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導入事例

株式会社トキワ

社内のVDI環境を支えるシステム基盤にLenovo System x ラック・サーバーを採用。外出先でも仕事をこなせる環境を提供することで、社員の業務効率と生産性がさらに向上。

導入について

サーバー本体の優れた設計、充実したサポート保守体制、社内での稼働実績などを総合的に判断し、VDIの用途でもSystem x ラック・サーバーを引き続き採用しました。

株式会社トキワ
経営企画本部 企画部 ICT部長代理
長谷川 晶一 氏

使い勝手の良さとセキュリティーを両立したクライアント環境が不可欠

株式会社トキワ(以下、トキワ)は、原料の調達から化粧品の製造、品質管理、営業・販売支援に至るまで、あらゆる業務プロセスをいち早くコンピュータ化してきました。また、古くは大型の汎用機で基幹系システムを運用していましたが、2004年頃より業務システムのオープン化に取り組み、近年ではサーバーの仮想化集約も推し進めています。

こうしたIT化への取り組みにおいて、社員が日々利用するクライアント環境の整備も不可欠です。同社は、化粧品の開発・製造を請け負うOEMメーカーとして顧客との密接なコミュニケーションが求められるため、ほとんどの時間を外出先で過ごしている社員も少なくありません。近年では、市場の拡大が期待される新興国を中心に、グローバルなビジネスも積極的に展開している関係から、社員の海外出張も増加している傾向にあります。

このような経緯により、2012年には外出の多い社員にタブレット端末を配布し、その翌年にはVPN経由で自席のPCを操作できるリモートデスクトップ接続の仕組みも取り入れました。社内ITの構築と運用に携わる経営企画本部 企画部 ICT 部長代理の長谷川晶一氏は、「OEMメーカーという立場上、当社が手がける化粧品関連のデータは決して外部に漏洩することが許されません。このため、かつては社内にいるときにしかPCを使うことがなく、業務のスピードや効率の低下を招いていました。そこで取り入れたのが、タブレット端末によるリモートデスクトップ接続の仕組みです。リモートデスクトップ接続ならタブレットに重要なデータが残りませんので、外出先にも安心してタブレットを持ち出せますし、タブレットの紛失・盗難による情報漏洩も未然に防ぐことができます」と説明。

タブレットとリモートデスクトップ接続の導入は、社員のモバイル・ワークスタイルに一定の効果を発揮しましたが、自席のPCを併用することによる課題も目立ち始めました。長谷川氏は、「リモートデスクトップ接続は、ホストとなるPCが完全に立ち上がっている状態でなければ使用できません。このため、外出先から会社に電話をかけ、他の社員にPCの電源を投入してもらっている様子もよく見かけました。だからといって、PCを常に稼働した状態にしておくことは、電気料金や地球環境保護の観点や時差もあり現実的ではありません。そこで注目したのが、デスクトップ仮想化(VDI)ソリューションだったのです」と語ります。

社内でも豊富な稼働実績を持つ System x ラック・サーバーを採用

トキワは、多くの社員から使い勝手のよいクライアント環境を求める声が強まっていたことを受け、VDIソリューションの導入を決断しています。同社は、VDIを提供する形としてオンプレミスのシステム基盤とクラウド事業者が提供するDaaS(Desktop as a Service)サービスの2つを検討しましたが、サービス品質の維持やシステム基盤の有効活用を重視し、オンプレミスによる運用スタイルを採用しています。

長谷川氏は、オンプレミスにこだわった理由を「DaaSによる運用はすべてがコストに直結しますので、各端末に割り当てるリソースも最小限に抑えなければなりません。しかし、それではサービス品質の低下につながってしまいます。当社は、既存のPCと同等以上の快適な操作性を目指していましたので、潤沢なリソースを確保した自社のシステム基盤でVDIを提供したほうが有利だと判断しました。また、VDIは朝から夕方までの利用が中心となりますので、例えば深夜の時間帯に業務システムのバッチ処理を実行するなど、システム基盤の有効活用を目指す上でも大きな強みがあります」と述べています。

同社は、オンプレミスのシステム基盤を構築するにあたり、すでに社内で豊富な稼働実績のあったレノボの高機能・高信頼性サーバー『Lenovo System x ラック・サーバー』を採用しています。
長谷川氏は、System x ラック・サーバーを選択した理由として、大容量のシステムメモリーを搭載できる優れた拡張性、きわめて効率的なサーバー内部の冷却システム、レノボの専任スタッフによる手厚いサポート保守体制などを挙げています。

同社は、サーバーおよびデスクトップ仮想化ソリューションとしてVMware vSphere®とVMware Horizon™ (with View)の組み合わせを採用し、2台のSystem x3650 M5ラック・サーバーによってシステム基盤を構成しています。また、仮想マシンの集約度を最大限に高める目的から、各サーバーにはデュアルソケット構成の最上位CPU(インテル® Xeon® プロセッサー E5-2699 v3)と768GBの大容量メモリーを搭載しています。

System x3650 M5ラック・サーバーの心臓部となるインテル® Xeon® プロセッサー E5-2600 v3 製品ファミリーは、最大18個のCPUコアをサポートし、CPUの処理性能を最大限に高める技術や仮想化の処理をハードウェアで支援する技術を標準で備えています。トキワは、システム基盤に収容するVDI端末の台数を段階的に増やしていくほか、設計・開発をはじめ、VDIへと移行する対象部門も大きく広げていくことを計画しています。インテル® Xeon® プロセッサー E5-2600 v3 製品ファミリーは、このような将来の厳しいワークロードにも余裕を持って対応できるマイクロプロセッサーです。

VDI環境に適したユーザー端末としてThinkPad 10を試験的に導入

トキワは、2015年4月よりシステム基盤の構築に着手し、同年5月中旬には約60人の規模でVDIの運用を開始しています。また、クライアント環境から利用する業務システムの一部(ドキュメント参照システムなど)も仮想環境の上で共存させています。

会社全体では約500台のクライアントPCがありますが、サービスインの時点では営業部門が先行してVDIを活用しています。
システム基盤はデータセンター内で常に稼働し続けていることから、いつでもどこでもVDIにログインするだけですぐに使い始められるのが大きなメリットです。また、VDIから利用する業務システムも同一のシステム基盤上で稼働しているため、業務システムのレスポンス向上につながっています。

IT管理者の視点では、クライアント管理の負荷軽減が挙げられます。長谷川氏は、「VDIでは、ゴールデンイメージから新しい端末環境を迅速に展開できますし、トラブル発生時のユーザーサポートなどもリモート操作で簡単に行えます。当社は、少数のIT管理者で社内IT全体を運用していますので、VDIの導入によってクライアント管理の負担を軽減できたことは大きな前進といえるでしょう」と話しています。

そして、以前から社員に配布しているタブレットは、文字を入力する際に画面上のソフトウェアキーボードを利用する形が基本的なスタイルとなります。しかし、業務によっては多くの文字を入力しなければならず、Bluetooth接続の外付けキーボードを併用するケースも出てきました。また、VDIの導入が大きな契機となり、タブレットをもっとPCライクに利用したいといったニーズも高まっています。

そこで、2015年10月にはレノボのMicrosoft® Windows® 10搭載タブレット『ThinkPad 10』を試験的に導入しています。ThinkPad 10は、打鍵性に優れた専用キーボードを装着でき、タブレットとノートPCの役割を1台で兼ねられます。また、タブレットとしての基本性能にも優れ、厚さ8.95mm、重さ約590g(タブレット本体)というコンパクトな筐体で、多くの用途でストレスなくこなせる優れた処理能力と、終日安心して使い続けられる最大 約10.2時間のバッテリー駆動(Wi-Fi併用時)を実現しています。

同社は、既存の業務アプリケーションだけでなく、タッチデバイスに対応した新しいアプリケーションもVDI環境へと積極的に取り入れています。例えば、モバイルとクラウド対応を強化したAdobe Illustrator® CCをVDI環境の上で実行し、ThinkPad 10からの使い勝手を実際に検証しているところです。

長谷川氏は、「ThinkPad 10は、VDI環境ながらもAdobe Illustrator® CCからタッチデバイスとしてきちんと認識されています。このため、キーボードやマウス操作だけでなく、指先を使ったタッチ操作にも対応できます。例えば、お客様との商談先にThinkPad 10を持参すれば、商談中に容器ラベルのデザイン要素などをすぐに修正するといったことが可能になります」と述べています。

サーバーにGPUボードを搭載してCADやCAEの用途でもVDIを活用

トキワは、営業部門や購買部門を中心に、外出する機会の多いユーザーをVDIへと積極的に移行していく方針です。これにより、国内外を問わず、タブレットさえあればどこにいても社内とほぼ同等の環境で快適に業務をこなせるようになります。

今後は、System x ラック・サーバーの優れた処理能力を活かし、開発部門のスタッフが利用するクライアント環境も仮想化していく計画です。同社は、VDIでの利用を想定しているアプリケーションとして、容器の設計・構造解析などを支えている3D CADやCAEアプリケーションをすでに検討しています。また、これらのアプリケーションは、GPUによる高速化がたいへん有効なことから、現在稼働中のSystem x ラック・サーバーに次世代のGPUボードを増設することも視野に入れています。

長谷川氏は、「GPUボードがまだ装着されていない状態ではありますが、すでにサーバーCPU(インテル® Xeon® プロセッサー)のみを利用し、CADアプリケーションの動作検証を進めているところです。1台のクライアント環境に20コア、64GBという非常に潤沢なコンピューティングリソースを割り当てたところ、スタンドアローンのワークステーションよりも高い処理能力を達成できました。VDIなら機密性の高いデータもデータセンター内にすべてとどまりますので、外出先からアクセスしてもセキュリティーをきちんと担保でき、社内とほぼ変わらない環境で設計・開発業務をこなせます」と説明します。

同社が、オンプレミスの運用スタイルにこだわる理由は、このように開発部門での展開もすでに計画していたことが挙げられます。長谷川氏は、「クラウド事業者が提供するDaaSサービスでは、1台のVDI環境に8コアや64GBといったリソースを割り当てることは現時点ではほぼ不可能といえます。このように通常のDaaSサービスで対応できないようなリソースを割り当てるなら、オンプレミスのシステム基盤が俄然有利なのです。そして、開発向けの端末にふんだんなリソースを割り当てたとしても、他のユーザーに悪影響を与えることはほとんどないと考えています。というのも、開発スタッフは常に端末と向き合っているわけではなく、ときには試験室で過ごしたり、営業スタッフと一緒に外出したりしているからです。このように、ユーザーごとの負荷がうまく分散されることで、システム基盤全体で見ればすべてのユーザーがリソースをうまく融通しあえることになります」と説明しています。

同社のシステム基盤は、堅牢なデータセンターの中で運用されていることから、会社全体の事業継続性を高める手段としてもVDI環境が力を発揮します。災害発生時には、避難先の拠点でインターネット接続と電源さえ確保できれば、ThinkPad 10のようなモバイル端末を用いてさまざまな業務を継続可能です。最後に、長谷川氏は「VDIによるワークスタイル改革や事業継続を考えていく上で、サーバーとクライアントの両面でベストな組み合わせを模索していく必要があります。レノボには、サーバーとクライアントを一気通貫で手がけているベンダーならではの『総合力』に強く期待しています」と述べています。

2015年10月取材

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