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特集

System x Solution for SAP HANA

デジタルによるビジネス変革の核となる超高速インメモリー型データベース

SAPジャパン株式会社 バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長 鈴木 正敏 氏

SAPジャパン株式会社
バイスプレジデント
プラットフォーム事業本部長
鈴木 正敏 氏

デジタル化された情報を企業とサプライチェーンを構成する取引先、さらには顧客を含めたステークホルダー全員が互いに活用しあうことで大きな経済圏を作り出す、いわゆる「デジタルエコノミー」が拡大しています。

この潮流の中で、資産をまったく持たないベンチャー企業が、大規模な資産を持つ伝統的な企業を追い落とし、株式の時価総額でも上回るといった“破壊的イノベーション”が世界各地で起こり始めました。自社で自動車を1台も保有することなく世界最大のタクシー会社となったUBER、自社で不動産を持つことなく世界最大のホテル業となったAirbnbなどは、まさにこの時代を象徴する存在です。

もっとも、企業が資産を持つこと自体を否定するわけではありません。重視すべきは、アセットの生産性にあります。斬新なアイデアとビジネスモデル、それを支えるITインフラの下、所有する資産の効率性を究極的に高めることでこそ、企業は顧客に対して卓越した付加価値を提供し、市場で競争優位を獲得することができるのです。その意味では、中堅・中小を含めた伝統的な企業にも平等なチャンスがあります。

SAPは、そうしたデジタルによるビジネス変革を後押ししています。ソリューションの根幹となっているのは、超高速インメモリー型データベースの「SAP HANA」です。

米国市場調査会社MarketsandMarketsによれば、世界のインメモリーコンピューティング (IMC) 市場は、2015年の55億8000万米ドルから、2020年までに231億5000万米ドルへ拡大すると見られており、この市場は今後も大きな拡大が期待されます。SAPジャパンのバイスプレジデントでありプラットフォーム事業本部長を務める鈴木正敏氏は、「SAP HANAをリリースしてから既に約6年が経過しましたが、イノベーティブで先進的な技術という評価は変わらずに、かつ、多くの日本の企業に成熟したテクノロジーとして受け入れられるようになりました」と語ります。

2015年に登場した「SAP S/4 HANA」は、その名のとおりSAP HANAに最適化する形でアーキテクチャーを刷新した第4世代のERPプラットフォームです。これにより現在、新規ERP構築プロジェクトのほぼ全てが、スタンダードとなったSAP HANAをベースに進められているといいます。また、既存のERPのプラットフォームについても、大手企業を中心にSAP HANAへのリプレースが加速しています。

さらに注目すべきが、ERP領域以外でのSAP HANAの利用拡大です。「特にグローバルを横串で貫いたリアルタイム経営やビジネス現場の意思決定を支える情報系システムでの採用が顕著で、日本でも十数TB(SAP HANAによるデータ圧縮前では数十TBのデータボリューム)の巨大なメモリー上でデータウェアハウスを稼働させるプロジェクトも進行しています」と鈴木氏は語ります。

顧客に最良の選択肢を提供できるオープン性を生かしたSAP×レノボの協業が拡大

レノボ・ジャパン株式会社 データセンター・ソリューション事業本部 製品統括本部 統括本部長 橘 一徳 氏

レノボ・ジャパン株式会社
データセンター・ソリューション事業本部
製品統括本部 統括本部長
橘 一徳 氏

デジタルエコノミーを見据えたSAPのグローバルなビジネス戦略、なかでも日本市場において存在感を高めているのがレノボとのパートナーシップです。

この協業から生み出されたのは、「System x Solution for SAP HANA」というハードウェアプラットフォームです。「第6世代Enterprise X-Architecture(X6アーキテクチャー)」に準拠し、インテル® Xeon® プロセッサー E7-8880 v4を搭載したフラッグシップサーバー「Lenovo System x X6シリーズ」に、SAP HANAをあらかじめインストールしたアプライアンス製品です。

第6世代エンタープライズX-アーキテクチャー(X6)に基づく Lenovo System x3850 X6とx3950 X6 は、大規模アプリケーションを実行するIT基盤の複雑性とコストを低減でき、仮想化基盤やより高速なアナリティクスのエンジンのための、高い可用性を持つ情報処理基盤として利用できます。この新しいX6プラットフォームは最新のインテル® Xeon®プロセッサー E7-8800/4800 v4製品ファミリーを搭載し、17のインダストリー・パフォーマンス・ベンチマーク※1でトップクラスのパフォーマンスを実現しました。

高度なブック型モジュラー・デザインによる拡張性により、次世代のプロセッサーやメモリー・テクノロジーへのアップグレードを容易にし、ハードウェアの購入コストを低減。高い自己回復力の提供により容易な保守を実現します。大規模なデータベースや仮想化、ビッグデータ分析、ビジネス・アナリティクス、業務アプリケーションやクラウド・アプリケーションなどミッション・クリティカルなワークロードに最適で、SAP HANAをはじめとするインメモリー・アプリケーションにも対応します。

基幹システムに求められるシステム構成の柔軟性、拡張性、信頼性を実現し、ERPなどの基幹アプリケーションを同一のシステム内で稼働させながら、そのデータを活かしたリアルタイムなアナリティクスやインメモリーDBによる高速処理を行なえるといった高負荷なワークロードを管理運用コストを削減しながら実現することができます。

SAP HANAベースのアプライアンス製品を提供しているハードウェアベンダーは世に数ありますが、その中でも System x Solution for SAP HANA はワールドワイドでトップクラスの導入実績を誇っています。
System x Solution for SAP HANA の強みはどこにあるのでしょうか。

まず注目すべきが高度なスケーラビリティーです。スケールアップ構成では2CPU/128GBメモリー構成からスタートし、最大8CPU/12TBメモリーの構成までスケールアップできます。また、スケールアウト構成では1筐体に最大4TBまでメモリーを搭載することができ、専用の共有ストレージを必要としない分散ファイルシステムの仕組みで、各ノードのローカルストレージを共有することにより、最大94ノードまでスケールアウトできます。これにより、1システム当たり、最大376TBまでメモリー領域を拡張することができます。

次に障害予知機能があります。障害予知機能PFA(Predictive Failure Analysis)とは、過去に障害の起きた類似の装置を統計分析することによってハードウェア障害の発生パターンをつきとめ、CPUやメモリーだけではなく、電源モジュールや空冷用のファンなどの各種ハードウェア障害の予知を可能にした技術です。それまでハードウェアの障害は突然起きるものと考えられていましたが、この技術により事前に予知することが可能になり、24〜48時間前に障害発生を管理者に通知できます。

レノボ・ジャパン データセンター・ソリューション事業本部 製品統括本部の統括本部長の橘一徳氏は、「スモールスタート構成が可能なため、ERP環境を構築・展開する上で必要となる検証、開発、本番といった複数のランドスケープを同じアーキテクチャーで賄うことができます。また、データ量がどんどん増大していくビッグデータやIoTといった利用分野に対しても、単純にサーバーをつないでいくだけでリニアにパフォーマンスとストレージ容量を増強できます。こうしたハードウェアの制約を受けない柔軟な拡張性が、SAP HANAとの高い親和性を発揮しています」と強調します。

さらに、メモリー障害による突然の停止を防ぐPFA(Predictive Failure Analysis)機能やPCIバスのチェック&リトライ機能などを搭載し、一般向けサーバーシステムより数段上の可用性を実現。ミッションクリティカルな業務に耐える高い信頼性を提供しています。

一方、SAP側から見たレノボとのアライアンスのメリットとして鈴木氏が言及するのが、“オープン性”に対する価値観の共有です。 レノボは、インテルのプロセッサーを採用した業界標準のx86サーバーを提供しているハードウエア専業ベンダーであり、ソフトウエアベンダーやシステム開発会社と競合することがないため、グローバルレベルでもローカルレベルでも多様なISV各社と柔軟かつ等距離のパートナー戦略を推進することができます。「要するに、お客様にとっては、最良の選択をするチャンスが広がるのです」と鈴木氏は強調します。

こうしてSAPとレノボの両社は多方面にわたる協業を進めており、System x Solution for SAP HANAについてもサポートをワンストップで提供するスキームを整えました。アプライアンスの導入まではレノボが一貫してサポートを提供し、その後のハードウエア/ソフトウエア保守の受付はSAPに窓口が一元化されているため、ユーザーは障害時の原因切り分けなどで悩むことはありません。

※1:SPECjbb2015-Distributed critical-jOPS #1 4P performance ; TPC-E - #1 4P performance ; STAC M3 - 15 separate benchmarks. Results referenced current as of 6/6/16.

「SAP HANA Vora」の共同検証を推進しリファレンスモデルを提示

SAPとレノボはマーケティング面でも連携を強化し、日本企業に密着したニーズを深耕しつつ、業界業種を問わない裾野の広い需要を喚起していく構えです。そうした中で現在進められているプロジェクトの一つが、インメモリーコンピューティングの新たなイノベーションとして注目される「SAP HANA Vora」の共同検証です。

SAP HANA VoraとはHadoop向けの新しいインメモリークエリーエンジンであり、Apache Spark実行フレームワークを拡張した基盤にインタラクティブなアナリティクス環境を提供します。「これによりSAP HANA上で管理されているERPのトランザクションなどの構造化されたビジネスデータと、Hadoop上に展開しているWebサイトのアクセスログやSNSから収集した消費者のコメント、IoTのセンサーデータなどのビッグデータを透過的に活用することが可能となります」と鈴木氏は語ります。

例えばSAP HANA上のデータとHadoop上のデータを同じOLAP(多次元分析)環境に展開し、自在に軸を切り替えながらドリルダウンを行えるようになるなど、ユーザーの分析範囲を大幅に拡大します。また、これまで多大な工数を費やしていたデータ統合の負荷を軽減してITコストの削減に寄与します。

共同検証の第一フェーズとして、まずは下の図に示すような動作検証環境を用意してハードウエアとソフトウエア間の整合性やパフォーマンスに関するテストを重ね、SAP HANA Voraに最適化されたシステムのリファレンスモデルを提示する考えです。

「プロジェクトには、Hadoopの商用ディストリビューション『MapR』の開発・提供元であり『Lenovo Together プログラム』のメンバーとしてもアライアンスを組んでいるマップアール・テクノロジーズのほか、大手SIベンダーにも参画していただいており、実際に多くのユーザーが運用現場で直面しているデータ分析の課題を見据えた共同検証を行っています。この成果を近いうちにホワイトペーパーとして公開したいと考えていますので、どうぞご期待ください」と橘氏は語ります。

具体的なビジネスケースを想定したベストプラクティスも示していく

「具体的なビジネスケースを想定したベストプラクティスやシステムの構築・運用ノウハウを提供し、日本市場をリードしていきます」

この共同検証には、さらに先の計画があります。基礎的なリファレンスモデルの提示にとどまらず、第2フェーズでは具体的なビジネスケースを想定したベストプラクティスやシステムの構築・運用ノウハウを提供すべく、準備を進めています。

多くの製造業は現在、生産ラインに配置した各種センサーからIoTによってデータを収集し、製造装置の故障予測/予防保守に役立てるといった取り組みを進めている。ただ、生産ラインに閉じたデータ活用ではそれ以上の発展はありません。SAP HANA Voraを活用することで、その限界を超えることができるのです。

ERPには在庫情報や売上見込み、顧客情報など、多様なビジネスデータが管理されています。「IoTに基づいた故障予測とこれらのビジネスデータを組み合わせることで、より包括的な分析を行えるようになり、経営側の意思決定をダイレクトに生産計画や販売計画などに反映することが可能となります。こうしたビジネス課題に密着したソリューションを数多く提示していきたと考えています」と鈴木氏は構想を語ります。

同様に例えば通信事業者では、トラフィックパターンを分析することでネットワークのボトルネックを解消してQoS(Quality of Service)を向上する、あるいは金融機関では日々大量に発生する金融取引のトランザクションや顧客履歴データから異常(不正取引)を検出するといった分析も可能となります。このようにSAP HANA Voraをベースとしたビッグデータ領域のソリューションの広がりは、まさに無限大です。

「レノボにとってもSAP HANA Voraは、ハードウエアプラットフォームの差異化を打ち出し、デジタルエコノミーの時代にプレゼンスを高めていく強力な武器となります」と橘氏。続けて、「SAP HANAを中核とするパートナーおよびエコシステムのさらなる拡大を図り、デモンストレーションやトレーニング、セミナーの共同開催、技術情報の提供、先進ユーザーの事例づくりなどにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。SAPの絶大なブランド力に頼りきっているだけではだめで、レノボ自身が先頭に立つ覚悟で日本市場における“HANAビジネス”をリードしていきます」と橘氏は意気込みを示します。

今後、SAP×レノボのパートナーシップから発信されていく多彩なSAP HANAソリューションは、日本企業のビジネス変革をさらに加速させていくことになりそうです。

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ケーススタディ:レノボ、SAP HANAを基盤としてサプライチェーン・システムを刷新(832KB)

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