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ThinkPad P70/50完全検証

Thunderbolt 3/USB 3.1 Type-Cを含む最新最強のインターフェース

ノートPC型になると拡張性やインターフェースを心配するかもしれないが、最新のThunderbolt 3を搭載するため、超高速ストレージを使ってのデータのやりとりも心配いらない。しかもThinkPad P70はThunderboltを2ポートも搭載している。
Thunderbolt 3のインターフェースはUSB Type-Cを含むため、新しい形状のUSBポートとしても利用可能。これらのインターフェースはまだ始まったばかりだが、今後、普及することが確実な規格なだけに、今後数年間に渡ってThinkPad P70/P50を利用した場合でも、新しい周辺機器との接続に困らないはずだ。
そして、Mini DisplayPortはThunderboltと独立して装備する。4K解像度のモニターへの出力など超高解像度での出力に対応するほか、純正オプションや市販品の変換ケーブルによって従来方式の映像出力など柔軟に対応できる。映像出力としてはHDMIポートもあり、HDMI 1.4に対応するため、こちらでも4K出力が可能となっている。
また、USBインターフェースはすべてUSB 3.0となり、ThinkPad P70、P50ともに4ポートを装備する。マウスなどの入力機器をはじめUSBメモリー、外付けHDDやセキュリティオプション、ソフトウェアによっては認証のための機器を接続することもあるため、多めに装備している。

  • ThinkPad P50の背面にThunderbolt 3/USB Type-Cをはじめインターフェースが並ぶ

  • ThinkPad P50の右側面にはUSB 3.0やMini DisplayPort

  • ThinkPad P70の背面インターフェース。Thunderbolt 3/USB Type-Cが2ポートある

  • ThinkPad P70の右側面にUSB 3.0が3ポート、Mini DisplayPort。中央はオプションでExpressCardが装備できるほか、その下はSDカードスロット

  • ThinkPad P70の左側にもUSB 3.0を装備

  • 写真はThinkPad 70だが、ThinkPad P50も同様にスマートカードスロットを装備できる。セキュリティに必要な会社で重宝する

確実な安定動作を実現、FLEXパフォーマンス・クーリングを開発

最新プロセッサーやグラフィックスの搭載はもちろんだが、ThinkPad P70/P50にはほかにも特徴は多数ある。長年にわたってハードな業務利用に耐えてきたThinkPadならではのノウハウを惜しみなく投入している。
まずは放熱性能。安定動作のために「FLEXパフォーマンス・クーリング」を採用。プロセッサーやグラフィックスをはじめ熱を出すパーツをしっかり冷やすことは当然として、クリエイティブな作業の邪魔にならない静かさも同時に実現している。
しっかり冷やすということは、作業を安定して継続できるだけでなく、最高のパフォーマンスを常に提供できるということ。熱でダウンしそうだから操作が遅くなったのでは、せっかくの高性能プロセッサーとグラフィックスを搭載した意味がない。また、最近のプロセッサーは熱が許す限りクロックを上げてパフォーマンスを稼ぐ「ターボブースト」機能があり、冷やせば冷やすほど処理性能が上がる。そのため、大きなファンを早く回せば冷却性能は確保できるが、それでは騒音が大きく、クリエイティブな作業を妨げかねない。
ThinkPadを開発する大和研究所にはその相反する課題をクリアするノウハウがあり、これまでも高い処理性能と静音性を両立させてきた実績がある。今回の新製品、ThinkPad P70/P50では、CPUとGPUのそれぞれにファンを持つデュアルファン構成とし、CPUとGPUはヒートパイプを介して熱で結合、相互に冷却性能を補完する。これによって静かでよく冷え、ターボモードの持続時間が長い動作を可能にしている。

  • 写真はThinkPad P50だが、キーボードを外すとマグネシウムボディのすき間から銅製のヒートパイプや左右のファンが見える

  • 手前がThinkPad P50、奥が既存のThinkPad W541。ThinkPad W541は片側コーナーだけの吸排気だが、ThinkPad P50はボディの左右にファンがあり、左右コーナーとも吸排気で行われる

スタイルは伝統のThinkPadのキーボード、パッド側のボタンも3ボタン独立に

ThinkPadシリーズは代々キーボードに良い評価をいただいているが、ThinkPad P70/P50もThinkPadのキーボードたる打ちやすさを備えている。ホームポジションから手を離さずにマウス操作ができるトラックポイントの装備はもちろんのこと、今回からパッドを多用する方にはうれしいパッド用の独立した3つのクリックボタンを装備した。3ボタンを必要とするCATIAなどのアプリでの使いやすさも増している。
セキュリティ対策が簡単にできる指紋センサーも新型を搭載した。従来はスライドして認識するものだったが、新型では押し付けるタイプとなり、さらに使いやすくなっている。
ボディの外見デザインも新しくなっている。従来のThinkPad Wシリーズではバッテリー部分が少し出っ張っており、カバンへの収まりが良くなかったがThinkPad P70/P50は底面がフラットとなりバッテリーが前部に移動した。それによってインターフェースが背面に装着できるようになり、より多くの拡張性を確保できるようになった。
外見ではもうひとつ変わったところがある。ThinkPadは昔からブラックと決まっているが、色合いが変化し、濃いブラックへと変更になったこと。よりシックなイメージへと変わっている。

  • キーボード、中央にはトラックポイントを装備しホームポジションから手を離さずマウス操作が可能

  • パッドは3ボタンを独立して装備し、中央ボタンを多用するソフトにも対応する

  • ThinkPad P70の指紋センサー

  • ThinkPad P50の指紋センサー

  • 新しいThinkPad P50(左)と既存のThinkPad W550s(右)、同じブラックだが色の濃さが変わっている

  • ThinkPad P50の天面。ThinkPad P70も同様だ

デスク利用を兼ねる際は合体型ドッキングステーション

モバイルワークステーションとはいえ、デスクに座って長時間作業をすることもある。その際は本体の画面だけではなく、外部モニターを接続したマルチモニターとしたり、使い慣れたマウスやキーボードを使ったり、社内ネットワークへの有線LAN接続も必要だ。そして、肝心のACアダプターの接続も忘れてはならない。
いちいちすべてのケーブルも接続するのは面倒。しかも、ACアダプターの接続を忘れて充電忘れをしてしまい次の移動の際にバッテリー切れで困ったという経験もあるかもしれない。また、セキュリティのためにPCをデスクに固定しなければならない会社もあるが、デスクトップタイプは固定したままで良いが、ノート型では毎回あのロックを装着するのが面倒ということもある。
ThinkPad Workstation ドックを使えば、ドッキングステーション装着は一発でOK。上から載せるだけですべての接続が完了するほか、強固に接続されるので、ドッキングステーション側をセキュリティワイヤーで固定しておけば、ドッキングした本体はカギで固定でき、ワンタッチで脱着ができる。
ThinkPad Workstation ドックはインターフェースが多いことも特徴。ずらりと6個並んだUSBポートは足りなくなることはないだろう。また、ポータブル機器の充電にも使えるよう、PC本体に関係なく給電されるポートも備えているため、何かの充電のためにPCの電源を入れるという本末転倒なこともない。映像出力はDisplayport、HDMI、DVI-DそしてアナログRGBとこれで接続できないものはないというほど揃っている。

  • ThinkPad Workstation ドックに装着したThinkPad P50

  • 後部にドッキングすることとなる

  • ThinkPad Workstation ドックのインターフェース

  • ThinkPad Workstation ドックには十分な容量を持つACアダプターが付属する

カラーキャリブレーションやペンの利用も

ThinkPadのモバイルワークステーションシリーズで好評のカラーキャリブレーションも搭載可能。映像関係の作業には必須の色の調整は、本体に内蔵したキャリブレーターで調整できる。本体を閉じ、専用ソフトを立ち上げて待っているとチューニングが完了する。
また、タッチパネル搭載モデルでは2048段階の筆圧を検地するペン「ThinkPad Pen Pro」に対応する。タッチパネルの便利さは言うまでもないが、より細かく画面操作をしたり、画面に直接指示を書き込んだり、メモ書きなどにも対応する。手書き入力の柔軟で便利なところをワークステーションでも活用できるうようになった。

  • キャリブレーションのセンサーは左側パームレストにある

  • センサー部分。液晶を閉じてカラー状態を測定し補正する

  • ThinkPad Pen Proが対応する

  • ThinkPad Pen Pro

  • 手書きでメモをしたり何かを描くなど活用は自由だ

デスクトップ型に匹敵する高性能モバイルワークステーション

ThinkPad P70/P50の第一の特徴はインテル® Xeon® プロセッサー搭載と高い計算処理を行うワークステーション用グラフィックスを備え、デスクトップやタワー型の据え置き型ワークステーションに匹敵するパフォーマンスを持っていることとなる。
しかし、それだけではない。ここで紹介したようにメモリー、ストレージの充実をはじめ、液晶、キーボードなどの入力部分、そしてバッテリー運用やデスクに戻っての活用までも十分に考えられたものとなり、高性能を十二分に引き出すデザインとなっていることも特徴だ。

  • ThinkPad P70の本体重量。17型と大型の液晶や高性能パーツをふんだんに装備しているため、今回の試作機の実測は3.76kgとなっている。

  • ThinkPad P70本体とACアダプターを合計すると4.72kg

  • ACアダプターだけでは960g。ACケーブルはアース付きの3極ケーブルとなっている

  • ThinkPad P70のバッテリーは着脱式。必要に応じて予備も用意できる

  • ThinkPad P50の本体重量。15型タッチパネルのワークステーションで高性能パーツや冷却システムを詰め込んでいるが、試作機の実測は3kgを割り込む2.88kg

  • ThinkPad P50とACアダプターをまとめると3.52kg

  • ACアダプターだけでは0.64kg

  • ThinkPad P50のバッテリーは着脱式。パームレスト下に装備する。予備もオプションとして用意している

据え置き型のワークステーション並みの性能にプラスして、持ち運んでも使えるというメリットがあるThinkPad P70とThinkPad P50、ワークステーションを検討中のすべての人に、候補としてほしい。

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