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導入事例

株式会社フジタ

「CADの未来はこうなる」と確信。全社のBIM/CIM化推進にレノボのCAD on VDIを採用。

導入について

2次元CADからBIM・CIMへの展開

株式会社フジタ 建設本部 生産性向上推進部 BIM推進Gr. 次長 小田 博志 氏

株式会社フジタ
建設本部 生産性向上推進部
BIM推進Gr. 次長
小田 博志 氏

建設会社として100年以上の歴史を持つフジタは、大和ハウスグループのゼネコンとして建築・土木分野で事業を展開しています。日本のゼネコンとしては早い時期から海外に進出しており、中国やメキシコなどの国で大きな存在感を発揮しています。また、都市再生にも強く、各地で区画整理事業や市街地再開発などのプロジェクトが進行中です。

フジタのCADへの取り組みは、1990年代に遡ります。2次元CADからスタートし、近年はBIM(Building Information Modeling)の導入が進んでいます。BIMは建物の3次元モデルに、部材情報や管理情報などの属性データが付加されたもの。設計や施工などの分野で、生産性向上など様々な効果が期待されています。

フジタ建設本部の小田博志氏は、「現在は、2次元からBIMへの展開が進みつつあります」と説明します。
「企画〜設計〜施工〜維持管理と建築には様々なフェーズがあり、現在は有効な場面からBIMに取り組んでいます。今後は、建築業務全般でのBIM活用を目指していきたいと考えています」とフジタ建設本部の長岡拓哉氏は説明します。
また、BIMと同じような概念だが、土木分野ではCIM(Construction Information Modeling)が普及しつつあり、フジタでも徐々にCIMの導入が進んでいます。

ビジネス効果の拡大を図り全社をあげてBIM/CIM化への取り組みを強化

株式会社フジタ 建設本部 設計エンジニアリングセンター 計画設計部 担当課長 長岡 拓哉 氏

株式会社フジタ
建設本部
設計エンジニアリングセンター
計画設計部 担当課長
長岡 拓哉 氏

フジタのビジネスにおいて、3次元CADおよびBIMはどのような効果をもたらしているのでしょうか。小田氏は次のように語ります。
「2次元CADと比べた場合、合意形成が圧倒的にスムーズです。例えば、お客様に2次元の図面と数枚のパースを見せて説明するよりも、3次元CADやBIMの画像を見せた方が、お客様が建物の設計内容をより具体的に理解できるようになります。また工事が完成していく過程、例えば1ヵ月後の様子を事前に確認していただくこともできるようになります」(小田氏)

設計者と発注者、さらに施工を担当する現場を含めてイメージを共有することのメリットは大きく、今や、ゼネコンの間でBIM/CIM化は大きな潮流となっています。フジタ管理本部の鍵野巨弥氏は「今後3年間で、当社の設計、施工物件を積極的にBIM/CIM化していくことを目標として掲げています」と明かします。

ただ、そのためには大きなハードルをクリアする必要があります。3次元データを扱うBIM/CIMを利用する際には、ハイスペックのワークステーションが使われるのが一般的です。データ量が大きいので、ビジネス向けのPCでは力不足の場合が多く、これまでフジタではワークステーションや高性能PCを設計や施工現場に配備し、ユーザーに提供してきました。

「BIM/CIMユーザーが少なければ、ワークステーションの台数は少なくてもすみます。ハードウエアのコストや管理コストはそれほど重視しなくてもよかった。しかし、全面的なBIM/CIM化を進めると、ユーザー数は一気に増加します。これまで通りのハードウエア調達や管理を続けるのは、現実問題として極めて難しいのです」と小田氏は打ち明けました。

また、様々な地域に施工現場を抱える建設業ならではの課題もありました。フジタ技術センターの石坂貴勲氏は次のように語ります。
「施工現場でもBIM/CIMを利用するケースがあります。設計部門は固定的なオフィスで仕事をしていますが、施工現場は分散しており、数年で建物が完成すれば別の場所に移動します。現場はオンデマンドでワークステーションが欲しいのですが、ハードとソフトの準備には一定の時間がかかります。また、工事が終わって撤収するときには、どこかの拠点がワークステーションを預かることになりますが、その管理も難しい」

一時的に不要になったワークステーションは、タイミングよく他の施工現場に引き取られることもあれば、中には有効利用されないケースもありえます。ワークステーションの台数が大幅に増えれば、IT資産の有効活用という観点で見逃せない非効率が生まれてしまいます。

このような課題を突破するために、フジタが着目したのが「CAD on VDI」です。

2Uのサーバー1台に対して16台の端末から同時アクセス可能

これまで、ワークステーションや高性能PCなどのクライアント端末とCADアプリケーションは一体のものとして利用されてきました。さらに、CADアプリケーションによって端末スペックの変更が求められるなど、1台1台を管理するにはかなりの手間がかかります。

これに対して、仮想デスクトップ環境でCADを動かすCAD on VDIでは、CADアプリケーションは全てサーバー側に置かれます。サーバーが処理するCADデータはネットワーク経由で、画面イメージとしてクライアント端末に送られます。ネットワークに負荷はかかるものの、端末側の負荷は大きく軽減されます。また、CADデータを処理するための計算リソースをサーバー側に集約できるので、リソースの有効活用にもつながります。

System x CAD on VDIのシステムイメージ

System x CAD on VDIのシステムイメージ
処理はデータセンターのサーバー上で行い、画面がユーザーの端末に転送される

株式会社フジタ 管理本部 情報システム部長 鍵野 巨弥 氏

株式会社フジタ
管理本部 情報システム部長
鍵野 巨弥 氏

「今後、全てのユーザーに高価なワークステーションを配るわけにはいきません。また、業務で使うPCについては、できるだけ同じスペックのものを大量購入しコストダウンを図るという方向にあります。以上のような条件を勘案すれば、CAD on VDIは当然の選択です」と小田氏は語ります。

2015年夏、小田氏と石坂氏の2人は東京・秋葉原にある「レノボ・カスタマー・エクスペリエンス・センター(検証センター)」を訪れました。CAD on VDIについて説明を受けるとともに、実際に使って操作性などを確かめました。
「CADの未来はこうなる—実際のシステムを見て、そう確信しました」とは、小田氏がセンターを訪問したときの実感されたそうです。

ゼネコン業界では先進的な取り組みであった為、導入に当たっては慎重を期し、2015年秋から16年初頭までレノボ・ジャパンからCAD on VDIのシステムを借りて実環境での評価を実施。また、SIを担う導入パートナーとして大塚商会を選定しました。
「私たちもCAD on VDIは初めてだったので、プロによるサポートは必須と考えました。その点、レノボや大塚商会はただハードウエアを売るだけではなく、いろいろ相談に乗ってくれました。両社の技術力は大変助けになりました」と小田氏は振り返ります。

フジタが導入したシステムはレノボの「System x CAD on VDI」。2016年4月に一部導入が完了しました。導入したのは、インテル® Xeon® プロセッサーE5-2600 製品ファミリーを搭載した2Uサイズのx86サーバー「System x3650 M5」。GPU 2枚のサポートなどにより、優れたパフォーマンスを発揮します。仮想化基盤には「VMware ESXi」が採用されています。

CAD on VDIではユーザーに分かりにくのではないか、との配慮から、ちなみにフジタ社内では「仮想ワークステーション」と呼ばれています。

CAD on VDIの本体ともいうべきサーバーは、フジタのデータセンターに設置されました。このサーバーは社内のLAN環境を経由して各端末につながります。端末はワークステーションでも既存PCでも構いません。現在、2Uのサーバー1台に対して、16台の端末が同時アクセスできます。1人が1日中使うわけではないので、約20人のユーザーが入れ替わりながらCAD on VDIを活用しています。

フジタが導入したCAD on VDIのシステム構成

フジタが導入したCAD on VDIのシステム構成
フジタの場合、2Uのサーバー1台の上に、16台の仮想マシンが稼働する構成だ

BIM/CIMの全社展開を見据えて、ITインフラの整備・拡張が進行中

株式会社フジタ 技術センター 先端システム開発部 石坂 貴勲 氏

株式会社フジタ
技術センター 先端システム開発部
石坂 貴勲 氏

フジタに導入されたSystem x CAD on VDIは、ハードウエア上の仮想化基盤に「VMware ESXi」が採用され、その上に16台分の仮想マシンが搭載。サーバーのリソース配分は変更できるので、特に高負荷の処理を行うときには、ユーザー数を減らしてその分だけ1ユーザー当たりのリソースを増強することも可能です。

サーバー側には約10種類のCADおよびBIM/CIMのアプリケーションが搭載されています。建設業の場合、発注側の意向に沿って多様なアプリケーションを導入することが求められます。
「もし物理環境として16台のワークステーションがあったとすれば、ライセンスやバージョンを管理する手間は相当大きくなるでしょう」と石坂氏。この点でも、一元管理ができるCAD on VDIのメリットは大きいと考えています。

管理者だけでなく、先行的にCAD on VDIを使い始めた20人ほどのユーザーからも好評だ。
「BIMモデルを扱う際、高負荷な処理でCPUなどはフル稼働するので、同じ端末上でExcelやメールなどのオフィスソフトを同時作業すると反応が鈍く使いにくいことがあります。その点、CAD on VDIならサーバー側でデータ処理をするので、端末のリソースには余裕があります。他の業務にスムーズに切り替えられるので、業務の効率は高まるでしょう」(石坂氏)。

System x CAD on VDIなら通常のPCでCADを使いながらオフィスソフトも使用できる

System x CAD on VDIなら通常のPCでCADを使いながらオフィスソフトも使用できる

また、CAD on VDIのレスポンスについてもほぼ問題ないそう。他のアプリケーションも同じLAN環境を利用しているため、特定の時間帯に負荷が集中することもあるが、ユーザーのストレスが急増するほどではないのです。

とはいえ、今後BIM/CIMユーザーが増えることを考えると、ネットワークの増強は重要なテーマとなります。そこで、情報システム部を中心にITインフラの拡張プロジェクトが進められています。
「今後、多様なクラウドサービスの利用が拡大します。CAD on VDI環境でBIM/CIMを扱うユーザーも増える。それを見越して、昨年からサーバーやネットワーク、セキュリティなどを強化するITインフラ整備を進めています」と鍵野氏は語ります。

セキュリティの観点でも、端末にCADデータを残さないCAD on VDIは有効です。端末の盗難や紛失といったリスクにも強いのです。

「当社には約300人の設計者、施工の現場には1,200人以上がいます。BIM/CIMユーザーをこれだけの規模に増やすためには、数百人分の同時アクセスが可能な仕組みを用意しなければなりません。ITインフラを所管する情報システム部と連携・協力しながら、全ての現場で快適にBIM/CIMを使えるようにしたい」と小田氏。16ユーザーでスモールスタートしたプロジェクトは、これから佳境を迎えます。

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