  • 株式会社CADist
    取締役CEO(最高経営責任者)
    矢口 宣行氏

  • レノボ・ジャパン合同会社
    シニアマネージャー
    製品保証 HWテスト技術
    ThinkPad開発
    小林 康浩

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