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導入事例

鹿島建設株式会社

BIMの活用にとどまらず、VRへの需要とAI(人工知能)技術も視野に、レノボのモバイル・ワークステーションを全面採用。

導入について

処理性能、モバイル性、コスト・パフォーマンスなどのバランスに優れたレノボのモバイル・ワークステーションを複数世代にわたって採用し続けています。

鹿島建設株式会社
建築管理本部 BIM推進室 BIM-推進グループ長 BIM統括マネージャー
安井 好広 氏

世界中の関係者同士でBIMデータの共有が可能な鹿島建設独自の『Global BIM®』

鹿島建設株式会社(以下、鹿島建設)は、ノートブックPCの高性能化や低価格化に伴い、2010年頃より社員のクライアント環境としてノートブックPCと大型ディスプレイを組み合わせたシステム構成を積極的に採用するようになりました。また、2011年3月に東日本大震災が発生したことを受け、省エネルギーの推進やバッテリー駆動による業務継続が容易なノートブックPCに着目し、特別な事情がない限りはユーザー端末としてノートブックPCを調達することを決めています。
同社は、すでに社員1人に1台のB5サイズ・ノートPCを配布しているほか、業務の内容に応じてタブレット端末(約3,000台)やモバイル・ワークステーション(約2,000台)も適材適所で取り入れています。

鹿島建設独自のプラットフォーム『Global BIM®』で、社内外の関係者がデータを共有・管理できる環境を構築

鹿島建設独自のプラットフォーム『Global BIM®』で、社内外の関係者がデータを共有・管理できる環境を構築

特にモバイル・ワークステーションの導入を大きく牽引したのが、社内外の関係者同士でBIM(Building Information Modeling)データを共有できるようにしたクラウドベースのBIMプラットフォーム『Global BIM®』です。Global BIM®では、3D CADデータとさまざまな属性情報から構成されたBIMデータの作成・編集、3DCGによる可視化、クラウド連携など、包括的なBIMワークフローを提供するグラフィソフト社のArchiCAD®とBIMcloud®を採用しています。
また、Global BIM®の中核となるシステム基盤は、優れた堅牢性と高度なセキュリティーを備えたNTTコミュニケーションズのエンタープライズ・クラウド上で運用されています。
鹿島建設とその顧客、設計事務所、業務提携関係にあるモデリング会社、専門工事業者など、建築プロジェクトに参加する数多くの関係者が、Global BIM®を通じて建築物の可視化を行い、合意形成のためのシミュレーション、建築・設備の取り合い確認、施工段階における施工図の作成や施工計画などに役立てています。

Global BIM®は、2015年4月にGlobal BIM® 2.0としてさらなる進化を遂げています。Global BIM® 2.0では、鹿島建設の強い希望によって製品化された専用アプリケーション(BIMcloud Team Client®)を通じて、同社が保有するArchiCAD®のソフトウェア・ライセンスを協力会社などに貸し出す仕組みも実現しています。
建築管理本部 BIM推進室 BIM-推進グループ長 BIM統括マネージャーの安井好広氏は、「当社は、BIMという概念を単なるデジタルツールの進化にとどまらず、運用の改革であると受け止めています。建設業務に対して最新のICTをどのように活用していくべきかを常に考えながら実践を重ねていますが、そのような取り組みのひとつがGlobal BIM®となります。当社では、生産ラインを支える施工部門からBIMの導入に着手し、現在では設計や維持管理への連携に向けたカタチもかなり見え始めてきました。Global BIM®は、BIMデータの運用管理を支援する重要な基幹システムとして、これからもさらなる改良が加えられます」と語ります。

Global BIM®を利用する施工部門向けに約2,000台のThinkPad Wシリーズを配布

鹿島建設では、Global BIM®を通じて多数のプロジェクト関係者がBIMワークフローに参加できるようになりましたが、Global BIM®へのアクセスには、高度な3D CADデータをストレスなく扱えるユーザー端末が不可欠です。こうした経緯から、Global BIM®のメリットを最大限に引き出せるクライアント環境として、施工系の業務に携わるすべての社員にレノボのモバイル・ワークステーション『ThinkPad Wシリーズ』を配布しています。
同社では、毎年秋口に実施されるクライアント更新を経て、これまでの数年間にThinkPad W520、ThinkPad W530、ThinkPad W540、ThinkPad W541を順次導入してきました(2016年4月現在、合計 約2,000台が稼働中)。

施工部門社員が各自に配布されたThinkPadを持ち寄り、BIM研修を実施

施工部門社員が各自に配布されたThinkPadを持ち寄り、BIM研修を実施

ThinkPad Wシリーズは、業務利用に特化して設計されたモバイル・グラフィックス・カード『NVIDIA® Quadro® K2100M』を搭載し、OpenGLに対応した高性能グラフィックス・チップ(GPU)と大容量のフレームバッファー、さらにはインテル® Core™ i7プロセッサーとの相乗効果により、ArchiCAD®をはじめとするハイエンド3D CADアプリケーションがストレスなく動作します。
レノボは、主要な独立ソフトウェア・ベンダー(ISV)と強力なパートナーシップを構築し、常に安定して稼動する最適なハードウェア・プラットフォームを保証しています。また、OS、グラフィックス・ベンダー、ISV各社が行う厳密な認証テストもクリアし、各社からさまざまなISV認証を取得しています。

建築管理本部 BIM推進室 BIM-ITグループ長の遠藤賢氏は、「施工系の業務に携わる社員のモバイル・ワークステーションでは、オフィス製品(Microsoft Office® 365)やアドビのクリエイティブ・スイート(Photoshop®、Illustrator®、Acrobat®)に加え、BIMワークフローを支えるArchiCAD®、建築系3D CADアプリケーション、従来から利用している作図CADのBricsCAD®、自社で開発した特殊なエンジニアリング・アプリケーションなど、さまざまな種類のアプリケーションが使用されます。特にBIMデータを扱う上で、高性能プロセッサーや大容量メモリーの搭載はもちろんのこと、3D CADアプリケーションが快適に動作する外部グラフィックス・ソリューションも不可欠です。こうした数々のハードウェア要件を満たすモバイル・ワークステーションは、現時点でレノボを含めて数モデルしか選択肢がありませんが、持ち運びの容易な薄型・軽量の筐体設計、大量導入に適した端末コスト、国内設計ならではの優れた信頼性や堅牢性などを高く評価し、レノボのThinkPad Wシリーズを4世代にわたって採用し続けています」と語ります。

VRシステムを支える再生用PCにとどまらず、2016年秋口から配布する次世代のユーザー端末としてもThinkPad P50の導入を予定しています。

鹿島建設株式会社
建築管理本部 BIM推進室 BIM-ITグループ長
遠藤 賢 氏

HMDを組み合わせた最新のVRシステムにハイエンドモデルのThinkPad P50を採用

鹿島建設は、建築空間を直感的に把握できるソリューションとして、VR(仮想現実)技術もいち早く取り入れています。
例えば、画面上に映し出されたデジタル・モックアップ(仮想的なモデルルーム)で竣工後の建築空間を簡単に確認できるシステムを実用化しているほか、最近ではヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)を装着したユーザーが、あたかも実際に建物内を歩いているかのような感覚で確認作業を進められるシステムも試作し、実機による検証を進めています。このVRシステムでは、最新の高性能HMD(Oculus VR社のOculus Rift)を介して、施設天井内の配管設備や建物内の内装をウォークスルーで確かめられます。
また、手の動きを認識するモーション・コントローラーも搭載することで、目の前に映し出された設備の一部や工具に触れる体験も実現しています。

安井氏は、Oculus Riftを組み合わせたVRシステムについて「3DCGで描かれた内観パースだけでは、建築空間の距離感やボリューム感を正確には把握できません。このため、病院や宿泊施設の内装を中心に、細かな確認作業が求められる建築空間に対しては、何千万円ものコストをかけて実際にモデルルームを製作してきました。
今回新たに開発したVRシステムを導入すれば、施工難易度の高い部位やメンテナンスルートなど、さまざまな種類の仮想空間を容易に提供できるようになり、施工性の確認や完成形イメージの把握などに活用できます。今後は、現実と仮想の世界を重ね合わせられるAR(拡張現実)やMR(複合現実)技術の活用も視野に入れています」と説明します。

モバイルワークテーション P50と「Oculus Rift + Leap Motion」を組み合わせたVRシステムを体験

モバイルワークテーション P50と「Oculus Rift + Leap Motion」を組み合わせたVRシステムを体験

この新しいVRシステムでは、VR映像の再生用PCとしてハイエンド・プロフェッショナル向けモバイル・ワークステーション『ThinkPad P50』を検証機として採用しています。
同社のThinkPad P50には、その心臓部としてインテル® Xeon® E3-1500M v5 ファミリーが搭載されています。インテル® Xeon® E3-1500M v5 ファミリーは、デスクトップ・ワークステーションの世界で定評のあるインテル® Xeon® プロセッサーのモバイル版にあたり、最先端の半導体製造技術と独自のマイクロアーキテクチャーによって、さらに高い次元で高い処理能力と優れた電力効率を両立しています。

現在、同社が検証中のThinkPad P50は、インテル® Xeon® E3-1500M v5ファミリーのほか、最新のNVIDIA® Quadro® M2000M、16GBのDDR4メモリー、512GB SSD(M.2タイプ)を搭載し、デスクトップ・ワークステーションに匹敵する処理能力を実現しています。また、ThinkPad P50は、外部グラフィックスのみで3Dアプリケーションを動作させられる「Discrete Graphics」固定モードも選べることから、常に安定した3D性能が求められるVR系アプリケーションの動作環境として採用可能最適なモデルです。

建築管理本部 BIM推進室 課長 BIMマネージャーの近藤理恵子氏は、ThinkPad P50による検証状況について「Oculus VR社からはデスクトップ型のワークステーションを強く勧められましたが、モバイルタイプのThinkPad P50でも動作を確認できています。ThinkPad P50は、デスクトップ機に匹敵するインテル® Xeon® プロセッサーとハイエンド・グラフィックスの組み合わせにより、高いフレームレートと低レイテンシーの映像表示を実現しています。このため、Oculus Riftを装着してVRを体験している最中に酔って気持ち悪くなるようなこともありません。今後、VRを活用した取り組みをさらに推し進めていく中で、レノボにはVR関連のソリューションを提供する周辺機器やソフトウェア・ベンダーとともに、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせで最高のパフォーマンスが発揮される製品を開発してもらいたいと考えています」と述べています。

ThinkPad P50を組み合わせたVRシステムは、高いフレームレートと低レイテンシーの映像表示により、違和感の少ないVR体験を実現しています。

鹿島建設株式会社
建築管理本部 BIM推進室 課長 BIMマネージャー
近藤 理恵子 氏

2016年度に配布する次期端末としてThinkPad P40 Yogaも新たな選択肢に

鹿島建設は、2016年の秋口から配布を開始する次世代のモバイル・ワークステーションとしてもThinkPad P50の導入を予定しています。また、社員のさまざまなワークスタイルに対応していくため、ユーザー端末の新たな選択肢としてマルチモード・モバイル・ワークステーション『ThinkPad P40 Yoga』も加えることを検討しています。
同社は、ThinkPad P50、ThinkPad P40 Yogaともに、独自のベンチマーク・テストを通じてアプリケーションの起動時間、基準モデルデータの立ち上げ時間、3D描画、関連システムとの機能連携などを実機で検証しており、既存のモバイル・ワークステーションと比べてさらに処理性能が向上していることを確認済みです。

ThinkPad P40 Yoga は、ディスプレイ部分を回転させることで4種類の利用スタイルを選べる14.0型のモバイル・ワークステーションで、カバンにも無理なく収納できるスリムな筐体と約1.8kgの軽量を実現しています。また、プロセッサー内蔵グラフィックスのほか、プロ仕様の外部グラフィックスも搭載し、Global BIM®の高度なニーズに応えます。
遠藤氏は、「外出の機会が多い社員からはThinkPad Wシリーズよりも薄型軽量のモデルを強く希望されていましたが、ThinkPad P40 Yogaによってついにその願いが叶います。営業活動や現場でのプレゼンテーションが中心となる社員は、どこにでも気軽に携帯でき、ときにはタブレットとしても使えるThinkPad P40 Yogaが適しています。性能面で妥協のないThinkPad P50を全社の基本モデルとしながらも、ワークステーションの携帯性を重視する社員にはThinkPad P40 Yoga を配布する方向で検討中です」と語ります。

同社は、社員の機動力をさらに高める取り組みとして、デスクトップ仮想化技術にも着目しています。最近では、共有仮想GPU(vGPU)ソリューションの登場を受け、3D CADワークステーションの仮想化にも対応できる時代が訪れています。
安井氏は、「施工部門のデスクトップ環境を仮想化することで、社員の端末をモバイル・ワークステーションからウルトラスリム・ノートPCやタブレットへと移行できます。現時点では、端末1台あたりのコストが物理ワークステーションよりもはるかに高額で採用には至っていませんが、中長期的な視点では導入を検討する価値のあるソリューションだと考えています。例えば、オンプレミスでデスクトップ仮想化基盤を構築する場合、サーバーとクライアントの双方をレノボ製品とすることで、サポート保守の窓口を一本化したり、導入時のコストメリットをさらに高めるといったことも可能になるでしょう。レノボには、コスト・パフォーマンスに優れたデスクトップ仮想化ソリューションを、サーバーからクライアントまでワンストップで提案してもらえることを期待しています」と、将来の展望を述べています。

2016年4月取材

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