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特集

これまでのノートパソコンとタブレットの常識を覆す、数多くの機能が盛り込まれた「Lenovo YOGA BOOK」。専用の「REAL PEN」で書いたメモをそのままデジタイズできる画期的な手書き入力機能は、クリエイティブな職業の人たちの間でも注目の的だ。そんな YOGA BOOK の活用方法を、日本を代表する工業デザイナー、根津 孝太氏に聞いた。

PROFILE

有限会社 znug design
工業デザイナー/クリエイティブコミュニケーター
根津 孝太 氏

千葉大学工学部工業意匠学科でプロダクトデザインを学び、新卒でトヨタ自動車に入社、10年以上にわたり、車両の企画・開発に携わる。
2005年の愛・地球博で発表され話題を集めたトヨタの未来型パーソナルモビリティ「i-unit」ではコンセプト開発リーダーを務める。同年にトヨタを退社し、有限会社 znug design(ツナグデザイン)を設立。
以来、工業デザイナーとして第一線で活躍、その斬新で独創的なデザインは常に周囲の注目を集めている。

思いついたアイデアをすぐにカタチに 紙に描いたそのままをデジタイズできる魅力

デザインの最初の一歩はスケッチから

─ 最初にご自身の経歴、および今の仕事内容についてご紹介ください。

根津氏:大学卒業後にトヨタ自動車に入社し、10年以上にわたって車両の企画・開発全般に携わってきました。その中で最も多くかかわってきた仕事は、モーターショーなどで披露するコンセプトカーの開発です。例えば、2005年の愛・地球博で発表したトヨタの未来型パーソナルモビリティ「i-unit」ではコンセプト開発リーダーを務めさせてもらいましたし、トヨタ在職中には米国・南カリフォルニア大学に留学し、コンピュータグラフィックスやアニメーションについて学ぶという経験もさせてもらいました。
2005年にトヨタを退社し、有限会社 znug design(ツナグデザイン)を設立したのですが、独立後は自動車メーカーと取り引きする中で、東京おもちゃショーで発表した「トヨタ Camatte(カマッテ)」や木製フレームの「トヨタ SETSUNA」、普通免許で公道走行が可能なリバース・トライク「Ouroboros(ウロボロス)」、さらには、“町工場から世界へ”を掲げた電動バイク「zecOO(ゼクー)」などのデザインを手がけました。
また、そうした乗り物のデザインだけではなく、模型・プラモデル、生活雑貨のデザインにも携わってきましたし、2014年からはグッドデザイン賞のモビリティ部門の審査委員を務めています。

─ 根津さんがデザインされたものは、常に周囲を驚かす、あるいはワクワクさせるようなものばかりですが、ふだんのお仕事の中では、PCやタブレットをどのように使っているのですか。

根津氏:私の仕事は、コンセプトをビジュアライズする —— すなわち何もカタチのない「ゼロ」から、カタチのある「イチ」にすることです。そうした仕事の中で、私が最大限の力を発揮するために欠かすことのできない「デジタルツール」がPCです。
もっとも、アイデアを最初にカタチにするときは、主に紙とペンを使っています。コンセプトを文字に起こすのではなく、アイデアを絵に描きながら、説明文などの文字を一緒に書き込んでいくというのが私のスタイルです。自由な発想をそのまま表現できる紙とペンを使うことが自分を最もインスパイアできる方法だと考えていますし、そのプロセスをとても大切にしています。

─ そうしてアイデアをまとめ上げたのちがデジタルツールの出番というわけですね。

根津氏:そうです。紙とペンを使ってまとめたアイデアを、PCを使って2Dの絵、さらに3Dの絵を作って現実のカタチへと転換していくわけです。最近では、2D化をスキップし、手書きでスケッチしたイメージを直接3Dの絵にするケースも増えていますが、ともあれ、こうしてデジタル化した3Dデータを仕事にかかわる人たちと共有するのが、通常の仕事の進め方です。

YOGA BOOK を見た瞬間に感動を覚える

─ 今回、そうした仕事のプロセスを構成するデジタルツールの一つとして、YOGA BOOK の利用を始められたわけですが、使用した率直な感想をお聞かせください。

根津氏:YOGA BOOK が手元に届き、箱を開けた瞬間から衝撃が走りましたね。そのときの驚きは今でも忘れられません。

─ その驚きは、どこからきたものなのでしょうか。

根津氏:YOGA BOOK は非常に薄くて、これまでに見たことがない品質感を備えていると感じました。加えて、紙のメモ帳と専用のペン(REAL PEN)も同梱されている。それを見たときには本当にワクワクしました。
しかも、本体の液晶画面とキーボード面をつなぐ「ヒンジ部分」のデザイン性・機能性も秀逸で、「これはよく考えられているな」と、一人の工業デザイナーとして感動すら覚えました。もっと簡単に言えば「萌えた」わけです(笑)。
こうした設計上のこだわりは、“持ち物”として利用者の所有欲を満たすもので、モノづくりにおいて非常に大切な部分だと考えています。

手描きスケッチの正確なデジタイズに驚く

─ 実際の動作はどうでしたか。

根津氏:使い始めたときは、YOGA BOOK(OSはWindows 10)にクラウドベースの3D CADソフトウェア「Autodesk Fusion 360」や、手描きソフトウェア「Autodesk SketchBook Pro」をインストールしました。そして、早速 SketchBook Pro でキーボード面の上にメモ帳を置いて試し書きをしてみました。
正直に言えば、実際に使うまでは YOGA BOOK の「手描きスケッチのデジタイズ能力」を疑っていました。これまでもデジタイザーを使ってペン入力を試したことは何度もありましたが、どれも私の思ったとおりのフィーリングでは描くことができず、通常の紙とペンから離れることができなかったからです。ところが、YOGA BOOK は、私が紙に描いたとおりのものをリアルタイムにデジタイズしていきます。その読み取り精度の高さとフィーリングのよさには心底驚かされました。

─ そんな YOGA BOOK で、ご自身のワークスタイルや仕事の生産性はどう変わると思われましたか。

根津氏:単純な話で言えば、ペンで書いた絵や文字がその場でデジタイズされるので、「これならば、アナログとデジタルのプロセスがスムーズにつながって、仕事が楽になる」と思いました。
これまでは紙に書いたものをすべてスキャンしてデータ化していましたが、YOGA BOOK を使って書けばそのプロセスを省いて、すぐにデジタルプロセスに移行できます。また、手書き入力で使うペンの太さを変えることで、紙に書いているものと違った印象を持たせるなど、デジタルならではの面白さの発見もありました。

YOGA BOOKで仕事の生産性は確実に増す

─ ワークスタイルの変革という観点では、YOGA BOOK にどんな印象を持たれましたか。

根津氏:YOGA BOOK で自分の機動力がかなり高められるとの印象を持ちました。これまで、外で仕事をするときは重くて大きなワークステーション級のPCを持ち運んで使っていましたが、YOGA BOOK があれば、その頻度はかなり少なくなります。YOGA BOOK は持ち運びしやすいのに、高い性能を備えており、出来上がった3Dモデルを回転させたりしてプレゼンテーションするのもストレスなく行えるためです。
YOGA BOOK のCPUの性能はそれほど高くないと聞いていたので、3Dモデルがこれほど軽快に動くとは考えていませんでしたが、これは嬉しい誤算で予想を超えるものでした。
このように、YOGA BOOK を使うことで、自分のアイデアをデジタイズする工数を減らして、機動力も高めることができます。アナログとデジタルを自由に行き来して、効率よく仕事を進められると思いますね。

─ 今後はどのような使い方をしてみたいと考えていますか。

根津氏:現時点で、すでに YOGA BOOK の価値・能力の高さは十分に確認できました。将来的にペン先の種類が増えるなどしていけば、さらに表現力の高いデジタイズが可能になりそうですし、新たな活用方法も生まれる予感がしています。

─ YOGA BOOK の画面サイズは3Dデータを扱うには少し窮屈ではないですか。

根津氏:私も当初はそう考えていましたが、この画面サイズに慣れてくると、「これはこれでありかな」と感じるようになりましたね(笑)。また、画面サイズは機動力とトレードオフの関係にあるので、必要に応じてHDMIポートから外部ディスプレイに出力すればいいわけです。そう考えて、すでに変換アダプターだけを追加で購入しています。
もはや YOGA BOOK の大ファンになってしまいましたので、今後は、仕事先でのプレゼンテーションなど、さまざまな場面で YOGA BOOK を積極的に使っていくつもりですし、活用の幅をさらに広げていければと考えています。

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