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特集

ThinkPad 選ばれる理由

ThinkPadと創る新しいエネルギー

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』には、1985年の街角でゴミ箱に捨てられていたバナナの皮や飲み物を燃料に、車型タイムマシン「デロリアン」がタイムスリップするシーンが描かれている。それを見た当時大学生だった岩元美智彦は、ゴミを燃料に自動車が走る未来を思い描いた。

大学卒業後に入社した繊維商社で、日本国内だけでも年間約170万トンもの繊維製品が廃棄され、そのうちの約8割が焼却または埋め立てられている事実を知る。そこで「トウモロコシからバイオエタノールが作れるのなら、綿からも作れるのではないか」と思いついたという。そんなある日、異業種交流会で出会った一人の青年にこの構想を話す。当時大阪大学先端科学イノベーションセンターの特任助手として、バイオエタノールの研究に携わっていた髙尾正樹だ。

PROFILE

日本環境設計 代表取締役社長
髙尾 正樹 氏

1980年生まれ。東京工業大学工学部(化学工学)を卒業後、2004年東京大学大学院にて技術経営を専攻。同大学院を中途退学し、07年に共同設立者の岩元美智彦と日本環境設計を設立。専務取締役に就任する。大阪大学との共同研究の末、コットンをバイオエタノールに精製するリサイクルの商用化に成功した。16年に代表取締役社長に就任。

「変なこと言うおっちゃんやなあと(笑)。それでも、面白そうな話ですし、直感的にできるかもしれないなという気はしたので、ノリで『やれるんちゃいますかね』とどっかの焼き肉屋で答えたのがそもそものきっかけなんです」と髙尾は振り返る。

2007年1月、岩元(現会長)と髙尾(現社長)は日本環境設計を設立。そして翌年には、見事に大阪大学との共同研究により、綿繊維からバイオエタノールを生産するリサイクル技術の開発に成功した。全国の無印良品やパタゴニアなど、これまでに約50社が運営する店頭で一般消費者から衣料品を回収。それをバイオエタノールにリサイクルして設備のエネルギーとして活用したり、ポリエステル原料にリサイクルしてメーカーに販売することで“服を服に戻す”循環型社会を作る仕組みを生み出してきた。事業拡大の秘訣は、オリジナルのブランドやロゴなどを使いながら、消費者がリサイクルを楽しむ仕組みを構築したことだ。

そして、2015年には、先の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』30周年記念として、NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社と共同で、劇中仕様のデロリアンをリサイクル燃料で走らせるイベントを実施。使わなくなった衣類が燃料に生まれ変わるユニークさをアピールし、日本中のタンスに眠っていたTシャツやズボンなどを集めてみせた。会場となった東京・お台場にはたくさんの報道陣とファンが押し寄せた。それ以降ビジネスは右肩上がりで成長を遂げている。北九州に新たなリサイクル工場を建設中で、完成した暁には衣料品の年間のリサイクル量は現在の50トンから2000トンと40倍にまで拡大予定だ。

髙尾は大学生以来、ずっとThinkPadを使い続けている。

「ThinkPadが日本の大和事業所で開発されたのは有名な話だし、やっぱりトラックポイントは便利です。なんだかマウスのためにわざわざ手を動かすのってもったいない。それからXシリーズ以外は買わないです。一番気合い入れて作ってるはずですし、仕事のスピードを高めていこうと思ったらこれだなって」

最大限の効率性を求めるなんとも髙尾らしい発想だ。ちなみに同社が衣料品以外にもう1つ手がけているリサイクルがある。携帯電話だ。大手携帯電話キャリアと共同開発したリサイクル技術で、役割を終えた携帯電話に熱をかけてプラスチック部分を熱分解して、金、銀、銅、白金、パラジウムといった貴重金属を取り出すというものだ。そこでまた岩元が髙尾に突拍子もないアイデアを持ちかける。

「2015年5月、『携帯からメダル作ったらおもろいんちゃう?』って言われたんです。それは絶対に面白いと思って、そこから実現させるために奔走しました。日本で行われる世界的な大会で日本のリサイクルの技術がまたとない役割を果たす。しかもなんたって世界初の試みなんですから」

2020年の東京で、トップアスリートたちの胸元で輝くメダルを我々も見ることができるはずだ。(敬称略)


大学生時代にアルバイトをして購入した、X31に始まる髙尾氏のThinkPad歴はかれこれ5台に及ぶ。以来フラッグシップのXシリーズだけを購入し続けてきた。現在、使用するのはX1 Carbon(インテル® Core™ i7 プロセッサー搭載)。IBMの大和事業所に始まるThinkPadのヒストリーに思い入れがあるそうで、「正直にいうと、大和事業所の閉鎖はちょっとショックでしたね。でも事業所がみなとみらいに移転されてもThinkPad自体は何も変わらなかったのがとても良かった。今後も使い続けていきたいですね」と話してくれた。

(文:藤野 太一/写真:栗原 克己)

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