ビジネスに最適なIT環境の
構築をサポートするサイト

特集

ThinkPad 選ばれる理由

ThinkPadと歩んだ25年

「日本のインターネットの父」—— 村井純がそう呼ばれるようになったのは、1984年、データ移送のために電話回線を利用して、在籍していた慶應義塾大学と東京工業大学を接続したことにさかのぼる。後にこれが日本のインターネットの起源と言われるJUNET(Japan University NETwork=日本の大学や研究機関を結ぶネットワーク)へと発展する。村井はインターネットの歴史をこう振り返る。

「ウェブというものができたのが1990年、それから事業化が進んで、1994〜95年にいわゆるコマーシャルインターネットが生まれ、マイクロソフトがWindows95を世に出しました。ちょうどこの頃、大学の枠を飛び越えて一般の人もインターネットにアクセスできる環境が出来始めたのです」

PROFILE

慶應義塾大学 教授
村井 純 氏

1955年生まれ。79年慶應義塾大学理工学部数理工学科卒業。工学博士。84年に東京工業大学と慶應義塾大学を接続する日本初のネットワーク間接続「JUNET」を設立。88年にはインターネット研究コンソーシアムWIDEプロジェクトを発足し、インターネットの普及に貢献。日本のインターネットの父と称される。日本人で初めてIEEE Internet Awardを受賞した。2013年「インターネットの殿堂(パイオニア部門)」入りを果たす。

1990年頃、後に村井がThinkPad愛用者となるきっかけを生み出す出来事があった。

「当時のOSは、米バークレー校が開発したBSD(Berkeley Software Distribution)というものが有名だったんですけど、まだThinkPadが生まれる前のIBMのパソコンで、そのBSDを使えばUNIXが動くという話を聞いたんです。アメリカのASTという会社が作っていたのですが、日本の代理店が潰れてしまった。在庫を処分するというので、当時まだ開校したばかりだったSFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)にパソコンも部品もすべて在庫表ごと寄付してもらったんです。教室がいっぱいになるほどの量でした。そんなものもらってどうするんだと言う人もいましたけど、UNIXが動くということは我々にとって宝の山同然だった。当時はまだ珍しかったイーサーネットなどの部品もあって、研究室の機材をそれで組み直しました。それまでIBMのパソコンには興味がなかったんだけど、それからがぜん愛着が湧いてきた」

そして1992年、ThinkPadが世に誕生する。

「ちょうどラップトップコンピューターというものがいくつか登場した時代で、授業で使うために学生にもラップトップを各自で持参してもらうようになり、その流れの中で自然とThinkPadと付き合い始めることになりました」

村井は1980年代からインターネットを世界と一緒に作ってきた。その頃考えていた未来と比べ、今、1つだけ違う点があるという。

「ネットワークは、ケーブルでつながるものだと思っていました。だからWi-Fiの登場はすごくエキサイティングなものでした。かつてはおもちゃのリモコンも、ビデオレコーダーのリモコンだって、ケーブルでつながっていた。黒電話がスマホになったように、ケーブルがなくなることは予想してなかったですね。今はストレージだってクラウド上にあって、写真や音楽がたまり過ぎたから新しいディスクを買わなきゃなんていう意識すらしなくなったわけです」

これまで16台のThinkPadを使いこなしてきた。その魅力は大きく2つあると話す。

「まず1つは壊れないこと。IBMの人から聞いた都市伝説みたいな話があって、あるときの役員会で女性向けにカラフルな色を付けたモデルを販売するのはどうかという議題が出たそうです。するとThinkPad担当の役員がいきなり自分が持ってるパソコンを床に放り投げて、“これで壊れないってことが我々の誇りであり、それを表しているのがこの色なんだ”って言ったというんです。例えその話が冗談だったとしても、我々はこれまで色んな実験をThinkPadを使って重ねてきたこともあって、それにはすごく共感するものがあります」

1995年には1500台もの自動車にパソコンを搭載し、走ったルートなどのデータを収集するテストを実施。この研究は国内外で高く評価された。また電車やラリーカーにコンピューターを搭載するなどして実験を重ねてきた。それはまさにIoTの走りだった。

「振動があるから、ほかのパソコンじゃすぐ壊れてしまう。結局ThinkPadじゃないとダメだという結論にたどり着いたのです」

そしてもう1つがキーボードの打ちやすさだと話す。

「スマホやタブレットなど、キーボードをなくすという方向に進むものもある中で、ThinkPadのキーボードの使いやすさに対するこだわりはすごいものがあると感じています。キーストロークが深いだけじゃなく、心地良さがあってもう他のものは触れない。友人の(プログラミング言語のJavaの生みの親)ジェームズ・ゴスリンも長年ThinkPadを使っていて、彼は1日のうち20時間くらいプログラムを書くようなタイプなんだけど、トラックポイントの使い過ぎで右手が腱鞘炎になって、今は器用に左手で使ってますよ。学生たちにも、それくらいやれば博士号をあげるよって言ってるくらいです(笑)」(敬称略)


村井教授がThinkPadを使い始めたのはThinkPad 230Csから。以来16台を数える。現在、使用するのは、ThinkPad X1 Yoga(インテル® Core™ i7 プロセッサー搭載)。最近は半年から年に一度は買い替えているという。「僕がThinkPadに求めるのは強さ。そしてキーボードの良さは失うことなく、最高の性能を持っていること。出張先で実験や新しい技術の検証も行うことも多いのでThinkPadは持ち運べるコンピューターの中で最高の性能であり続けてほしい。それからペースを落とすことなくアップデートし続けて、新しいものを出し続けていってほしいと思いますね」

(文:藤野 太一/写真:栗原 克己)

ThinkPad 25周年
  • ビジネスに最適な ThinkPad
  • CTOパソコン期間限定キャンペーン【ノートPC編】

関連特集