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導入事例

千住金属工業株式会社

【特別縣談】千住金属工業×レノボ
鉛フリーはんだの低温接合を実現
──業界驚愕の技術革新を生んだ共同開発の軌跡

開発について

装置・工法を一体で提供する、はんだ技術のリーディングカンパニー

千住金属工業 山本氏

レノボ・小菅:まずは、御社(千住金属工業)の特色についてお話ください。この記事を読まれる方のために、御社の強みを知っていただきたいと考えます。

千住金属工業・山本氏(以下、敬称略):当社では、製造企業を主要な顧客として、はんだ材料やFA装置などの開発・提供を手掛けています。取引先は全世界で2,000社以上に上り、そのうちの約1,500社が海外のお客様です。

レノボ・小菅:売上げの主力は、はんだですか。

千住金属工業・山本:ええ、はんだの事業が、売上高の約8割を占めています。また、はんだに関しては「総合力で業界トップ」と自負しています。特定分野で当社よりも大きなシェアを持つ会社はありますが、当社の場合、製品ラインアップが豊富で、広範な領域をカバーしていますし、それらすべての領域において世界屈指の実績を堅持しています。

レノボ・小菅:はんだにおける技術面でのアドバンテージについても、お聞かせください。

千住金属工業・山本:技術面では、「TRINITY SMIC」を標榜し、はんだ材料のみならず、はんだ付けのための装置、そして工法の3つの技術を一体として提供している点が特徴です。このようなメーカーは他にあまり例がないと思います。また、全社員の2割が研究開発に携わっていて、はんだ技術とFA装置に関する特許は合計で1,222件に達しています。


部品実装時の不良率を下げるには、低温プロセスが必須だった

レノボ・小菅:山本さんのお話を聞いて、改めて御社の実力のほどが確認できました。我々が求めた「鉛フリーはんだの低温接合技術」も、御社の力があったからこそ実現できたと改めて感じています。

千住金属工業・山本:そもそもなぜ、ThinkPadに鉛フリーはんだの低温接合技術が必要だったのでしょうか。

レノボ・小菅:鉛フリーはんだは、環境性能は高いのですが、鉛はんだよりも、はんだ付けのプロセスが高温になるという問題を抱えていました。はんだ付けのプロセスが高温だと、PCの基板が反ってしまったり、実装した半導体に熱ストレスがかかり、不良率が上がったりします。

とりわけ、近年のノートPCは薄型化・軽量化が進み、基板がとにかく薄くなっています。たとえば、「ThinkPad X1」シリーズの基板の厚さにしても、わずか0.65mmです。加えて、半導体についても、チップの高集積化やパッケージの小型化が進んでおり、どちらも熱処理のインパクトが非常に大きくなっているのです。

千住金属工業・秋田氏(以下、敬称略):その課題解決のための技術パートナーとして、当社を選ばれたわけですが、パートナー選定の決め手は何だったのですか。

レノボ・小菅:レノボ(の日本法人)と御社とは、レノボがIBMだったころからの長い付き合いです。具体的には、「IBM PS/55」時代から今日に至るまで、御社のはんだを数十年の長きにわたり、使い続けてきたわけです。

千住金属工業・秋田:なるほど、その長い付き合いを通じて当社の技術力をご評価いただいてきたということですね。

レノボ・小菅:そのとおりです。レノボが行っている取引先の評価において、御社ははんだペースト分野で常に1位、2位をキープしています。ですから、低温でのはんだ付けプロセス(以下、低温プロセス)の開発協力を御社に要請したのは、ある意味、当然の選択だったと言えます。結果として、御社にはご苦労をかけましたが(笑)。

千住金属工業 秋田氏

千住金属工業・秋田:確かに、苦労をしなかったと言えば嘘になりますね(笑)。レノボから相談を受けて、鉛フリーはんだでの低温プロセスの実験を開始してから技術の完成までには足掛け3年近い歳月がかかりましたから。

千住金属工業・山本:その開発の流れは、どのようなものだったのでしょうか。

千住金属工業・秋田:当社でプロセスを工夫しながら試験的にCPUを実装し、それを小菅さんが大和研究所に持ち帰って信頼性評価を行うといった流れでした。レノボさんの評価は厳しく、パスするまでには相当の時間がかかりましたね。


レノボ・小菅:そう、確か3回目のトライで評価にパスしたと記憶しています。そこで改めてお聞きしたいのですが、低温プロセスの開発は、どの辺りがチャレンジングだったのでしょうか。

千住金属工業・秋田:鉛フリーはんだにはいくつかの合金系統があって、今回使ったのはその中の「Sn-Bi(スズ-ビスマス)系」です。一般的には固くて脆いとされる合金で、ThinkPadのように持ち歩くことを前提にしたデバイスでは、使わないのが業界の常識でした。それを使ってレノボの要求が満たせるレベルに持っていくのは、やはり大変でした。

レノボ・小菅:それでもトライする価値はあったと。

千住金属工業・秋田:ええ、業界の誰も成しえていなかったことですし、実現すれば大きな効果が見込めると確信していました。ですから、1回目の評価でパスできなかった反省を活かして、合金素材や工法を一から見直し、2回目の評価に臨んだわけです。結果としては、評価をパスできませんでしたが、目標に近づくことができ、我々も相応の手応えが得られました。

レノボ・小菅:評価を厳しくしたのは、低温プロセスを最初に適用する対象をThinkPadに決めていたからです。低温プロセスに何らかの問題があり、ThinkPadが長年にわたって培ってきた信頼・信用に傷をつけるような事態に発展すれば、私一人が責任を取れば済むような話ではなくなります。ですから、慎重の上に慎重を重ねたわけです。

千住金属工業・秋田:その点は、我々も理解していました。ですからあらゆる創意工夫を凝らして3回目の評価にトライし、機械的強度を含むすべての評価水準をクリアすることに成功したのです。こうして完成させた技術は、はんだ業界にいる誰もが実現したいと望みつつも、一方で、実現は不可能と見ていたものです。私自身も当初は、Sn-Bi系の機械的強度ではノートPCに採用するのは無理だと思っていました。

ところが、レノボさんは、それに果敢に挑み、実現しようとする姿勢を崩そうとしない。その熱意に、我々も影響を受けて、さまざまな困難を乗り越えられたと感じています。

低温プロセスでは、材料だけでなく、はんだ付けの全工程をきっちり突き詰めなければ、達成できません。実際の製品に取り入れる際には、極めて繊細な工法を本番の基板実装ラインに落とし込むことが必要です。それはまさにイノベーションで、それを実現したレノボの製造技術力の高さには本当に驚きました。

レノボ・小菅:それは、秋田さんを含めて、御社の研究開発の方々に当社工場に幾度も来ていただき、工法の現場への落とし込みを支援していただいた結果だと考えています。工場は少し遠かったでしょう(笑)。

千住金属工業・秋田:うーん、近くはなかったですね(笑)。ただ、レノボの製造プロセスのイノベーションに協力できたので、モチベーションは高く維持できました。

製品故障率が3割減、基板の反りが半減

千住金属工業・山本:ここで、低温プロセスの活用状況について改めてご紹介いただけますか。確か、鉛フリーはんだの低温接合技術を最初に適用したのは「ThinkPad X1 Carbon」の第5世代製品だと記憶していますが。

レノボ・小菅:そのとおりです。また、2018年には他のThinkPad製品や「IdeaPad」などすべてのレノボ製品に取り入れる予定で、2019年のモデルについては、100%低温プロセスでの製造になる計画です。

千住金属工業・山本:効果はいかがですか。

レノボ・小菅:おかげさまで効果は大きいですね。例えば、ThinkPad X1 Carbonについては、CPUのジョイントやCPU自体の初期不良が従来の半分以下となり、基板の反りも半分以下に減りました。1年以上使った後の製品故障率も3割減少しています。さらにプロセスが低温化された結果、CO₂排出量削減にもつながりました。2018年度では、全世界24ライン合計で5,900立方メートルのCO₂削減が見込まれ、環境にも大きく貢献できると考えています。

千住金属工業・山本:レノボにそうした効果を出していただけると、我々のビジネスにもプラスとなり、開発の努力が社会貢献にもつながっていきます。こうしたプロジェクトに微力ながら協力させてもらえたことに、改めて感謝しています。

レノボ・小菅:鉛フリーはんだの低温接合技術はすでに無償で公開することを決めていて、近い将来、工法についても公開するつもりです。この工法が他の電子機器メーカーにも普及すれば、半導体メーカーもパッケージ内のはんだ接合プロセス温度を以前より下げることができ、環境への寄与度はさらに高まるはずです。

千住金属工業・秋田:低温プロセスは、PCの他にも様々な製品に効果があるでしょう。基板の反りが小さくできるので、ほとんどの電子機器にメリットがあります。また、例えばウェアラブルデバイスのフレキシブル基板、CMOS撮像素子のように特に熱に弱い部品などにも、大いに役立つはずです。
我々が積み重ねてきたデータの裏付けもありますから、多くの電子機器メーカーが追随してくれるでしょう。それに何よりも、信頼性・堅牢性で定評のあるThinkPadで採用されて大きな効果が出ているという点は、大きな実績として重視されるはずです。

千住金属工業は社内PCとしてもThinkPadを長年愛用

レノボ・小菅:そう言えば、千住金属工業の皆さんも、ThinkPadをお使いいただいているようですが、使い心地はいかがですか。

千住金属工業・山本:社内ではいくつかのメーカーのPCを使っていますが、導入台数ではレノボ製品が最も多いですね。特に、海外出張の多い社員や海外出向の社員の間では、150ヶ国以上の国でハードウェアの修理サポートが受けられる「国際保証サービス(*)」が充実しているという理由から、ThinkPadが好んで使われています。
*「国際保証サービス」:Lenovoの製品を購入された国だけでなく、海外に持ち込んだ場合にも、購入された国の保証期間内であれば持ち込み国の保証サービスに準じたサービスを現地の修理センターにて受けられるもの。

千住金属工業・秋田:私もThinkPadを長年使っていますが、故障がしにくく、ブランドとしても飽きの来ない良さを感じます。今後のThinkPadには、今回開発した工法が採用されるわけですから、万が一、当社に導入したThinkPadが壊れた際には、自分たちでも解析してみようと考えています。まあ、壊れることはまずないと思いますし、そう願っていますけど(笑)。

レノボ・小菅:安心してください。また、これからもThinkPadをご愛用いただければ嬉しい限りです。このたびは、縣談にご対応いただきまして、ありがとうございました。

千住金属工業・秋田/山本:こちらこそ、ありがとうございます。今後も当社との末永いお付き合いをお願いいたします。

千住金属工業にて取材

鉛フリーはんだの低温接合については、私自身も含め業界全体が無理だろうと考えていました。それにレノボが果敢に挑み、我々の挑戦を牽引してくれました。レノボと当社が成し遂げたことは、まさしくはんだのイノベーションです。

千住金属工業株式会社
国際事業部 統轄部長
秋田 智氏

鉛フリーの低温接合技術の開発は、レノボにとっても、当社にとっても、そして業界や社会全体にとっても意義の大きな取り組みです。そのようなプロジェクトに微力ながら協力させてもらえたことに感謝しています

千住金属工業株式会社
CSR・広報宣伝部 広報宣伝課 担当長
山本 忠夫氏

千住金属工業には非常に厳しい要求を出し続けましたが、数々の難題を見事にクリアしていただきました。開発のパートナーとして千住金属工業を選んだよかったと感じています

レノボ・ジャパン株式会社
プラットホーム アンド パッケージ開発
ディスチングイシュト エンジニア/部長
小菅 正

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