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特集

ThinkPad 選ばれる理由

ThinkPadと考える競争戦略

身長180cmを超える鍛え上げられた肉体、褐色の肌にオレンジ色のTシャツが映える。一見すると、とても大学教授には見えない。専攻分野は競争戦略論とイノベーション。

「要は競争がある中で、あるところは儲かっているのになぜ他は上手くいかないのか。その背後にある理屈を考えるのが僕の仕事。それだけです。傍から見ると休んでいるに等しい(笑)」

東京・一ツ橋の学術総合センターの7階にある教官研究室で、楠木建はそんなふうに茶目っ気たっぷりに答えてくれた。授業はもとより数々の講演をこなす上、政府や企業の委員なども歴任し多忙を極める。また著書も多く、2010年に上梓した『ストーリーとしての競争戦略』は、経営書としては異例の20万部を超えた。近年は“好き嫌い”をキーワードに3部作を世に出した。それらの思考の場となる研究室にはいつも、ThinkPadが置いてある。

PROFILE

一橋大学大学院 教授
楠木 建 氏

1964 年東京都生まれ。一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。2010 年に刊行した『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』(東洋経済新報社)が20万部を超え、本格的経営書としては異例のベストセラーに。近著に『「好き嫌い」と才能』(東洋経済新報社)など。

「競争戦略を一言で言うと、競合他社との違いを創るということ。その重要な源泉としての“好き嫌い” に注目しています。このThinkPadもそうですけど良し悪しじゃないんですね。パソコンにおいてスピードや、画面の綺麗さや、薄さや軽さの追求は現実の世界ではいたちごっこになってしまう。大切なのはそこではない、ディファレントなんですよね。もちろん良し悪しも大事ですが、ことの発端は“好き嫌い”にある。色んな経営者に会ってみても、競争戦略上の意思決定で“好き嫌い”は大きな意味を持っている。それで何冊か本を書いてみたというわけなんです」

もう1つの専攻分野であるイノベーションについても、とても興味深い話をする。

「多くの人が、イノベーションとは新しくて良いものだと理解している。でも実際は、何かが良くなることではなく、何が良いのかが変わる、価値次元が変わるというのがイノベーションの本質です。例えばデジカメの画素数を倍に上げても、それはイノベーションではない。進歩ですよ。イノベーションは狙ってできるものでも、連発するようなものでもない。非連続なものです。だからこそ、あるイノベーションが成功したとき、それは相当なロングセラーになるということなんです」

四半世紀前の1992年、今に受け継がれる特徴的な黒の筐体、キーボードの中心に真っ赤なポインティングデバイスであるトラックポイントを配したThinkPadが誕生した。基本的にすべてのモデルでフルサイズのキーを採用、ストロークの深さにもこだわり、ノートPCとしては異例のキータッチを実現。ビジネスパーソンはもとより文筆家などからも支持を集めるようになる。

開発を担ったのは、日本。当初は日本国内で生産され、世界に通用するブランドとして広まった。それどころか、翌93年、スペースシャトル・エンデバーとともに旅立ち、宇宙で使用された初のノートPCとなった。このとき、マウスが使えない環境でもポインティング操作を可能にするトラックポイントの有用性が実証されている。

楠木建は研究室にいるとき、その大半をThinkPadに向かって過ごしているという。

「人と会うか、本を読んだり考えごとをしたりしているとき以外は、基本的にパソコンの前にいます。結局自分の考えたことを人に伝える仕事ですので、言語化して文章にするという作業が僕の仕事の中核ですね」

最後にThinkPadのイメージについて尋ねてみると、こんなふうに答えてくれた。

「安心して使い続けられる。1つの基準となる製品ですね。僕にとっては“思考の道具”。ThinkPad って言うくらいですから(笑)」(敬称略)


楠木教授のThinkPad歴は約20年になる。「以前、IBMの仕事の手伝いをすることがあって、親近感があったんですね。当時はまだパソコンの値段が高くて、でもせっかく買うならThinkPadが良いかなって」。それ以来、これまで5~6台のThinkPadを使用してきた。現在所有するモデルはインテル® Core™ i7 プロセッサー搭載のE570。「これまでも、今も何の不自由もなく快適に仕事をさせていただいていますね」

(文:藤野 太一/写真:栗原 克己)

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