グラフィソフトジャパン株式会社
〒107-0052 東京都港区赤坂3-2-12 赤坂ノアビル4階
建築家のための業界初となるBIMソフトウェアArchiCADを提供するGRAPHISOFT SEの日本法人。過去3年間、グラフィソフトジャパンは急激な成長を遂げ、顧客には大手ゼネコン、設計事務所等を持ち、日本でも有数のBIMソリューションプロバイダと認められています。
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BIMソフトの定番中の定番となったArchiCADが「ArchiCAD 18」となって新登場した。新バージョンでは「BIMcloud」機能の充実により、コラボレーション機能が従来よりも飛躍的に使いやすくなったほか、機能追加やレンダリングエンジンの変更が行われている。新しいArchiCAD 18とベストマッチなThinkStationシリーズについて、グラフィソフトジャパン株式会社様にお話を伺った。
ArchiCAD 18の説明をいただいた
グラフィソフトジャパン株式会社
プロダクトマーケティング 駒井英吾氏
ArchiCAD 18のトピックはまずはBIMcloud(クラウド)の統合。従来からArchiCADはBIMサーバーを使ったチームワーク機能が充実していたが、それをさらに進化させ、小規模から大規模なコラボレーションまで柔軟に対応可能となった。アクセスできる端末はPCだけに限らず、タブレットなどのモバイルデバイスから操作可能になった。
例えば、複数の拠点からサーバーにアクセスを行う大規模なコラボレーション環境では、ArchiCAD 18では「デルタキャッシュ」と呼ばれる仕組みを導入した。
キャッシュサーバーを各拠点に配置すれば、作業を行うクライアントPCは拠点のキャッシュサーバーにアクセスするだけで済むため、データへのアクセス速度は向上する。キャッシュサーバーはメインのサーバーと通信して絶えずファイルを最新にしているため、クライアントPCからはアクセスするファイルは常に最新のものとなる。しかも、サーバーから離れた拠点からでもアクセスは快適で、回線も効率的に無駄なく利用できる。
一方、BIMにさまざまな要素が取り込まれると、ArchiCAD上の図面を閲覧する人の数が増えてくる。非常に大まかな数字だが、図面を見る人の数は設計する人の100~200倍となることが見込まれる。その中にはタブレットをはじめさまざまなデバイスを通して現場で図面を確認する人もいる。 BIMcloudはVPNを使わずセキュアなアクセスを実現するため、現場でタブレット等のモバイルデバイスからも最新かつ詳細な図面の照らし合わせが容易になる。もちろん柔軟かつ強固なセキュリティ機能により、例えば協力会社スタッフによる図面へのアクセスも必要なセキュリティレベルを設定して可能にしている。
ArchiCAD BIMcloud — 制約のないBIM(グラフィソフトのWebサイトへ)
BIMcloudサーバーをBIMcloudマネージャで管理、デルタキャッシュシステムによりクライアントPCからは最新の情報にアクセスできる。ユーザーがアクセスできる範囲などセキュリティレベルもBIMcloudマネージャでまとめて管理できる。
BIMcloudのシステムレイアウト。サーバーが複数に渡ってもBIMcloudマネージャでまとめて管理。クライアントPCからはデルタキャシュシステムによりいつでも最新ファイルにアクセスできる。
管理画面では、プロジェクト等によってアクセスできる権限を細かく設定可能。現場から容易に図面にアクセスできるメリットとセキュリティを両立できる。
従来はBIMサーバーを運用してチームワーク機能を使う場合、データ容量が増大していくと、サーバーを停止させてディスクの増設などを行わなければならなかった。完全にBIMを使わない時間帯があればよいが、連続して作業が行われている場合や、時差のある地域からのアクセスを見込んだ場合は、そのメンテナンスのタイミングが非常に難しいという問題があった。
ところがBIMcloudでは機能を止めずにストレージを追加するなど、スケーラビリティという点で進化した。
なぜデータの容量にこだわるかというと、3D CADソフトが進化するに従い、より詳細なモデルを作る→データ量が大きくなるという傾向があり、それに伴って取り込む要素も増え、さらにデータが増え、プロジェクトデータが日に日に大きくなっている事情がある。実際のデータの増加は使い方次第だが、ひとつの目安として、ArchiCADで扱うデータの想定は3年前の5倍のサイズとなっている。
また、サーバーの構築についても柔軟性が増した。BIMcloudで使うサーバーは自社に置いてプライベートクラウドとして利用するほか、データセンターに設置することもできる。ArchiCADでは一部の仮想サーバーサービスの利用もサポートしている。
そして、さまざまな場所のサーバーを統合的に管理しやすくなったことも新バージョンの特徴となる。
CINEMA 4Dレンダリングエンジンの搭載により光の設定が豊富になった。
BIMcloudの進化はどちらかというとバックエンドの進化となるが、ArchiCAD 18では設計者向けの機能でも進化が遂げられている。 そのひとつが「改訂管理」機能となる。これは単なる変更履歴と思われがちだが、変更したことによる、全体への影響を管理する機能となる。例えば建物の壁を変更した場合、変更履歴では壁を変更したことがわかるだけだが、「改訂管理」では、壁を変更したことによって全体に影響するところがすぐわかるようになっている。 また、改訂管理の機能はカスタマイズでき、変更マネージャと変更ツールを使って改訂の記録を文書化することもできる。BIMのワークフロー全体に統合されたものとなるため、プロジェクト全体を通して変更の記録を統合的に管理できる。
そしてArchiCAD 18のもうひとつの大きな進化がCINEMA 4Dレンダリングエンジンの搭載。詳しくはArchiCAD 18のWebサイト等で説明動画を見てほしいが、光の設定が豊富になったほか、材質設定も充実、従来よりも高品質でフォトリアリスティックなイメージ、わかりやすく言えば実際の建物と並べてそっくりなイメージを再現できるようになっている。
光の設定によってさまざまな表現が可能になった
そのほか、オープンな形式であるIFC形式のファイルの取り込み性能が従来のバージョンよりも向上している。他とのデータのやりとりをするための形式で、取り込み性能が向上することで、他のBIMソフトウェアとの相互運用が容易になっている。
また、テキストコメントやスクリーンショットを追加してエンジニアやコンサルタントとのやりとりをサポートするBCFファイル(BIM Collaboration Format)にも対応している。
ArchiCAD 18の操作画面
さて、ここで新しくなったArchiCAD 18の動作に必要なスペックを数多くの動作検証を行ってきたグラフィソフトのカスタマーサービスエンジニア、高橋靖幸氏に聞いたところ、必要な要件は従来ほとんど同じだが、ワークステーションクラスのグラフィックボードに、動作クロックが高いCPUを用意することが基本だという。 CPUのクロックの高い低いは処理によっては大きく関わり、3Dでモデルを回していくときや、複雑なデータを扱うほどCPUの処理速度の差が顕著になってくる。 表示の滑らかさという点ではQuadro K2200クラスのグラフィックボードがおすすめ。ただし、グラフィックボードも世代が新しくなったことにより性能も従来より一段階上がり、ベーシッククラスのQuadro K620でも十分な表示能力を得る事ができる。
また、新しいレンダリングエンジンは主にCPUを使ってレンダリングを行うため、レダリング用にグラフィックボードを奢る必要はない。しかし、処理をメモリーに展開するため、メモリー容量は多いほうが望ましいという。CINEMA 4Dレンダリングエンジンを多用することを見込むならば16GBは欲しいとしている。 以上のような条件から高橋氏が選んだBIM向けの推奨機材はThinkStation P300のタワーモデル。その理由としては、高クロックのCPUが選べ、グラフィックボードを搭載した場合の排熱性能にも有利だからという。同じスペックが実現でき、小さいボディのSFFモデルでも処理性能的には全く違いはないが、内部の容積の差から冷却ファンが早く回ってしまうため、より静かに作業をするならタワー型がおすすめとのことだ。 一方で上級のThinkStation P500を導入にもメリットがあるという。現時点ではハイスペックすぎると言うが、特に重いデータを扱ってもふつうに動くため、使用時の安心感が異なるという。また、スペック的に長く使えることが想定されるため、長期利用も見込むならば投資する価値は十分あるとしている。
グラフィソフトセミナールームで利用中のP500
ThinkStation P300(左)とP500(右)
モデル |
ThinkStation P300 Tower |
ThinkStation P500 |
---|---|---|
プロセッサー |
インテル® Xeon® E3-1241 v3プロセッサー |
インテル® Xeon® E5-1620 v3プロセッサー |
グラフィックス |
Quadro K620またはK2200 |
Quadro K620またはK2200 |
メモリー |
8GB~16GB |
8GB~16GB |
【ThinkStation完全検証】BIMcloudを統合 ArchiCAD 18でP300とP500を試す(523KB)
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