導入事例
株式会社 島根銀行

「Lenovo TruScale IaaS」導入によるハードウェアのサブスクリプション化で資産管理の煩雑さから解放
- 業種 金融・保険
- キーワード セキュリティ , 仮想化環境(VDI) , 運用・保守 , プロフェッショナルサービス
- 製品カテゴリー サーバー , ストレージ
- 企業規模 中小企業のお客様(11〜999名)
導入について
地域に根ざす銀行、島根銀行の新たな挑戦

島根銀行 業務管理グループ
藤原 司 氏
1915年(大正4年)に設立された島根銀行は、山陰地方を代表する地域金融機関として、長年にわたり地元の暮らしと産業を支え続けてきた。島根県松江市に本店を構え、「しまぎん」の愛称で親しまれている。創業から100年を超える歴史の中で、経営理念として「地域社会の発展に貢献し、信頼され、愛される銀行となること」を掲げている。地域との密接な関係を保ちながら独自の金融スタイルを築き上げている。
現在、島根銀行は島根県内に24店舗、隣接する鳥取県にも9店舗を構え、2022年9月には「しまホ!」の愛称で知られるスマートフォン支店も開設。地域に密着した金融サービスを展開している。
同行は2019年9月にSBIグループとの資本業務提携を決断。以降、先進的な金融サービスの導入やシステム改革、営業改革といった変革を加速させてきた。こうした変革の最中にある島根銀行において、ICT活用における次の大きなテーマとなったのが「ネットワーク基盤の刷新」だった。
IT機器の保守期限の到来が改革のトリガーに
島根銀行のネットワークインフラは、長年にわたり段階的に導入されてきた様々な機器によって構成されている。その多くがメーカーからの保守サポートが終了するタイミングを迎えつつあり、機器自体の劣化リスクや予備機の確保、トラブル発生時の対応体制など、様々な懸念が表面化していた。ネットワークインフラは銀行業務の根幹を支えるインフラであり、業務システムやインターネット接続、営業店間の通信、さらにはサイバーセキュリティの観点でも重要性が年々高まっていた。
そこで同行は、製品の保守終了および次期システムへの移行に伴い、従来のネットワーク機器を新たな機器への更改に乗り出す。このプロジェクトは、次期システム移行のためのネットワーク環境構築や営業店・店舗外ネットワーク回線構成の更新、サイバーセキュリティの強化に向けたOA端末におけるSASE利用環境の構築、拠点無線LAN端末のDHCP化、監視システム更改など、非常に多岐にわたる内容・規模となった。
複数のベンダーと協働して同プロジェクトを主導した業務管理グループの藤原 司氏は、機器の更改に併せて、自行におけるIT機器の運用管理の変革にも着手することを決断した。

同氏は「ネットワーク機器の償却期間とメーカーの保守期限が一致しないことで、予備機の確保や運用体制の維持に非常に大きな負担がかかっていた」と振り返る。例えば、管理業務においては、資産台帳への登録、機器の配置・異動記録の更新といった煩雑なタスクが多く存在し、属人的な管理に頼らざるを得ない部分が多く、IT担当者の業務負担が大きくなっていたという。
同氏は「過去には保管スペースが足りない中で、分散して管理してきました。前回の更新時には、自らトラックを運転して機器を廃棄場に持ち込んでいました」と、機器の廃棄処理に関しても現場の負担が大きかったことを明かす。
こうした背景から、ネットワーク基盤の再構築を進める上で、島根銀行では従来の「自社でハードウェアを購入・所有し、運用管理する」スタイルが限界にきていると感じていた。そこで同行は、単なる“機器のリプレース”ではなく、“IT資産管理・運用ライフサイクルの見直し”を目指し、抜本的な改革を検討することとなる。
買い切り型からサブスクリプションへの移行
そうした状況の中、島根銀行が注目したのが、レノボが提供する「Lenovo TruScale IaaS」(以下、TruScale)だった。
TruScaleは、レノボ製品、提携他社のハードウェアをサービスとして利用できる「インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス(IaaS)」型ソリューションだ。ネットワーク機器やサーバー、ストレージなどのインフラを“サービスとして利用”するモデルであり、その料金形態は固定月額だけではなく、実際の使用量に応じた従量課金制も可能な高い柔軟性が大きな特徴だ。
藤原氏は「最初に提案を受けたとき、私たちが長年抱えていた課題を解決できるという期待が湧きました」と語り、TruScale導入理由として「所有しないことで発生する煩雑な業務からの解放」を挙げる。
大規模プロジェクト成功の要因の1つが、レノボのサポート
島根銀行のネットワーク更改プロジェクトには、レノボをはじめとする複数のベンダーが参画した。レノボはネットワーク機器の調達やサーバーの基本設定・運用保守などを担当した。

藤原氏は「複数社が関わるプロジェクトにおいても、担当者間の信頼によるスムーズな連携があり、ワンチームとなってプロジェクトが成功できたと思っています」と評価する。
島根銀行とレノボは2023年3月、新仮想化基盤の構築プロジェクトを実施した実績がある。同プロジェクトでは、ハードウェア機器の刷新と併せてレノボが提供する「プロフェッショナルサービス」(PS)も採用していた。プロフェッショナルサービスは、システムを構築する企業に対して、同社の豊富な実績を持っているコンサルタントやエンジニア、プロジェクトマネジャーなどがプロジェクトを支援するサービスだ。
今回のプロジェクトでは、これまで同行を支援してきたPS部隊の担当者が携わり、監視システムやDHCPの設計・設定、「Active Directory」連携といった技術面でのサポートも成功の一助を担ったという。
こうしたLenovoの実績もあり、今回のTruScaleプロジェクトでは従来からの島根銀行のネットワーク運用サポート体制も変更なくLenovo TruScaleサービス中へ踏襲できた。これも円滑な移行が成功した大きな要因となっている。
資産を「持たない」選択肢、TruScaleがもたらす効果
TruScaleの導入によって、島根銀行は「調達・設計・運用・保守・更新・廃棄」に至るまで、ネットワークインフラのライフサイクル全体を“一気通貫”で最適化した。また、IT機器の調達や保守契約の更新など管理業務がレノボ側で完結することで、IT担当者が本来の業務に集中できる環境を整備できた。レノボによると、国内金融機関のTruScale導入は島根銀行が初とのことだ。
藤原氏は「ネットワーク機器の契約内容がレノボ側で一元管理されており、こちらが気にする必要がなくなりました。年に何度も機器の契約期限を確認したり、探し回ることもなくなり、現場のストレスは相当軽減されたと思います」と語る。
同氏によると、これまでは数百台に及ぶネットワーク機器や端末の登録・更新・棚卸し・廃棄処理などに膨大な工数がかかっていたという。
特にシリアルナンバーの管理や、拠点ごとの機器配置の記録といった細かな作業から解放されたことは、契約の可視性と管理の一貫性の向上につながり、現場の負荷軽減に大きな効果をもたらしたとのことだ。
また、財務的な効果についても「資産を持たずに経費処理に切り替わることで、バランスシートの圧縮や固定資産管理の負担軽減、今後の決算や経営判断にも好影響をもたらすことにつながる」と藤原氏は見込んでいる。
ThinkPadシリーズの導入で「働き方改革」を実現
島根銀行ではネットワーク環境の刷新に加え、業務用端末の全面的な更新にも取り組んだ。
「従来は、拠点ごとにIPアドレスが固定されており、端末を移動させるには設定変更が必要でした。ネットワーク機器の更改と合わせて、ThinkPadとSD-WANをはじめとした最新のネットワークアーキテクチャーを導入することで、どこに行っても同じ環境で業務ができるようになりました」(藤原氏)
島根銀行に新たに導入された端末は、「ThinkPad L13」「ThinkPad L15」である。ThinkPad L13は、13.3インチの画面サイズで、携帯性と作業性のバランスに優れている。また、ThinkPad L15は、15.6インチの広い画面を備え、Excelや複数ウィンドウを活用した作業がしやすく、事務作業中心に活用できるモデルである。
さらに、ThinkPadの導入は、IT部門による機器管理の一元化にも貢献する。モデルを統一することで、設定・配備・メンテナンスの手順が簡素化され、障害対応の迅速化にもつながる。
変革を支える土台を担うレノボに今後も期待
今回のプロジェクトを経て、島根銀行とレノボとの関係性は、継続的に進化するパートナーシップへと深化している。藤原氏は今後、AIの導入や業務の自動化、働き方改革などにおいて、レノボの提案力に期待していると説明する。
「TruScaleのように、従来の“当たり前を変える”提案をこれからも期待したいです。働き方やセキュリティの考え方も、これからさらに変化していきます。その変化を支えてくれる存在として、レノボには引き続き寄り添ってもらいたいです」(同氏)
島根銀行は今後も、デジタル技術を駆使しながら地域密着型の金融機関としての役割を果たし続けるだろう。その変革を支える土台として、パートナーシップが強く根を下ろしたレノボが提供する柔軟性と革新性を兼ね備えたITインフラがカギを握ることになる。
この課題を解決した製品・ソリューション
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Lenovo TruScale IaaS
限界を超えるイノベーションのための、柔軟なITインフラストラクチャー
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