PROFILE
ハウステンボス 取締役兼CTO
富田 直美 氏
1948年静岡県生まれ。72年に田村電機製作所(現サクサホールディングス)入社。日本アシュトンテイト、ピクチャーテルジャパンなど多くのIT企業で社長を務める。2017年からはロボット事業会社hapi-robo stの代表取締役社長に就任し、ハウステンボスとエイチ・アイ・エスの取締役も兼任する。
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ThinkPadと飛ばすドローン
ハウステンボスは、長崎県佐世保市にあるオランダの街並みを再現した日本最大のテーマパークだ。創業時には大きな話題を呼んだものの、約2300億円に及んだ初期投資を回収できず、2003年には会社更生法の適用を申請。その後、再建を試みるもリーマン・ショックにて再び経営は悪化する。2010年からエイチ・アイ・エス(H.I.S.)が中心となり新たな経営再建が開始され、同社の澤田秀雄が社長に就任。18年連続赤字だったハウステンボスをおよそ半年で黒字転換させた。
その原動力となったのは、澤田が旗振り役となった現場改革だ。1300万球に上るLEDを敷き詰めたイルミネーションや、歌劇団によるショーなど矢継ぎ早に集客策を繰り出している。2015年にはフロントもポーターも案内係もロボットという「変なホテル」を開業。園内をエアホイールで散策できるツアーを用意した。
また今年はハウステンボス開業25周年記念企画として、300機のドローンを使った「Intel Shooting Starドローン・ライトショー」を実施している。その立役者が先の澤田からの熱烈な要請にてIT企業から転身、現在ハウステンボス取締役兼CTOであり、ロボット事業会社のhapi-robo st代表取締役社長を務める富田直美だ。
PROFILE
1948年静岡県生まれ。72年に田村電機製作所(現サクサホールディングス)入社。日本アシュトンテイト、ピクチャーテルジャパンなど多くのIT企業で社長を務める。2017年からはロボット事業会社hapi-robo stの代表取締役社長に就任し、ハウステンボスとエイチ・アイ・エスの取締役も兼任する。
自称“ラジコンの神様”。自動車に始まり、飛行機、ヘリコプターを経てドローンにも早くから着目し、ドローン製造メーカーDJIによるインストラクターのライセンスまで取得。その超絶技巧を駆使して、花火を空撮した映像はハウステンボスのPR動画にも採用されている。
富田はそれら4K動画などをパワーポイントに取り込み、膨大なプレゼン資料をすべて一人でThinkPadを使って作成する。
「僕のプレゼンテーションって世界一複雑なプレゼン。まるでAIが入ってるんじゃないかって思うくらいのものですよ。それを実現するためにはパソコンは最高・最速のものでないと。遅いパソコンで毎日使うたび、プレゼンをやるたびにストレスを感じていたんじゃ意味がない。だってそこは道具が解決してくれて、考える時間をくれるんだよ。なんたってThinkPadっていうくらいなんだから」
実業家としてはもちろんのこと、多摩大学客員教授として、また「富田考力塾」を自ら主催するなど精力的に講演活動も行う。そこでは表層的な知識だけが蔓延する現状に警鐘を鳴らし、とにかく自分で考える、そして実際に経験することの大切さを説く。
「経験しないのは0、経験するのは1。じゃ0と1の違いは何だってみんなに聞くわけです。その差は無限大で、だから知識だけ持っていても何の意味もない。だったら経験しろって。そして人間の幸せというものはお金じゃない。我々は誰しも考える力を持っている。力はあるのにコピペばかりしてきたから自分の力を出せていない。それがどんな種類のものであるかにかかわらず、人はその力を発揮できたときに幸せになれるんだと思うんです。僕自身、まだまだ好奇心もあるし、やりたいこともたくさんある」
最後にあらためてThinkPadの魅力について尋ねると、何とトラックポイントを駆使してまるでペンを走らせるように滑らかに絵を描き始めた。
「いいのは、これで全部が動かせること。ほら、僕なんか絵が描けちゃう。なんたって“ラジコンの神様”だから(笑)」(敬称略)
ThinkPadとの出合いは富田氏が日本アシュトンテイトで社長を務めていた頃にまでさかのぼる。「当時、日本IBMでThinkPadの開発を担当していた堀田一芙さんが初号機を持ってきてくれて、彼がその上に乗っかって、それくらい丈夫なんだって見せてくれた。それ以来ずっとThinkPadを使ってますね」。そして今もバタフライ(ThinkPad 701C)を所有しているという。現在、仕事では5台のThinkPadを常時稼働。うち2台をエース格として、半年から1年以内に最新最速、最高の解像度のモデルを用意する。写真で使用しているのは、インテル® Core™ i7 プロセッサー搭載のX1 Carbon。
(文:藤野 太一/写真:栗原 克己)