導入事例

株式会社ユーコット(UCOT)

レノボのDaas(Device as a Service)運用を進化 4,000台のPC一斉リプレースで目指した ICT基盤の高度化と柔軟な働き方を支える新スキーム

概要

UCCホールディングス株式会社では、以前からレノボのDaaS(Device as a Service)サービスを活用し、ICT環境の統一と運用効率化を進めてきました。しかし、働き方の多様化や業務要件の変化に伴い、既存運用スキームのさらなる進化も求められていました。これらを解消するため、国内で使用されていた約4,000台のPCを一斉に刷新。これまでの協業実績を活かし、信頼性の高いグローバルソリューションを提供するレノボと連携し、ハードウェア選定からキッティング、納品、保守までをトータルに再構築しました。システム子会社である株式会社ユーコット(UCOT) が主導し、約2カ月という短期間で運用スキームを洗練・展開。今回の取り組みにより、業務効率の向上と、多様な働き方への柔軟な対応が可能となり、ICT基盤の高度化が進展しました。



課題

複数ブランド・スペックのPCが混在。さらに端末ごとに契約スキームやリース期間にバラつきがあることがPC運用管理を煩雑かつ属人的にしていた。その結果、グループ全体でのIT統制や業務効率化も進みにくい状況が続いていた。

ソリューション

全社横断のICT・デジタル戦略の下に既存レノボのDaas(Device as a Service)を基盤に、PCライフサイクルマネジメントを再設計。国内グループ従業員が使用するPC約4,000台を一斉刷新し、ハードウェアの最適化からキッティング、配送、保守までをレノボが引き続きワンストップ支援。PC端末統一と運用体制の最適化を同時に実現した。

導入効果

PC環境の統一により、従業員の業務柔軟性や対応力が向上。さらに、レノボの包括的なサポートによりPC運用管理の効率が大幅に改善され、将来的なICT活用の高度化やセキュリティ強化に向けた基盤も構築された。


導入


UCCグループが目指す「現場起点」のICT・デジタル戦略

UCCグループ全体のICT戦略を担うシステム子会社、株式会社ユーコット(UCOT)は、ビジネスに直結するシステムの構築・運用を通じて、グループ全体のDX推進を支えています。2024年7月から9月末にかけて、同社はグループ従業員約4,000名を対象としたPC一斉リプレースプロジェクトを実施しました。このプロジェクトをリードしたのは、ICT&デジタル本部を統括する大森晋介氏と、プロジェクトリーダとしてプロジェクトを支えた後藤愛佳氏です。

大森氏は「私たちの役割は、単にシステムを導入することではなく、導入後の運用や保守まで責任を持ち、グループ社員が本当に使いやすいICT環境を提供することにあります。単に新しい技術を導入するのではなく、利用者が“使いやすい”と実感できる環境づくりを目指しています。」と語ります。

同社のICT戦略の特徴は「現場で活かされるICT」を重視している点にあります。こうした“現場起点”のICT活用が可能となっている背景には、UCCグループ全体のITを統括する執行役員CISOであり、UCOTの代表取締役社長を兼務する黒澤俊夫氏のリーダーシップが大きく関与しています。

「私たちは、ユーザーの要望を単に聞くだけではなく、ビジネス部門と密接に連携し、ICTの力で具体的な成果を出すことが求められています。たとえば、売上拡大や業務効率化といった課題を、ICTの力で解決することが私たちの役割です」と大森氏は強調します。

現在、UCOTではグループのERP基盤の刷新をはじめとするさまざまなプロジェクトを通じて、クラウド・ファーストを軸に、いつでもどこでも働けるセキュアなICT環境の構築に注力しています。

国内4,000台のPCを一斉にリプレースし、ICT環境を再構築

プロジェクトの背景について、大森氏は「今回のリプレースは単なる機器更新ではなく、働き方の変化に対応したICT環境の再構築が目的でした」と説明します。

「以前は営業職に限定してSIM内蔵PCを提供していましたが、コロナ禍を経て在宅勤務やリモートワークのニーズが高まったことから、事務職を含む全従業員に柔軟な働き方を可能にするICT環境の整備が求められるようになりました」(後藤氏)。

また、以前のPC運用は機種・OS・契約条件が混在し、管理が複雑化していました。

2022年には2,000台のレノボ製PCを導入したものの、残りのPCは異なる仕様で統一されていなかったため、今回の全台一斉リプレースにより、統一的な管理体制への移行を図ることが急務でした。

「機種やOS、運用スキームの標準化により、今後は4年ごとにグループ全体で一斉入れ替えが可能になります。これにより、運用管理の効率化と業務負荷の軽減が見込めます」(大森氏)

信頼性とコストの両立 ── レノボ製PCを採用した理由

UCOTでは複数のベンダーから提案を受けましたが、最終的に選定したのはレノボでした。選定理由として、大森氏は「コストと可搬性のバランス」を挙げています。

実際にレノボの大和研究所を訪問し、米軍調達規格「MIL-STD-810H」に準拠した過酷な品質試験を目の当たりにしたことで、製品の信頼性に確信を得たといいます。

「研究所では、落下や加圧など実際の使用環境を想定した厳しい耐久試験が行われており、その徹底ぶりに驚くと同時に、大きな安心感を得ました。今回採用したPCは約1.12kgと軽量ながら堅牢性にも優れており、コスト面でも妥当でした」(大森氏)

さらに大森氏は「 今回は as a Service を採用し、資産計上を回避したオフバランス化も実現できました。既存の運用をベースに、PCライフサイクル管理や契約の一元化を全社規模で拡大できたことが大きな成果です」と説明します。

運用改善を支えるテクノロジーとサポート体制

後藤氏は、レノボの提案が技術面でも優れていた点を評価しています。

「Microsoft Entra ID(旧Azure AD)」への完全移行によってオンプレミス依存が軽減。「Windows Autopilot」「MicrosoftIntune」を活用したキッティング自動化、PC構成最適化の提案が、同社のPC運用改善に寄与する提案と捉えました。

「AutopilotやRTP+(Ready to Provision)を活用することで、既存の運用体制を維持しつつ、短期間で全社展開を実現できる提案をいただきました。前回の2,000台導入時からの継続的な関係構築があったからこそ、当社の環境や運用事情を理解した上での的確な提案をいただけたと感じています」(大森氏)

※RTP+(Ready to Provision)はWindows Autopilotを用いたモダンデプロイメントに最適なプリロードイメージ。お客様独自のカスタマイズが可能です。

全社員の働き方を支える、統一された端末と運用基盤

今回採用されたのはノートPC「ThinkPad X13 Gen 5」および「ThinkPad L14 Gen 5 AMD」です。13.3型モバイルノートブックであるThinkPad X13 Gen 5は、約1.12kgの薄型軽量設計で持ち運びにストレスがなく、営業職や事務職の従業員が導入しています。また、14型メインストリームノートブックであるThinkPad L14 Gen 5 AMDは、大画面でも可搬性を妥協しないテレワークにも最適である点から、事務職の従業員の標準機種として導入されました。

「ユーザーの観点では、処理速度の大幅な向上がまず挙げられます。以前と比較してCPU性能が約3倍に向上し、全端末のメモリを16GBに増設しています。アプリケーションの動作が格段にスムーズになりました」(後藤氏)

さらに、全端末にLTEモジュールを内蔵した上でeSIMをエンロールメントすることで、営業職だけでなく事務職でも柔軟な働き方が可能になりました。後藤氏は「私たちが掲げる“いつでもどこでも働ける環境”の実現に一歩前進しました」と語ります。

 物理SIMではなくeSIMを採用したことで、紛失リスクや管理負荷も軽減されたといいます。「UCCグループでは、退職者が使用していたPCを初期化し、次の入社者に再配布する運用を行っています。eSIMの採用により、SIMカードの差し替えや物理的な手間が不要になり、初期化後の再配布もスムーズに行えるようになりました」(大森氏)

スムーズな展開と、レノボとの連携による現場対応力の強化

今回のリプレースでは、特定業務向けアプリケーションをキッティング対象から除外し、標準アプリケーションのみを展開することで、ネットワーク負荷の軽減と切り替え作業の迅速化を実現しています。またデータ移行についても同社はOneDrive for Business利用を促進していた為、従来のローカルtoローカルではなく、OneDriveベースでの移行となったことでさらなる効率化が図られています。

「Autopilotによるセットアップでは、早い社員で初期設定から業務環境の復旧までが30分程度で完了するケースも見られました。前回導入時と比べて展開スピードが大幅に向上しました」(後藤氏)

各拠点でのPC搬入・セットアップ作業は、レノボ側と連携して現場の総務担当者やリプレース責任者と協力しながら実施されました。「各拠点で誰がどの端末を利用しているかを十分に把握した上で、回収・再配布を速やかに実施するという流れを徹底させることが肝でした」と大森氏は振り返ります。

また、プロジェクト初期段階から適切な人材アサインが行われた点についても、後藤氏は「専門知識を持つエンジニアが適所に配置されており、非常に心強かった」とレノボのサポート体制を高く評価しています。

「営業やサポートエンジニアと直接、密に連携できる体制は、今後も維持していきたいと考えています。プロジェクトを円滑に進めるうえで、大きな要因でした」(大森氏)

国内標準化の先に見据える、グローバルICT基盤の高度化

今回のPCリプレースにより、UCCグループの国内ICT環境は一定の標準化と運用基盤の強化が達成されました。しかしUCOTでは、この成果を「ゴール」ではなく、「グローバル標準化へのスタート」と位置づけています。

ThinkPad X13 Gen 5

「UCCグループは海外にも拠点を展開しています。現地の事情を尊重しつつも、可能な範囲でPC運用やキッティング、セキュリティ運用を標準化することが、次の課題です」(大森氏)

その一環として、PCのみならず、オフィス設備やインフラの均質化も推進しています。東京本社の移転を機に、Type-C接続の統一や全会議室へのビデオ会議設備導入を進めた結果、地方拠点とのICT環境格差の是正が現実味を帯びてきました。

「PC調達・運用も含めたインフラ均質化の取り組みは、UCCグループ全体のグローバル戦略としてスピード感をもって着手します。レノボにはPCだけでなく、周辺機器やICT環境の設計・提案においてもパートナーとして協力を期待しています」(大森氏)

UCCグループが掲げるパーパス「より良い世界のために、コーヒーの力を解き放つ。」──この理念の実現には、ICTの力が不可欠です。その基盤を支えるパートナーとして、レノボへの期待は今後ますます高まっていくことでしょう。


お客様プロフィール

お客様

株式会社ユーコット(UCOT)

所在地

兵庫県神戸市中央区磯辺通3丁目2番17号 ワールド三宮ビル7F 

設立

1990年9月


株式会社ユーコット(UCOT)

レノボのDaas(Device as a Service)運用を進化
4,000台のPC一斉リプレースで目指したICT基盤の高度化と柔軟な働き方を支える新スキーム

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